56話勃発
僕は今、魔術学の授業を受けていた。内容は、風魔術の理論的術式だ。
「で、あるからここの術式は・・・」
正直、予習である程度、知っているのであまり面白くない。何人かの生徒も腕をまくらにして寝ている姿がちらほら見える。
(つまんないなー早く終わらなかな。)
終わりのチャイムが鳴るまでまだ時間がある。
(今日は、この授業で終わりだし先生のところで修行を多くやろう。)
ある程度を今日やることを決めておく。僕は、外の景色を見る。
ようやく、長く感じた授業が終わり僕は急いで帰りの支度をする。先生の元で修行をするのは1分1秒と時間が惜しい。
「ステロくん。」
「やあ、パースさん。」
支度の準備をしているとパースさんが声をかけてくる。
「今日もあそこに行くの?」
僕が急いでいるのを見て大まかなことを予想したのだろう。
「うん、今日こそ完成させなくちゃ。」
昨日の修行でも魔法を発動することが出来なかった。魔力は十分なんだけどどうにも途中で霧散してしまう。
「そうなんだ。ねぇ、私も行っていい?」
「もちろんだよ。一緒に行こう。」
「わかった。すぐ、用意してくるね。」
パースさんは嬉しいそうな顔をして自分の席に戻る。僕も、早く用意しないと。
「おい。無駄使い。」
この嫌味に満ちた声に聞き覚えがある。振り向くとそこにリーオがいた。取り巻きたちはいない。
「僕に何の用?」
さっさといなくなれと心の中で思っておく。
「わかっているだろ。あの黒い鎧を着たやつお前の知り合いだろ。今、どこにいる?」
黒い鎧を着たやつとは恐らく先生のことを指しているのだろう。そういえば、リーオは先生に投げられていたっけ。
「知らないよ。初めて会ったんだ。」
でも、わざわざ言う必要なんて無い。
「とぼけるな!だったら何でお前らみたいなのを助けた!!」
「そう言ったって知らないものは知らない。」
僕の反応が面白くなかったのだろう顔を真っ赤にして僕を思いっきり殴る。僕の身体が机に当たって横になった拍子に中に残っていたものが飛び出している。
「あんま、調子こくなよ?あんな奴さえいなきゃお前なんて何も出来ないクズなんだからよ。」
その言葉にちょっとムカついた。
「・・・父親の力と金の力でしか威張れない君より
は幾分かマシだよ。」
我慢が出来ずについ本音を言ってしまう。でも、不思議と後悔はしなかった。
「・・・いい度胸してるじゃねえか。」
案の定、リーオは怒りて顔を真っ赤にして僕を睨みつけてくる。
「だったら、決闘だ。」
リーオが発した言葉にクラスがざわめき始める。
決闘。魔術学園に存在する決め事で両者が決闘を認め教師が立ち会いの元、魔術で勝負する。ルールは非常に簡単で相手が負けを認めるか戦闘続行不可能になるまで続ける。負けた場合、勝った者の言う事を1つ絶対に守らなければならない。僕は、魔術が使えない。決闘を受けたらなぶられるのは目に見えている。
「いいよ。その決闘受けてたつ。」
でも、ここで逃げるわけにはいかない。僕が成長するためにも。




