38話レイピアと刀
レイピアと刀が、ぶつかり合う音が戦場に
響く。
「軍式突剣術一式、流れ雨!」
「ふん。」
私は、素早く4連突きを繰り出すが全て
受け流されてしまう。
「さすが、団長の名を持つだけはある。」
「小娘に、敗れるほど落ちぶれていないの
でな。」
「良く言う!!」
さっきよりも速く腕を動かし鋭い突きを
出す。
「これなら!!」
「甘いわ!!」
速度が増した突きでさえ受け流される。
「今度は、こちらから参るぞ!!」
狐男が、私よりも速い速度で刀を振るう。
その剣撃は、あらゆる角度からやって来る。
私は、それを防ぐので精一杯だった。
「クッ・・・・」
「せい!!」
最後に強い一撃を受け止めることが出来ず
飛ばされ地面を転がる。
「グァ・・」
「寝ている暇はないぞ!!」
息を整える間もなく次の攻撃がくる。
振り下ろされる刀を横に転がり何とか
避けることに成功する。
「ハァハァ・・・・」
「どうした小娘?この程度か?」
(まさか、これほどとは・・・)
正直、勝てる気がしない。
(でも、こんなところで負けるわけには
いかない。父上を越えるためには!)
「ほぅ。士気がまるで衰えないのは
褒めてやる。だが、これで終わりだ。」
刀を鞘に戻し左足を半歩下げ柄に右手をおく格好をする。
「雷刀一線!!」
「!?」
突如、雷の斬撃が襲いかかる。
「クッ!『シールド』」
すぐさま、『シールド』を張り防御を
試みるが『シールド』は紙のように簡単に
破られ私に迫ってくる。
『シールド』『シールド』『シールド』
更に、3枚を張る。2枚まで破られたが
3枚目でようやく、斬撃が止まる。
しかし、魔術を多用したせいで魔力は
あまり残っていない。
(次に、同じのが来たらもう防ぐ
手段がない。)
「止めるとは、思わなかったぞ。
しかし、もう魔力は少ないようだな。」
もう一度同じ構えをとる。
「これで、トドメだ雷刀二線!」
斬撃が2つに増え私に迫ってくる。
(『シールド』はもう使えない。
だったら・・・)
「前に!!」
「な!?」
後ろに下がらず前に進み斬撃に対処する。
「軍式突剣術二式、五月雨!!」
流れ雨と同じ速度で5連突きを繰り出す。
お互いの技が激しくぶつかり合う。
しかし、私の技が徐々に押されていく。
(威力が、強い!これじゃ押し負ける!!)
でも、ここで負けたら私の目標が、果たせ
なる。こんなところで、負けるわけには
いかない。
「負けるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
精一杯の力を振り絞る。負けていた技が
押し返し始め、斬撃を弾き飛ばした。
「何と!?」
「軍式突剣術六式、凍突剣!!」
動きが、止まっているうちに追撃を
仕掛ける。
慌てて、もう一度構えようとするが遅く
「はぁぁぁぁぁ!!」
私の氷を纏ったレイピアが襲う。
「グァァァァ!!!」
突いた箇所からイソリの身体は徐々に凍って
いき最終的に命を落とす。
「うそだ・・・」
「イソリ団長が、殺られるなんて・・・」
「化物だ・・・」
周りのパナウェイ軍の兵が散り散りになって
逃げる。
「何ボケっとしている!!
さっさと追わんか!!」
隊長の声で、急いで逃亡した兵を追撃する。
「お疲れ様でした。」
隊長が、私に声をかけてくる。
「えぇ、でも当分、戦えそうにない。」
「少し、おやすみください。その時間ぐらい
私たちで稼いでみせます。」
「ありがとう。そうする。」
その時、後方で激しい音が鳴り響いた。
爆音で戸惑っていると1人の騎馬隊の
騎兵の1人が向かってくる。
「何事だ!?」
「敵襲です!!」
「敵襲だと!?一体どこから敵の数は!?」
「どこから来たかは不明!それと敵の数は」
騎兵の言葉を言い淀む。
「早く言え!?」
「ひっ1人です。」
「・・・何?」
「1人です!突如、現れ攻撃してきました!
中央の兵は、ほぼ壊滅!敵は、現在
テドレ侯爵の元に向かっていると
思われます!!」
「バカな・・・たった1人に壊滅させられた
だと・・・」
「間違いありません。この目で
見てきました。」
「父上!!」
私は、身体中の痛みを忘れ急いで父上の元に
走る。




