祈る人
その祈る人は
隣の老人ホームにいて
ときどき
窓を開けて
空を仰いでいる
私は立ち止まり
子になって
妻になって
親になって
また動き出す
視界の端に置いたまま
罪悪感
孤独感
不安感
振り切れずに歩いて
救いを求めて振り返る
無表情の祈る人は
窓を閉めて奥へ消えた
閉鎖的な建物の中も
心の内も分かるはずがない
遣り切れなさが残るばかり
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