表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元〇〇と呼ばないで!  作者: じりゅー
元三章 じょうちゃんの秘密
22/112

元二十二話 元女神と呼ばないで

 酷く、冷静だった。

 目の前には中世の絵に描かれているような白い布の服を着ている女性が居た。

 出口どころかシミ一つ無い白い、非現実的な光景。所謂夢だろう。

 …次の朝まではそう思っていた。


「私はとある世界で女神をしていた者です。」


 俺は神など信じていなかった。

 …次の朝までは。


「次の朝から、貴方は女性として生きてゆくのです。」


 これはただの夢だ。

 昼間ちょっとファンタジー小説を読んでしまったばかりに見ている夢だ。

 …次の朝まではそう思っていた。


「そろそろ目が覚めますね。

 では、良い人生を…」


「なんだお前。」


 ここに来てようやく冷たい一言を放った。







「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだ~あれ?」


 手鏡に映るのは手鏡を持っている少女の笑顔だ。

 次の瞬間少女は目にもとまらぬ早さで手鏡を床にたたきつけた。


「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああ!!」


 鏡に映っていた少女は錯乱している。情緒不安定にしても荒ぶり過ぎている行動はそのせいだ。

 そうなっている原因は一つ。つい数時間前までは自身が男だったという事実。


「どうですか?かわいい女の子になった気分は?」


「あああああいてっ、ああああ…あ?」


 俺は耳を疑う。

 ここで聞こえるはずの無い声が聞こえたからだ。


「…………」


 …納得した。

 自身がまだ夢の中にいるのだと。

 目が覚めたと見せかけて、実はぐっすり熟睡中なのだということを。

 手鏡が割れる音、錯乱した時に割れた鏡を踏んだ痛み…随分とまあリアリティーあふれる(?)夢を見ているのだと。


「ふっ…女神、だったか。

 随分と阿保らしい夢を見せてくれるな俺の頭は。そう思わないか?」


 どうせ夢の中なんだ、その女神とか言う馬鹿げた設定に乗ってやろうじゃないか。


「思いません。だって現実ですし。あと、今は女神じゃないです。」


「じゃあ、元女神か。」


「元女神ですって!?」


 何も間違っておらず、侮蔑したわけでもないはずなのに物凄くショックを受ける元女神。


「…なんだ?事実じゃないか。」


「“元”ってつけられると物凄く屈辱的な気分に…まるでさっきまで居た高みから引きずり降ろされたような気分になるんです…

 だから、“元女神”なんて呼ばないでください!」


「じゃあ元々女神で。」


「……ダメージは少ないとはいえ、癪に障る呼び方ですね。」


「じゃあ何と呼べと…」


「メガちゃんとか!」


「……エ」

「メガちゃんです!」


 えぇ~…

 センスねーなこの元女神…


「もうモガミとかで良いんじゃないか?」


「ああ!元女神を略さないでください!」


 げっ、ばれた。


「じゃあ」

「メガちゃんです!」


 …もうそれでいいや。


「メガちゃん…さん。一体なんでこんなことをしたんだ?」


「さんはつけるなこの元デコスケ野郎!」


 俺元はデコ助野郎だったみたいにされてる。

 なんかちょっとショックだ。


「いえ、元野郎と言うべきでしょうか?」


「貴様ああああああ!!」


 夢だと割り切っているとはいえ、頭に血が上りついでにちょっと傷ついた元野郎は思わず叫んでいた。


「ああ、ごめんなさい。元々野郎でしたっけ。」


「………」


 意趣返しか…味な真似を。


「あ、そうそう。

 なんでこんなことをしたか、でしたね。」


「……ああ。」


 ようやく疑問に答える気になったようなので、とりあえず気を静める。


「先程言った通り、私は元々別の世界の女神をしてました。

 元々は人間だったのですが、特に大きなこともしていないのに祭り上げられ…いつの間にか人々の信仰を集めており、神になっていたのです。」


「ダウト。絶対なんかしただろ。」


「え?したことと言ったら町の人を竜から守って、魔王とか言うのを名乗る輩を何人か滅ぼしたくらいで…後は戦争の時に魔法的なパワーで兵に力を与えたくらいですかね」

「充分だよ。大きすぎるだろ。何が特に大きなこともしてないだ。」


 いかにも心当たりが無いように言っているが、異端→勇者→神とどんどん階段を昇って行って神に辿り着いている。


「成り行きでそんな風に見られてしまっただけですよ、竜も魔王も一人で倒したわけではありませんから。」


「……分身でもしたか?」


「確かに魔法で分身しましたが、何故それを」

「もう1人じゃねーか!」


 分身を何人出しても結局のところ単独の力である。多分。


「話を聞いた限りじゃ全く現状に行きつかないんだが。」


「話はこれからですよ。

 しばらくして、私は人々の前に姿を現さなくなったせいなのか別の人間が信仰を集め始めまして。

 私の信仰が無くなり、神の力が回復できなくなったんですよ。

 それでなんかもうどうでもよくなってあっちこっちふらふらしてたらふと思ったんです。

 …消える前に神の力を使って誰かの人生を滅茶苦茶にして道ずれにしてやろうって。」

「ふざけんなてめぇ。」


 俺はそんなふざけた理由でこんな目に遭ってるって言うのか?

 …あ、これ夢だったな。そんなに怒ることじゃないか。夢だし。

 ……ん?待て、なんか消える前とか言ってなかったか?


「待て。

 お前消えて無くないか?」


「ええ。私も驚きました。

 神の力を使い切った神は消滅すると聞いてましたから。

 ただ、元は人間だったからか大丈夫だったみたいですね。代わりに人間になっちゃいましたけど。」


「へー」


「……興味なさそうですね。」


「だってどうせ夢だし。」


「……夢じゃなかったとか言ったらどうします?」


「ありえないな。

 こんな非現実的なことが起こる訳無いじゃないか。」


「……足、痛くないですか?」


「痛いです……ん?」


(痛い?

 普通夢だったら痛みも無い…はず…)


「……いや、あれだ。

 痛みがある夢もあるさ。ちょっと前にそんな夢を見た気がするし。」


「確証が無いじゃないですか。」


「………………元女神いいいいいいいいいいいいいいいい!!!」


 また錯乱した。







「…仕方ない、引きこもる準備だ。」


「なんでそうなるんでしょうかね?







「基矢さん、起きて下さい!」


 開けた視界一面にリリナの顔が映る。


「…ん?

 モガミ…メガちゃん…?」


「何寝ぼけてるんですか!これを見てください!」


 メ…リリナが見せてきたのは俺の目覚まし時計だった。

 時間は8時を…8時!?


「早く学校に行かないと遅刻ですよ!」


 何故こんなに寝坊を………あ。

 昨日目覚ましをセットし忘れてた……

 ボタン一つ押すだけのことを忘れただけでこれだ。全く、世の中は厳しいものだ……


「早く準備して下さい!」


「分かった、じゃあ着替えするからその間にカロフレでも食っててくれ!」


「嫌ですよ!チーズ味が無いじゃないですか!」


 リリナはチーズ味派だったらしい。


「あー分かったよ!今度からストックに加えておくから今は我慢してチョコ味でも食っててくれ!」


「分かりましたよ!

 ところで基矢さん!」


「なんだ!?」


「モガミとかメガちゃんとかってなんですか?」


「気にすんな!寝ぼけてただけだ!」


 どうやらさっきのは夢だったらしい。

 この状況も夢であってほしいものだが…現実とは無慈悲なものだ。夢ではないだろうし、例え夢でも遅刻したら先生に怒られるのだろう。


「…基矢さん。」


「今度はなんだ!?」


「モガミって、もしかして元女神の略とかじゃないですよね?

 メガちゃんって、私の事ですか?」


「夢のことだ!気にするな!

 …あ。」


「基矢さああああああん!」


「止めろ揺らすな着替えられないだろ!」


 下着姿のままリリナに肩を掴まれて数分間揺らされた結果、学校には遅刻し先生の注意を受けた。

wordフォルダーにあったこの小説の原型を夢としてそのまま投稿。元野郎の原点です。この後幼馴染が主人公を起こしに来たりなんだりでしっちゃかめっちゃかする予定でした。なんでこんな中途半端なところでやめたんでしょうね。

あと、第一話こっちの方が面白いんじゃ……いや、止めておきましょう。

リリナの呼び方がメガちゃんになるのだけは避けたい…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ