プロローグ
「あー!暇だなー。」
パナウェイで、一番高い塔の最上階に1人の
女性がいた。その女性は、金色の髪を腰まで伸ばし、特徴的な長い耳を持っていた。
亜人の中でも、最も長寿である森羅の民。
彼女は、その一族の1人だった。
「何か、おもしろいことないかな?本は、
100年くらい前に、書いたしなー。」
長い金色の髪を指で弄りながら独り言を
ブツブツと言っている。
「だったら、働いてください。」
扉の外に鎧を身に付けた森羅の女性が、そう
答える。
「おっ?エリちん来てたんだー?」
「エリちんは、止めてください。エリアと
呼んでくださいといつも、言っている
でしょう。」
「ゴメンねー。エリちん」
エリアが、溜め息をつく。
「もういいです。で?私を、呼んだのは
理由は、何ですか?」
「うん。暇だから、呼んだだけ。」
「・・・あの。私、これでも忙しいん
ですけど?」
エリアの額に血管が浮き出る。
「まぁまぁ。そうカッカしないの。綺麗な
顔が台無しだよ?」
「誰のせいですか!誰の!?」
「誰だろうね?ー」
「あなたですよ!言わせてもらいますけど
そんなに暇、暇言うんだったら少しは、この
国の為に働けばいいじゃないんですか!?」
遂に、エリアが怒りを爆発させる。
「いや、ほらね。私、こう思うんだよ。」
真剣な顔をして窓を見る。
「働いたら、負けだなって・・・」
「真剣な顔して、何言ってんだ!
あなたは!?あぁ。もう、どうして
こんな人が魔王を倒した英雄レイ
なんだろう。」
「私だから?」
「本当!ヒトを怒らせるの上手ですね!?」
「ありがとう。最高の褒め言葉だよ。」
「褒めてない!!」
エリアの反応を見て女性は、笑いながら窓を見る。そして、驚き目を広げる。
「うそ・・・。まさか。エリちん。そこの
丸い水晶を取って。」
「はっはい。これでいいですか?」
今まで、見たことのない顔をするレイに
驚きながら水晶を渡す。
水晶を受け取ったレイは、水晶を
かざしながらパナウェイの正門を見る。
「やっぱり。この魔力、間違いない。でも
まさか、有り得ない。」
「あのー?」
「・・・ゴメン。エリちん悪いけど1人に
させてくれない?」
「わっわかりました。失礼します。」
そう言って、エリアは部屋を後にする。
「・・・何であなたが生きているの?
グレン。」
1人になった部屋でレイはそう呟いた。




