12話再生
おれたちは、亜人の女性を、パナウェイまで送る護衛をしている。あの『地獄』で生き残っていたのは4人いた中で、たった2人。片耳を切られていた猫獣人のハナ。両手を取られた犬獣人のレンズ。今は、奴隷服が、見えにくいように、マントを羽織ってある。タウ伯爵を殺してから1日たち。おれたちは、ファイから少し離れたところで野宿の準備をしている。リーザとハナが狩りに行っている。ハナが同行した理由は、タウ伯爵に、捕まる前は冒険者だったのと何か手伝いたいらしい。そしておれとレンズで火の番をしている。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
冷たい空気が、おれたちから流れる。
「・・・・おい」
「はっはい!」
レンズが怯えたような声で返す。それを、無視して続ける。
「その腕を、見せてみろ。」
「・・・どうぞ」
おそるおそる、両手を出してくる。おれは、それに魔術を唱える
「万物の理を破壊しその身に現せ。」
『リジョイン』
唱え終えると、レンズの身体が、光始める。数秒、光が続き、光が消えると、綺麗な『両手』が付いていた。どうやら、成功したらしい。
「う・・・そ・・・」
未だに、信じられないのか、両手を開いたり閉じたりしている。
「戻って・・・る。私の手が戻ってる。」
「それで、飯も自分で食べれるだろう。」
これで、わざわざ食べさせる必要が無くなった。いちいち誰かに、食べさせてもらうのは、時間が、かかるからな。そう思っていると、レンズが泣きながら
「ありがとう!!この恩は、絶対忘れない!」
礼を、しきりに言ってくる。正直うっとうしい。
狩りから、戻ってきた2人が、レンズの腕をみて驚いている。1人だけ、治すのも悪い気がしてハナの耳も治す。
「元に戻った・・・信じられない・・・」
戻った、耳を触りながら礼を、言う。
「グレンさん、もしかして『再生魔法』ですか?」
リーザが、おれに聞いてくる。
「ああ」
「うそ!はるか昔に失われた魔法ですよ!?書物も全然残ってないのに、どうやって?!」
「言う必要はない」
そこで、話は終わる。そして3人が食事の準備を始める。そうして1日が終わる。




