49話門の前で
『ダークフープ』を乱用して数ヶ月の距離を僅か、1週間で踏破する。空高くそびえてる白い塔が見える。
「いろいろ、疲れたわ。」
確かに、2週間歩き続けた後で『ダークフープ』を使えばいいと気がついた時の疲労感はなかった。
「とにかく、入るぞ。」
おれたちは、都市は城塞で囲まれており唯一、門だけが出入口になっている。おれたちは、眠そうに欠伸をして見張りをしている門兵のところまで移動する。やがて気づいたのか真面目な顔をする。
「通行料は、1人銅貨5枚です。」
簡単に言った門兵のとおりに銅貨を差し出すと顔をしかめる。
「騎士様、いつの時代のヒトですか?」
「何?銅貨5枚じゃなかったか?」
「そうですけどね。これ、イレン銅貨じゃないですか?」
イレン銅貨。リターナー王国で造られている銅貨だ。
「あぁ。これでは、ダメなのか?
「確かに、その銅貨は随分昔まで使ってましたけど今は、このキレス銅貨っていうのを使っているんです。」
そう言うと懐から銅貨を取りだしておれに見せてくる。銅貨の形は変わらず円形だが中央に剣を持つ乙女が彫られている。新しく造られた銅貨を見ていると横からキリーがつっついてくる。
(ちょっと!あんた!何でそんな古いものしか持ってないの?)
小声で、聞いてくるがこちらもまさか、新しく造られたとは知らなかった。それに、ペイでパナウェイでリーザに渡した時は、何も問題もなく使えた。
(しかし、ペイでは何も問題もなく使えたぞ?)
(あそこの領主が大の貨幣好きで特別に許可されていたのよ。)
訳がわかったのはいいが、そうなると持ち合わせがない。
「すまないが、生憎これしか持ち合わせがなくてな。換金出来ないか?」
門兵は、困ったような顔をして少し上司に聞いてくるのでここで、お待ちくださいと残して中に入っていく。数十分待つと門兵は戻ってきた。
「お待たせしました。換金は可能らしいです。」
そう言うとおれを部屋まで案内する。部屋は、質素だが、結構、幅広く造られておりテーブルと椅子が置いてある。普段は、門兵の休憩所になっているらしい。椅子に座っている男が換金する貨幣を検査する検査官らしい。おれは、そのヒトに銅貨と少しの金貨と銀貨袋に入れてテーブルに置く。全部換金しようと考えたがそこまで、必要にはならないしここで、怪しまれては困るのでやめておいた。
「失礼します。」
検査官は、袋から貨幣を出して1枚1枚丁寧に調べる。以上がないと判断したのか袋に戻した。
「特に問題はありませんでしたので換金させていただきます。しかし、換金代として銅貨3枚を引かせていただきます。」
ついでに、2人分の通行料も引いてもらう。検査官は部屋を出て数分すると袋を手にして戻っくる。
「お待たせしました。」
袋を貰って中身を確認する。特に問題は見られなかった。おれは、それを持って外で待っていたキリー所まで行く。
「どお?ちゃんと出来た?」
「あぁ。特に問題はない。」
そして、門番が合図を送り巨大な門が開き始める。
「ようこそ。魔導都市ペンドラゴンへ。」
門番が門が開ききったと同時に言った。そして、おれたちはペンドラゴンへ足を踏み入れる。




