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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元五章 宇宙人襲来!
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元三十七話 魔法が使えると思ったら銃を貰った

 

「…ザープ星人ってどんな奴らなんだ?」


 家でカロフレをもしゃもしゃ食べるジーナを横目にリリナに訊く。

 宇宙船を亜空間にしまって隠した後、空腹で動けなくなったジーナを家まで運んで来ていた。

 ザープ星人は亜空間を自由に開くことができ、簡単に物を出し入れできるらしい。非常に便利そうだ。これが魔法科学とやらの力なのだろうか。


「地球から何万光年も離れたザープ星。

 そこに住んでいる人々は、魔法と科学を融合させた魔法科学という技術を使えます。」


「ちょっと待て。そもそも魔法なんてあるのか?」


「ありますよ。魔法は魔力を糧に行使するものです。

 あの小さな宇宙船で何万光年も移動できたのも魔法が科学力を補っていたからこそです。

 科学の限界を魔法で超える。逆に、魔法を科学で補うことも出来る。それが魔法科学の力なんです。

 ちなみに、この地球の物にも少なくはありますが魔力はありますよ。魔法もあったみたいですが…ただでさえ希少だった上に、魔女狩りで魔法使いが全滅したのでその使い方が伝わっていないみたいですね。」


「そうか…」


 少し残念だった。

 魔法を使うというのは全人類の夢…というのはオーバーかもしれないが、多くの人の憧れだ。

 俺もその一人だっただけに、使って見たかった…


「そう残念がらなくても良いと思いますよ?」


「なんでだ?」


「ザープ星人は魔法を使える人たちです。

 そんな人たちなら魔法の使い方の一つや二つ、教えてくれるかもしれませんよ?」


「おお!そうか!」


「あー…ごめんね、魔法は教えられないんだ。」


「え?」


 光明が見えたと思われたが、それはすぐに消えた。

 カロフレを1箱食べ終えたジーナはさらに続ける。


「ちょっと変な味だったけどおいしかったよ、ご馳走様!

 それで、なんで教えられないかなんだけど、魔法は今のこの星にとってイレギュラーみたいだから。

 それなのに不用意に魔法の使い方を伝えて、地球が滅亡でもしたら目も当てられないからね。将来的にザープ星(あたし達)地球(この星)と友好関係を築きたい訳だからね。」


「友好関係?」


「地球にある資源がザープ星で役に立つかもしれないからね。

 滅亡とか妙な進化とかの対策を立ててから、地球の資源を貰ってザープ星の技術を提供する。

 その対策を立てるためにも、調査は必要なんだ。」


「そうか…」


「大丈夫。その後ならいくらでも教えてあげられるから。魔法の技術を教えないって対策を取られない限りはね。」


「その調査ってどれくらいかかりますか?」


「ん~…五十年くらいすれば充分なデータが取れるかな。」


「おせーよジーナ!その頃にはおじいちゃんだよ!」


「おばあちゃんでは?」


 そんなに経ってたらおじいちゃんどころかもう死んでいるかもしれない。

 あと、おばあちゃんにはならない…と思いたい。


「じゃあ、諦めるってことで。」


「一応、魔法の素質…というか魔力はありそうなんですけどね。」


「…そうなのか?」


「私が治めていた世界では、魔力がメラニン色素に影響を及ぼして髪の色が本来ありえない色になる事がありました。

 青、緑。そして、白等ですね。」


「え?

 白は普通にあるだろ?外国とかで。」


「いえ。髪が白くなるのはメラニン色素が抜けているせいなんです。

 歳を取って、もしくはストレスからなる白髪とか、光の具合でそう見えるとかならともかく、先天的に白い場合は病気や特異体質などで髪のメラニン色素が抜けています。

 だから健常者が先天的に白い髪になるのは本来ありえないんですよ。

 そして、基矢さんは紛れもなくその健常者。基矢さんの祖母も、もしかしたら魔法の素質、というか大きな魔力は持っていたかもしれませんね。」


「………へー…」


 マジでか。

 そう言えば、テレビでも白髪以外であんまり銀髪とか見ないような…


「お前のせいで益々魔法が使いたくなっただろうが!」


「基矢さん…なんかワクワクしてませんか?」


「当たり前だ!あんな話をされてチート無双って単語が出ない奴がいるか!」


「オタクじゃなければ出ませんよ。確かに私も思い浮かぶかもしれませんが…」


「君も…オタクかい?」


「まあそうですね。」


「あたしもオタクかも!」


 なんということでしょう。ここに居る三人は皆オタク女子高生。

 俺の周り…というかこの部屋こんなんばっか。類は友を呼ぶという奴なんだろうか。

 まあ、話が合うって意味では良いかもしれないけどな。例え美人でも全く話せない奴と一つ屋根の下に居ても楽しくないだろう。


「…とにかく、魔法は教えてくれないんだな。」


「ごめんね。けど、規則なんだ…」


「分かってる。仕方ないってことくらいは…」


「……あの、ジーナさん。」


「何?」


「もし、もしですよ?

 できればで良いんですが、基矢さんに護身用ということで魔導機械を貸し出してはいただけませんか?

 彼は性別が変わってから何かと荒事に関わる回数が多くなっていたので…」


 リリナが見るに見かねて代替案を提示してくれた。

 魔導機械というのがなんだかわからないが、多分そういうことだろう。


「……確かに、協力者に護身用ということで魔導機械を貸し出すのは許可されてる。

 まさかそこまで知ってたの?」


「いえ、確かザープ星には護身用の魔導機械もあったなーと言うことを思い出しまして。

 もしかしたら貸してくれるかもと思って訊いてみただけです。もちろん無理にとは言いませんよ。

 あ、魔導機械というのはザープ星で開発されている使用者の魔力を使って動く機械のことですよ。」


「おお!そんなのあるのか!

 じゃあ、魔力で刃を構成する光の剣的な奴とか、電気の代わりに魔力を使って動くケータイとかもあるのか!?」


「あるけど、それは貸し出す訳にはいかないね。

 光の剣なんて護身用にしては殺傷能力が高すぎるし、そのケータイも常時使ってる人の魔力を吸い取っていくから、魔力が少ないこの星の人には危険だし…

 でも、これなら良いよ。」


 ジーナが亜空間に手を突っ込み、出したのは銃だった。

 銃身が短く、トリガーの下から銃身の先にかけてトリガーガードがある。

 ちょっと手を伸ばすみたいな感覚で亜空間を出したのはツッコまない。そういう種族なんだから仕方ないんだ。


「…思いっきり殺傷武器に見えるんだけど?」


「それは魔力銃。使用者の魔力を使って弾を撃てる銃だよ。協力者の護身用としていくらか支給されてるんだ。

 その銃から発射される弾は当たると弾けて、当たった人を痺れさせて動けなくする効果があるんだ。

 実弾じゃなくて魔力の塊を撃ち出すから、殺傷能力は無いよ。」


「それはすごいな。」


「うん!その上、エレベーターにそっくりだよ!」


「…なんだって?」


「エレベーターだよ!知らない?」


「それを言うならリベレー……後半しか合ってないじゃないか。

 でも、なんでそのデザインなんだ?」


「かっこいいからに決まってるでしょ!

 って言えばいいの?」


「ああ、最初の間違いが無ければ完璧だったぞ!良いセンスだ!」


 ビシバシグッグ。友情の証だ。


「……結構意気投合してますね。妬けちゃいそうです。」


「良いではないか!良いではないか!」


「…いつになく基矢さんがウザいです。」


「私のせいかな!ごめんごめん!」


「はぁ…ちょっとだけジーナさんを連れてきたことを後悔してます。」


「悪かったって!

 あ、その銃悪用しないでね。トリガーを引いた時に使用者の悪意が一定以上感知されると、暴発して使用者に弾が発射された挙句跡形もなく爆発するから。」


「しねーよ!っていうかこえーよ!」


 なんて恐ろしい銃なんだ。使用者の心を読むだけじゃなくて暴発したうえで爆発するなんて…


「……待った。一定以上の悪意ってなんだ?どこまでがセーフなんだ?」


「セーフなのは襲われた時の正当防衛。

 アウトなのは使わなくても良い場面で明らかに他人を害するために使う時って感じかな。

 感情を明確に数値化することはできないし、人によってその感じ方は違うから。

 それをどうやって統一化させてるのかまではあたしは知らない。」


「俺も別にそこまで知りたいってわけじゃないから良い。

 とにかく、正当防衛以外で使うなってことだろ?」


「それだけ覚えてれば大丈夫だよ!滅多に危険が無い国って聞いてるし!」


「それもそうですね。」


 ……最近思うんだが、本当にこの国って安全なのか?

 俺は1回誘拐されたし、誘拐未遂がナンパとじょうちゃんの時で2回あった。

 この国も他の国に比べれば安全ってだけで、実は結構危険なんじゃないか?詐欺とかも横行してるし。


「…何考えてるんですか?」


「ん?いや、なんでもない。」


 まあ、治安が良い方なのは間違いないし…

 それに、護身用としては素晴らしいものを手に入れたんだ。これさえあれば大丈夫だろう。

 後は俺のリアルエイム次第だが…まあ、サバゲーはしたことあるし、近づけば嫌でも当たるだろ。


「あ、その銃はトリガー以外は動かない形だけの銃だから、給弾するところは無いし金属性の弾丸を発射するわけでもないから法律にも引っかからないはずだよ。だから持ち運べると思う。

 でも、人前で見せびらかしたりはしないでね。形だけとはいえ銃。騒ぎにはなるんだから。」


「分かってる。」


「あと、使用者の魔力を登録すればその銃を握ってる限り使用者の意思でセーフティーを掛けられるよ。そうすれば基矢以外の人がトリガーを引いても魔力の弾は出ないから。」


「そりゃ凄いな。了解。」


 使用者の意思をくみ取る機能は魔法ありきなのだろうか。どうであれすごい。

 俺は頼もしさと新しい物を手に入れたワクワク感に浸りながら、魔力銃を通学に使うバッグに入れた。

 試し撃ちしたい気分ではあったが、万が一壁が壊れたらまずいし2人に銃を向けるわけにもいかなかったので我慢した。


「…ところで基矢さん。今更ですが我々の夕食はどうしますか?」


「……カロフレで。」


伏線回っぽいですね。

ちなみに、銀髪の下りですが…調べた時は驚きました。

普通ありえない…だと…

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