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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元五章 宇宙人襲来!
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元三十六話 隕石が落ちてきたと思ったら宇宙人だった

 

「良かったですね、マナさん。」


「ああ。本当にな…」


 ついに両親に全てを打ち明けた。

 両親は驚きながらも俺を受け入れてくれた。打ち明けられて本当に良かった…こんなことなら、もっと早くに打ち明ければ良かった。


「…泣いてるんですか?」


「べ、別に泣いてないぞ!?」


 返事が涙声だったために看破されてしまった。

 実はちょっと泣いてる。受け入れてくれた時にも泣いたというのに…


「あ!見てくださいマナさん!きれいな流れ星ですよ!」


 潤んだ目をぬぐって空を見上げる。

 夕焼けに向かってグラデーションがかかり、その反対側には夜が見える。夜の訪れはもうすぐだろう。

 夕焼け空に溶けるように流れる無数の赤い線。あれが全て流れ星なのだろう。

 幻想的で美しい光景を目にして、思わず立ち止まって見入ってしまった。


「……しかし、おかしいですね。

 流れ星ってあんな色でしたっけ?それに、消えずに落ちていっているような…」


 …言われてみればそうだ。

 実際の流れ星は見たことが無かったが、アニメとかでは白い線で描かれている。

 それに、消えていない。

 流れ星の正体は地球に落ちる天体で、地上に落ちる前に燃え尽きてしまうという。

 それが燃え尽きないということは、そのまま地上に―――


「一つこっちに来てませんか!?」


 リリナが指をさした方向を見ると、訪れている夜空から何かが落ちてくるのが見えた。

 小さな隕石でも車の天井に穴を空けると聞いたことがある。もしそんなものが直撃なんかしたら――


「逃げましょう!」


「あ、ちょっと待て、ジェットコースターはもう勘弁―――」


 次の瞬間にはリリナに腕を掴まれ、十数メートルは移動していた。

 リリナはそこで止まり、隕石が落ちた方向を見ていた。


「浮いてる…」


 俺も腕が引きちぎれそうな痛みに耐えながら隕石を見てみると、確かにその隕石は宙に浮いていた。

 …いや、ただの隕石ではない。

 ところどころ焦げているように見えるが、真っ白な球体だ。

 円のような線が入っていて、その真ん中には窓のようなものがある。窓の中身はマジックミラーのようになっているのか見えない。伝説のスーパーな何かに押しつぶされそうな外見だ。

 明らかに自然にできた物ではない。しかも人間が作れるテクノロジーを超えている。

 空から降ってきた自然物ではない何か。もしかして―――


「……多分、マナさんが考えていることは正しいでしょう。

 あれは人工物です。それも、地球外生命体が造った宇宙移動が可能な船。

 つまり、あの中に居るのは――」


 プシュー、と気体が抜けるような音がし、円形の線が開く。

 そこから出てきたのは―――


「この国の言語はこれであってる?」


 青い髪の美人だった。

 顔は地球人と言われても相違無い顔、しかもかなりの別嬪さんでポニーテールが似合っている。

 そして、わが校の制服を着ている。

 ……って、ちょっと待てい。


「なんで俺の高校の制服を着てるんだ?お前みたいなやつを高校で見たことが無いんだが。」


 青い髪の生徒なんて見たことが無い。会ったことがないにしろ噂くらいは流れるはずだ。

 それに、明らかに地球人にとってはオーバーテクノロジーな1人用のポッド(あんなもの)に乗って落ちてきたのだ。ウチの生徒ではないだろう。


「あ、知ってる!

 これって質問を質問で返すな!学校で習わなかったのか!?って奴だよね!?」


「なんで宇宙人がそのネタ知ってんの!?」


「地球の、特に日本のことならいっぱい勉強したからね!

 娯楽文化もそうだけど、地球の歴史とか、文明レベルとか、あと、この国の事は住人の個人情報含めて全部!」


「個人情報も!?」


「そう。

 だから貴方のことも知ってるよ。宇露基矢君。いや、元基矢って言った方が良いかなマナさん?」


「元基矢とか言うな!」


「もちろん、そこの女子高生ごっこしてる元女神様の事も知ってるよ!」


 結構毒舌なのだろうかこのエイリアン。

 活発で元気っ子みたいな印象だが、実は内面ドロドロドローなのかもしれない。


「元女神って呼ばないでください!

 …それに、私も貴方達の事を知ってますよ。ザープ星人さん?」


「私達の事を知ってるの!?」


「ええ。この世界に来る時、全ての生命体が生存可能な天体とそこに住む生命体の事も調べましたから。

 その上で、この地球が一番居心地が良さそうだったのでここに来たんですよ。

 ザープ星人さん、実に素晴らしいカモフラージュですね、流石の科学力、いえ魔法科学力と言ったところでしょうか。」


 なんだ、カモフラージュだったのか…

 宇宙人って皆地球人みたいな姿をしてるのかと思ってたぞ。ちょっと親近感が沸いていただけに残念だ。

 …だとしても、なんでわが校(ウチ)の制服なんか着てるんだ?あと、魔法科学力ってなんぞ?


「そこまでバレてるのね…」


「ここに来た理由も大体察しが付きます。

 貴方達の目的は地球の調査。確か、ザープ星では最近大規模な他天体調査を行っていたはずです。

 それに地球も選ばれて、今日大規模な調査が始まったと言ったところでしょうか。さっきの大量の流れ星は全部ザープ星人の宇宙船なんですよね?」


 マジかよ!?今の隕石に全部宇宙人が乗ってんの!?

 世界で、いや、日本だけでどれだけの宇宙人が来たんだ!?


「素晴らしいリサーチと洞察力、流石神様と言ったところかな?」


「神様と言われたのは久々ですね。ちょっと嬉しいですよ。

 貴方達の調査は止めないで上げましょう。侵略という訳でもないみたいですし。」


「ありがと!」


 リリナは調査を止めさせないのか…

 別に地球人(俺たち)に害が無いなら良いか。どうせ俺一人でできる事なんてたかが知れている。


「そのついでって言ったらなんだけど…

 あたしの調査に協力してくれない?」


 …あれ?なんか嫌な予感がしてきたぞ?


「内容によりますね。」


「あたし、女子高生の調査を担当になったんだけど…食べ物と住むところと友達を提供してください!お願いします!」


 友達を提供しろとはまた妙な要求だな…

 あと、食べ物はともかく住むところの提供はちょっと…2人でいっぱいいっぱいなんだけど。


「良いですが、条件があります。」


 家主の許可無しに住むことを許可しないでください。

 …と言いたいが、リリナの事だ。何か考えているのだろう。俺の部屋に置くとか。

 ……俺のプライバシーを失う覚悟はしとくか。あ、全部知られてたんだった。


「なんでしょう?」


「貴女も私達が働いている喫茶店で働いてください!働かざるもの食うべからずです!」


「…もしかして、アルバイト?」


「そうです!

 全国の女子高生もしているアルバイトですよ!調査も出来て許可も得られる。一石二鳥でしょう?」


「是非ともその条件で!

 後で探そうと思ってたから丁度よかった!」


 稼ぎ口が増えて俺とリリナが喜ぶ、宇宙人も喜ぶ。皆笑顔。ウィンウィンウィンという奴だな。


「ならよし!

 マナさん、この女子高生家で飼っても良いですよね?家のスペースはまた広げますから!大家さんも洗脳しますから!」


「飼うとか洗脳するとか犯罪チックな事言うな。

 …良いんだけどさ。」


 もしこの宇宙人が悪い奴だったとしても、俺にはリリナがついている。いざという時は何とかしてくれるだろう。だから大丈夫だ。

 ……また部屋を広げられるのか…その内俺の部屋のスペースが宇宙(スペース)級の広さにならなきゃいいんだが。


「ってちょっと待て、そんなに神の力使っていいのか?今までも結構使ってたけど。」


 最初に来た時にわずかしか残ってないとか言ってたはずなんだが。


「微々たるものではありますが、回復はしているので問題ありませんよ。」


 なんだ、回復するのか…良かった。

 ……待てよ?もしかしたらずっと神の力を使わなければ――


「どうしたんですかマナさん、行きましょう!」


 ―――まあいいか。


「ああ、そうだな。

 これからよろしくな、宇宙人。」


「宇宙人って言わないで!

 あたしはジーナリウス!ジーちゃんでもジー子でもなんでも呼んで!」


「…じゃあ、ジーナで。」


「私もそう呼びますね。これからよろしくお願いします。」


「………ところで、ものすごーく申し訳ないんだけど…」


「なんだ?」


「…早速食べ物恵んでくれない?二日前くらいに食べ物が底を尽きちゃって腹ペコで…あ、もう無理…」


 そういうと、ジーナは道路の真ん中で倒れ込んでしまった。


「ああ!?ジーナさん!?」


「早く食べ物を……宇宙人って何食べるんだ!?

 あ、そう言えばさっき母さんが困った時は頼りなさいって言ってたな!訊かないと!」


「マナさん!それは無茶ぶりという奴です!絶対分かりません!」


「分からなくてもヒントくらい貰えるかもしれないだろ!」


 急いでスマホで母さんに電話をかけると、数コールの後繋がった。


『もしもし?』


「もしもし母さん!

 宇宙人って何食べるんだ!?」


『は?』


 ――――俺はこの時、リリナがザープ星の事を知っているということを完全に忘れていた。

 母さんと父さんを散々混乱させた後、リリナから地球の食べ物でも大丈夫と言われ、混乱はとりあえず収まった。

〇〇 〇〇「ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロー!!」

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