72話魔力の色
「取り引きも成立したことだし、自己紹介をしなくちゃな。互いの名前もしらねぇんじゃあいろいろ困っちまう。」
戦士風の男は、大げさに手を広げて言う。
「おれは、ジョン。で、右から魔術師のミラルバ。」
「どうも・・・・」
「弓使いのクワイニー。」
「よろしく。」
「剣士のカルパ。」
「助けてくれてありがとね。」
「メイスを持ってるのがゴントン。」
「よろしく頼む。」
「この5人で、夕焼けの黒猫っていうパーティー名でやってる。ランクはCだ。」
「おれは、グレン。で、となりにいるのはキリーだ。2人で旅をしている。」
グレンは、キリーの頭に手を乗せながら簡潔に自己紹介を済ませた。
「旅人?てっきり、同業者だと思っていたぜ。」
ジョンが、聞いてくる。
「いろいろ、わけがあってな。詮索は、よしてくれ。」
「・・・まぁ、いいけどよ。」
気疲れした声を聞きジョンは、深い事情があることを悟った。旅人は、準犯罪者と認識されている。それによっていろいろあったのだろうと。
「んじゃあ、行きますか。」
「・・・・・・・・・」
視線を感じ辺りを見るとミラルバがまるで、得体の知れないモノを見るような目でグレンを見ていた。
「何だ?」
「いえ・・・別に・・・」
質問するとそっけなくその場からミラルバは離れる
(まさか・・・)
グレンは、その姿を睨んみ続けた。
こうして、7人一抹の不安を出しながら目的地である村に向かうことになった。
あれから、日が落ち、村までの距離が半分程度になった。これ以上、暗い道を進むのは危険と考え野宿することになった。夕焼けの黒猫のパーティーとグレンたちは、互いテントを張って床についていた。
「いやー今日は、まじで、危なかったな。さすがに死んだと思ったぜ。」
夕焼けの黒猫のテント内では、今日あった出来事を話して合っていた。僅かな、酒と干し肉をツマミにしながら楽しく話しているなかミラルバだけは酒やツマミに手の付けていなかった。
「どうしたよ?何か今日のお前、変だぞ?」
「当たり前でしょジョン。今日、死にかけたのよ?あんたみたい能天気にいられる訳じゃない。」
「んだと!!」
「なによ!!」
ジョンとカルパが喧嘩を始めクワイニーがそれを治める。
「・・・・ねぇ?あのグレンって人大丈夫かな?」
突如、ミラルバが発した言葉の意味が他の皆には理解出来なかった。
「何がだ?実力は俺ら以上で人を蔑んだりしない。俺は何より俺たちを助けてくれた。俺は、信用するにあたいすると思う。」
ジョンの言葉に残りのメンバーも同意する。
「いや、そう、なんだけど・・・」
「もしかして、何か視たのか?」
ゴンドンの言葉にメンバーは真剣の顔になる。ゴンドンの言葉の意味。それは、ミラルバの目には特殊な能力が存在する。
魔眼。
本来なら見えない魔力を見ることができる。
「うん。あのね・・・魔力には色があるの。魔術とその人の得意な魔術によって色が変わる。火魔術なら赤色みたいな感じで。だけど・・・あの人の魔力の色は黒かったの。闇魔術を得意とする人よりもどす黒く。まるで、悪意を集めて固めたみたいに。それに・・・あの人が持つ魔力の量はとても人が持つ量じゃない。あれは、人の形をした何か・・・」
ミラルバはそこまで言うと肩を震わせ両肩を自分で抱いた。
「怖い。凄く怖い。あのグレンって人が・・・」
その言葉を聞いたメンバーは何も言う事が出来ずただ、怯えたミラルバを見ることしか出来なかった。




