43話リターナーの魔族
「あっあれが、テレド侯爵がいるテントです。」
キリーが、指を指した方を見ると豪華な装飾がしてある。
いよいよ、本命に近づいてきた。
中に入ると、白い髭を生やしガタイのいい老人がいた。
「きさまが、テレド侯爵だな?」
「いかにも。そういうお前が、我らの軍をメチャクチャにした奴だな?」
鋭い目で、おれを睨みつける。おれは、箱を取り出して光を灯す。
「何が、我らの軍だ。いつから、リターナー軍が魔族の物になった?」
テレド侯爵の目が光りテレド侯爵が魔族であることを証明した。
「・・・・魔族?」
事情を知らないキリーは理解が出来なくて混乱する。
「全ては、魔族たちによって作られた戦だったんだ。」
「作られた?」
「魔族が新たに作った憑依魔術は他者の身体に乗り移る。それを、利用してリターナーとパナウェイの両国が互いに潰し合うように仕向けたんだ。」
信じられないような顔をしてテレド侯爵を見る。
テレド侯爵は、黙って聞いていた。
「じゃっじゃあ!亜人が村のヒトが皆殺したのは!?」
「真っ赤な嘘だ。リターナーで起きた事は全てパナウェイには関係なんてなかった。」
「そんな・・・私たちは何のために戦を・・・」
突如、テレドの笑い声がテント中に響いた。
「いや、すまん。ちと思い出してしまってな。」
誤りながも笑いを止めようとしないテレドを見てキリーの顔が徐々に怒りの顔に変わっていく。
「お前らは、我らの手の平で踊らされいるのも知らずに
簡単に嵌まっていく姿がとても滑稽でな。」
「この!?」
怒りを抑えきれなくなりテレドに剣を向けようとしたキリーを抑える。
「自分の思い通りになるのを見てるのはとても、おもしろいだろう。だが、それもここまでだ。」
「・・・いいのか?我を殺したらお前はどうなるか想像つくだろ?」
笑いを止め、おれに聞いてくる。
「あぁ。」
ノートゥングを取り出して構える。
「覚悟の上だ。」
ノートゥングを縦一線に斬りつけるがいつの間にか取り出した剣で防がれる。
「ぜぁ!!」
そのまま、潰すように力を込めていくとすぐに剣を横に流しノートゥングは地面にあたる。テレドは、バク転を2回して距離をとる。
「せい!!」
テレドは、一気に詰め寄り素早い攻撃をしてくる。おれは、それを捌いていく。
(コイツ!!パナウェイの魔族よりも強い!!)
何度も、攻めてくる斬撃に徐々に捌くのが遅れていく。
全て捌くきれなくなる前に蹴飛ばしてテレドの身体がテントから吹っ飛んでいく。
「・・・頑丈だな。」
けっこう強く蹴ったつもりだったがテレドは何もなかったかのようにピンピンしていた。
「なかなか、いい威力だった。この身体でなければ死んでいたな。」
身体の箇所をほぐしながら言ってくると嘘か本当か
わからなくなる。
「この身体は、最高だ。こんなこともできる。」
一瞬、姿が見えなくなり突如、腹に痛みが走る。咄嗟に後ろに跳んで威力を削ぐがテントから飛び出して
近くの岩に激突する。
「どうした?まだ、終わらないでくれよ?」
薄い笑みを浮かべながら言ってくる。




