55話修行
学園の授業が終わってすぐに僕はある場所に向かう。途中で、パンや果物などを買っていく。これは、教えてもらう上での条件の1つだった。子供からしてみれば痛いが教えてもらう内容を知れば破格といっていい。
(魔法か。うまく使えるかな。)
かつて、ご先祖様が使い滅びた技術。膨大な魔力を消費する代わりにとてつもない威力だと本には書いてある。無駄に魔力がある僕にはうってつけだ。裏通りをあちこち曲がりある古びた倉庫にたどり着く。ここに、僕に力を教えてくれるヒトがいる。
「こんばんは。ステロです。」
長年、使ってない所為で錆びた扉を少し強引に開ける。
「待ってたわ、ステロ。」
窓の近くに座っていた女性が僕に近づいてくる。まぁ、目的はこの食べ物なんだろうけど。
「こんばんは。キリーさん。先生は?」
「あ〜ちょっと待ってて。グレン!来たわよ。」
キリーさんが奥に呼びかける。すると奥から黒い鎧を身につけた騎士が歩いてくる。夕暮れ時とあってさらに不気味に感じる。しかし、何度も見たためもう慣れてしまった。
「来たか。では、さっそく始めよう。」
「はい。」
このヒトが、僕の恩人であり魔法を教えてくれる先生だ。魔法の修行を始めてから1週間が過ぎる。僕は先生って呼びたいって頼んだらシブい顔をしたけど許可してくれた。
「気配を消し、音を消したまえ。」
『サイレント』
先生が、唱えると辺りに黒い線が通り過ぎる。これは、辺りから音を聞こえなくする魔法らしい。これでもまだ、初心魔法の1つなのだからつくづく魔法は恐ろしい。
「では、昨日と同じところからやるぞ。」
「はい。」
魔力を手に籠めて手のひらサイズの玉を作る。何故、そうするというと最初に手であらかじめ魔力を溜めていた方がやりやすいからだそうだ。ある程度魔力溜めて次の段階に進む。
「業火のエンマよ。炎に染まる剣を我に与えよ。」
『スカーレット・ソード』
玉から炎が竜巻のように渦巻く。その高さは僕の頭上を越える。その竜巻から徐々に剣の握りに形を変えていく。
(いけるか!)
しかし、柄のとこまでいくと渦巻いていた炎は霧散してしまう。失敗だ。
「またダメだー」
「魔力は足りている。必要なのは、集中力だ。途中で魔力が乱れたぞ。」
「そうは言っても・・・」
「いいか。集中を、乱さないコツは想像力だ。自分が望む剣を想像しろ。でなければ、いつまでたっても習得出来ない。」
僕が望む剣。いったいどういう物だろう。自分でもよくわからない。
「とりあえず、休憩だ。身体を休めとけ。」
先生が、渡してくれた水筒を飲む。冷たい水が乾いた喉を潤してくれる。
「そういえばあいつらはどうしてる?まだ、イジメているのか?」
「いえ、最近は大人しいですよ。」
泉に投げつけられてからリーオたちからのイジメは無くなった。取り巻きたちもあの一件以来、リーオから距離を置いている。
「そうか・・・ならいい。」
そう言うと後は何も聞かなかった。その後の修行でも特に成果は無く。完全に暗くなる前に僕は帰路についた。




