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元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元三章 じょうちゃんの秘密
24/112

元二十四話 砂糖になりそうだと思ったら砂糖を要求された

二話目でも一話目から時間空いてれば良いでしょう。

そうです、ただの気まぐれじゃなくてこういう狙いがあったんです。多分。

 

「…マナ。」


 昼休み。

 リリナに発破をかけられたからかどうかは分からないが、鴨木さんが弁当を広げようとしていた俺に話しかけてきた。

 ビクリと少し体を震わせてしまったのは無意識だったが、怖がられていると思われている鴨木さんに悪い気がした。


「な、なんだいきなり?」


「その…この前の事はごめんなさい。」


「………大丈夫だ。あんまり気にしてない。」


「ちょっとは気にしてるの?」


「…悪いけど、それは否定できないな。」


 友達を裏切れと言われた上に人質に取られたことについて、なんとも思わない程俺の感情は死んでない。


「でも、それ以上に鴨木さんとも仲良くしたい。

 前みたいに、また小説の話でもしないか?俺も面白いの見つけたからさ。」


 ちょっとの不平不満くらいは出てくる。人を知るというのはそう言うことだ。

 でも、そんなマイナスの感情を越えるくらい好きになった奴を友達と言うのかもしれない。


「…うん。

 じゃあ早速私から一つ小説を紹介する。」


「なんだ?」


 鴨木さんのチョイスは絶妙で、読んでみると時間を忘れるくらいハマる。

 鴨木さんは少しスマホをいじると、画面を見せてきた。


「“異世界ドタバタ騒動記”っていうファンタジーなんだけど…」


「へー、どんな小説なんだ?」


「とある男子高校生が、夏休み中起きたら異世界に―――」


 これを機に鴨木さんとの仲は元通り。雨降って地固まるってやつだ。

 リリナも加わり、学校内ではよく3人で仲良く話すようになったそうな。めでたしめでたし。








 偶然ってすごいね。

 主人公の名前が知り合いにそっくりなんだもん。なんか親近感が沸いた。

 女神にバツとか言われて呪いをかけられてたな…なんか親近感が増した。なんでだろうねー。


「いらっしゃいませー!」


「マナさん、いらっしゃいませ、ごしゅじんさま。ですよ。」


 そんな媚び媚びの挨拶はしない。振付まで考えやがって。

 2日くらい前に鴨木さんに紹介された小説の事をちょっと思い出してしまったが、今はリリナとバイト中だ。あふたーすくーるなう。


「ここが最近できたカフェ?結構おしゃれ!」


 そんなちょっと聞き覚えがあるような気がする声と共にまた一人学生らしきお客さんが入ってくる。

 友達と一緒らしく、そばには……


「そうだな……ん?」


「え?」


 …守だった。

 なんか隣にいる奴って守の彼女とか言ってたような…

 …ウチのコーヒー、飲んだら爆ぜていきな。

 あ、別に爆薬入りのコーヒーは出さんよ?爆発的なうまさって訳でもないし、どちらかと言うと上品な…何考えてんだろ俺。


「あ、いらっしゃいませー!」


「お前ここでバイトしてたのか…」


「あ!あの時のかわいい子!?」


 彼女さんも気付いたらしく、席を案内することも兼ねて2人に近付く。


「こちらの席をどうぞ。デートか?」


「……まあな。」


 ちょっと目を逸らして赤くなるんじゃないよ。かわいいとか思っちゃうだろうが男なのに。


「もうもう、照れちゃって~、可愛いよ!」


「う、うるさい!」


 甘ったるい。

 砂糖吐きそう。むしろなりそう。


「ご注文はお決まりですか?」


「まだだよ!今座ったばっかりだろ!?まだメニューすら見てねえよ!

 ……コーヒー二杯。津瑠も良いよな?」


「うん。いいよ。」


「コーヒーはブラックですか?」


「砂糖下さい。スティック2、3本で。」


「糖尿怖いですよ。」


「なるか。スティックの2、3本で。」


「貴方達は雰囲気でバケツ数杯分くらいは摂取してるので、砂糖は要らないかと。」


「雰囲気で!?」


「甘々ってこと?ちょっと恥ずかしい…」


 彼女さんは分かってるみたいだな。


「後、パンケーキを二つ。」


「…糖にょ」

「もういいから!はよ行ってこい!」


 おっしゃる通りに。


「あ、守。

 女神様って皆理不尽なんだな。」


「本当にな………え?

 待て、マナ。今なんて――」


 去り際に言った一言に食いつく守はスルーし、オーダーを店長に伝えに行った。






「今日もバイト終わりましたねー!」


「そうだな。

 飯作んのメンドイから食ってかないか?」


「良いですね!じゃあ寿司にしますか!」


「馬鹿者、しばらく夕食もやしにすんぞ。」


「ジョークですよジョーク。

 私はハンバーガーが良いです!放課後にハンバーガーを食べるのってJKっぽいですよね!」


 JKのテンプレをなぞる遊びまだやってたのか。

 そんなにフツーのJK暮らしがしたいならクラスの女友達と出かければ良いのに。楽しいぞ多分。

 …俺は精神的に黒一点になるからしないけど。じょうちゃんと一緒に猫と戯れてたいです。


「いらっしゃいませー!」


 マックス!の店員の挨拶を受け流しながら店の上にあるメニューを見る。

 マックス!という名前の店なのだ。ディスハンバーガーショップイズマックス!。


「ハンバーガーセット一つとハンバーガー!」


「ハンバーガーセット一つ。」


 店員にオーダーするとすぐにセットが届く。トレーを受け取って席を探す。


「あれ?詞亜?」


「マナ!リリナ!久しぶり!」


「久しぶりって…バイトのシフト一緒だったこともありましたよね?」


「こうしてプライベートな時間に会えるのは久しぶりってこと。

 2人もここで夕食?」


「ああ、バイト終わりって飯作りたくなくなるだろ?」


「分かるけど、サボってると癖になるわよ。」


「そうかもな、気を付けとく。

 相席良いか?」


「ええ。」


 詞亜の隣に腰掛ける。

 リリナは俺の向かい側に座る。


「詞亜さん、席換わりますか?」


「えっ!?い、良いわよ別に…」


 ちょっとくっつかないでくださいよドキッとしちゃうじゃないですかー。

 俺百合苦手になったはずなのに。


「……えっと、マナ。

 あれからどう?今はもう大丈夫なの?」


「何が?」


「…誘拐の事。」


 バイトを休むことになった時、詞亜にも誘拐の事を知られることになっていた。

 詞亜はずっと心配してくれていたのだろうか。なんか申し訳ない気分になる。


「ああ、もうすっかり大丈夫だ。

 百合が苦手になったこと以外は…」


「え?マナさん、女の子同士も駄目になったんですか?

 男の人も駄目なままですよね?もう何と恋愛するつもりなんですか?性別を超越するんですか?」


「できねーよ。」


「…ある意味出来たけど。」


「何か言ったか?」


「いえ?」


 まあ俺もちょっと思ったけどさ。性転換って性別の超越じゃね?とか。


「…別に恋愛対象が居ないわけじゃない。

 今でもかわいい女の子にはときめくものさ…まあ、無理に迫ってこられたらトラウマがぶり返すかもしれないけどな。

 そんな心配も無いだろ?アイツみたいな変態がたくさんいてたま……」


 見つけてしまった。

 顔から血の気が引く。体が震え始める。


「どうしたんですかマナさん!?」


「おおおおおい!大きな声を出すんじゃない!気付かれる!!」


「アンタが一番大きな声出してるから!

 それより、気付かれるって誰に?」


「多分私だな。」


 憂佳(絶望の化身)が顔を出した。

 ホラー映画以上の衝撃を受けた俺は意識を手放しかけたが、ギリギリで踏ん張った。コイツの前で寝てたらやられる…!


「あ!貴女は!」


「え?何?この人誰?」


「俺は、コイツにファーストを…ファースト・キースを…!」


「なんですって!?」


 詞亜の雰囲気が鬼人化した。


「おお落ち着け!私はもうあんなことはしない!

 むしろ、あの時の事を謝りたいだけだ。本当に申し訳なかった!許せとは言わないが何でもする!」


 頭を下げて手を合わせる憂佳に取り付く島もない詞亜。

 その拳が振り下ろされようとした時だった。


「あれ?憂佳おねーちゃん何やってるの?」


 じょうちゃんが現れたのは。


「……おねーちゃん?」


「おねーちゃんってまさか、貴女…!」


「…妹がどうした?」


「「「妹!?」」」


 じょうちゃん憂佳の妹だったのか!?っていうか歳離れすぎだろ!?

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