36話リターナーの進撃
次々に女騎士が、亜人たちを蹂躙していく。
ある者は、首を突かれ殺され。
また、ある者は身体中を穴だらけにされて
殺された。
「この化物が!!」
1人の象獣人が、大鎚を振り下ろす。
しかし、その大鎚が女騎士は象獣人に
向かって走り後ろに回って象獣人の腱を
斬る。象獣人が、足の力を失って倒れ
女騎士のレイピアが象獣人の首を突く。
象獣人は、身体を小刻み動いていたがやがて
止まり静かになる。
「オング!!」
「ちくしょう!オングの仇だ!!」
友を殺され怒った犬獣人2人がその素早い
身のこなしを活かして女騎士へ直進する。
そして、2人が挟み込むように駆け同時に
手にした長剣で斬りつけようとする。
「シッ!!」
「・・・・は?」
犬獣人の1人は一瞬、理解できなかった。
なぜなら、後ろに回っていたはずの仲間の
頭半分が綺麗に無くなっていたからだ。
「どうして、レイピアで斬・・・」
最後まで、言葉を発することは出来ずに
身体中に穴が空く。
「これが、私たちヒトの力だ。まぁ、
お前たち獣風情には到底、理解できない
だろうがな。」
そして、女騎士はレイピアを空高く構える。
「さあ!リターナーの兵士たちよ!!
私に続けー!!」
《うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!》
先ほどまで失いかけていた士気が1人の
活躍により取り戻した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「順調だな。」
「はい。全てはナナリア様の活躍かと」
リターナー軍の最後尾でテレド侯爵とその
配下の軍官が馬に跨って話していた。
「当たり前だ。あいつは、私の
自慢の娘だ。」
(もっとも、もう少しパナウェイ軍が
抵抗してくれないとこちらが困るが・・・)
「さすがは、騎士学校を首席で卒業なされた
ことはありますな。」
「それぐらい、トゼン家の者なら
出来なくてはならん。」
実際には、騎士学校の首席になるには
とても厳しく才能と努力の両方が無ければ
とれない称号として有名である。
(確かに、ナナリアは強い。これ以上
強敵を生み出さないうちに始末しておくか)
「如何なされましたテレド侯爵?」
「いや、何でもない。」
「はぁ。それならよろしいのですが・・・」
「一旦、兵を下げて魔術師たちに攻撃させる
よう連絡しろ。攻撃後、騎馬隊を先頭し
一気に叩きのめせ。」
「了解しました。」
軍官が、馬を魔術師たちのいる陣に
走らせる。
「さぁどう出てくる?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テレド侯爵の連絡を受けた魔術師たちが
一斉に魔術を詠唱する。
《燃える炎の矢よ・・・・》
「魔術がくるぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「下がれ!もっと早く!!」
パナウェイ軍の魔術師たちも急いで
魔術を詠唱する。
《光の盾よ我らが望みを・・・》
《その矢を用いて敵を射よ。》
《叶え守りたまえ。》
『フレアショット』
『タレンチシールド』
空で、炎の矢と僅かに遅くれて光の壁が
出現する。炎矢がパナウェイ軍に向かって
迫って来る。
「うが!」
「グフ!」
ある程度は、光の壁で守られたが炎矢による
被害は前衛で戦っていた兵に被害が出る。
そのような魔術による攻防は数分続く。
「よし!騎馬隊を出せ!獣共を皆殺しに
するのだ!!」
魔術が、全て放たれ終わった後。
テレド侯爵の命令によって今まで
動かなかった騎馬隊がついに動き出した。




