第72話 戦力確認!以外な裏スキル?
事務所横の食堂で戦力把握の為、並んだ皆にキスをし左目で確認していた途中で列が途切れる事態が発生する。
「ロニー? ミリー? ロッティも……マーガレット?」
ロニーとミリーは椅子に座ったままでこちらを見ている、ロッティは何故かマーガレットの背に隠れており、マーガレットはおあずけをくらった狐の様に待機していた。
「私とミリーは戦いたくありません……装飾品を作ったり畑の世話をしたりする方が良いです! 我侭だと言うのは分かっています、でもっ!」
ロニーとミリーは余程考えていたのであろう、二人とも目じりに涙を溜めてお互いの手を握っていた。
「別に良いよ? でも一つだけ条件があります」
ボクのその言葉に驚き椅子から立ち上がったロニーとミリー、一呼吸間を空けて条件を言う。
「最低限自分の身は守れるくらいに力を付ける事、後は……皆仲良くリトルエデンを大きくしていく事かな?」
勿体つけてからそう言うとロニーとミリーに近寄り頭をワシャワシャと撫でる。
「「カナタ!!」」
「それやと条件二つやで?」
良い雰囲気だったのにルナが素で突っ込みを入れてきた。まぁ気を取り直してロッティを……
マーガレット越しのロッティはボクが近寄ると右に左にと逃げる。
「ロッティ? キスはイヤだった?」
ボクが声をかけるとビクリッと肩を大きく震わせてマーガレットの背から顔を覗かせるロッティ。
「一回だけにしてください……」
「ふぇっ!?」
何故か涙目になりながら天使御用達の服を脱ごうとするロッティ、慌てて肩を押さえると服を直す。
「落ち着いて! とりあえず見ても良い?」
「痛いのは好きですけど裂ける痛みは嫌いです……」
ダメだロッティがおかしい、話が合わない。ロッティの顔を胸に抱き締めるようにして頭を撫でる、マーガレットがロッティに『初めだけですの~』と言って背中をなでている。
「その、ロッティがイヤならそう言う事を強制しようとは思わないから安心して?」
「はい…体長を万全にしたいので今回はパスします」
「それじゃあ――」
マーガレットが尻尾を振って待っている、ボクは目をそらしアルフとユノ&ユピテルに左目を向ける。
名前:アルフ(彼方=田中=ラーズグリーズの眷属)
種族:人間 年齢:14 性別:男 属性:無
職業:狩人・剣士 位:無し 称号:無し ギルドランク:D
レベル:86[72+14]☆
HP :394/394[200+108+86]
MP :222/222[100+36+86]
攻撃力:114[108+6]
魔撃力:36[36]
耐久力:118[108+10]
抵抗力:10[5+5]
筋力 :122[108+14]
魔力 :50[36+14]
体力 :122[108+14]
敏捷 :122[108+14]
器用 :158[144+14]
運 :NORMAL[5]
カルマ:3482[3562]
UNS
:無し
EXS
:無し
スキル
:【生存の心得F】【鋭敏聴覚F】【鋭敏嗅覚F】
:【鋭敏視覚F】【鋭敏味覚F】【鋭敏触覚F】
:【気配感知E】【危機感知E】【視線感知E】【隠蔽F】
:【生活魔法】【治療F】【耐性:毒F麻痺F石化F】
Aスキル
:【シールドチャージ】【雄叫び】
名前:ユノ(彼方=田中=ラーズグリーズの眷属)
種族:人間 年齢:14 性別:男 属性:無
職業:狩人・戦士 位:無し 称号:無し ギルドランク:D
レベル:84[70+14]☆
HP :389/389[200+105+84]
MP :219/219[100+35+84]
攻撃力:111[105+6]
魔撃力:35[35]
耐久力:115[105+10]
抵抗力:11[6+5]
筋力 :119[105+14]
魔力 :49[35+14]
体力 :119[105+14]
敏捷 :154[140+14]
器用 :119[105+14]
運 :NORMAL[6]
カルマ:3223[3331]
UNS
:無し
EXS
:無し
スキル
:【生存の心得F】【鋭敏聴覚F】【鋭敏嗅覚F】
:【鋭敏視覚F】【鋭敏味覚F】【鋭敏触覚F】
:【気配感知E】【危機感知E】【視線感知E】【隠蔽F】
:【生活魔法】【治療F】【耐性:毒F麻痺F石化F】
Aスキル
:【シールドチャージ】
名前:ユピテル(彼方=田中=ラーズグリーズの眷属)
種族:人間 年齢:14 性別:男 属性:無
職業:狩人・魔法士 位:無し 称号:無し ギルドランク:D
レベル:84[70+14]☆
HP :389/389[200+105+84]
MP :324/324[100+140+84]
攻撃力:111[105+6]
魔撃力:140[140]
耐久力:115[105+10]
抵抗力:11[6+5]
筋力 :119[105+14]
魔力 :154[140+14]
体力 :119[105+14]
敏捷 :119[105+14]
器用 :119[105+14]
運 :NORMAL[6]
カルマ:3231[3352]
UNS
:【予約詠唱】
EXS
:無し
スキル
:【生存の心得F】【鋭敏聴覚F】【鋭敏嗅覚F】
:【鋭敏視覚F】【鋭敏味覚F】【鋭敏触覚F】
:【気配感知E】【危機感知E】【視線感知E】【隠蔽F】
:【生活魔法】【治療F】【耐性:毒F麻痺F石化F】
:【精霊魔法】
Aスキル
:【シールドチャージ】
ふむ、男三人はなかなか頑張っている様子でレベルも高いしステータス補正も結構高い、それに耐性を三つも獲得している。
後、筆頭すべきはユピテルの魔法の才能だろう、UNS【予約詠唱】も気になる。
「アルフ、ユノ、ユピテル、頑張ってるみたいだね! 毒、麻痺、石化耐性なんてどうやって覚えたの?」
「へへん! モウモウが攻めてくる少し前くらいかな? 三人で東門周辺を探索していたら変なおじちゃんが居て耐性の獲得方法を教えてくれたんだぜ! イタッ!?」
威張るアルフをルナの鉄拳が襲い、頭を抱えて椅子に座ったアルフ。
「ルナ? 頭は殴っちゃダメって前言ったよね?」
「ごめんやで……」
「そこ謝る相手違うよな!? オレには…やっぱり良いです!」
尻尾を垂らして謝るルナの頭を撫でる。アルフが反応すると、牙を一本覗かせたルナが八つ当たり気味の視線を向けて近寄ろうとする。アルフは嫌なモノを感じ取ったのか即座にユノ&ユピテルの後ろへ隠れた。
「レイチェルはどうする?」
「ん~私もいいかな~メアリーはまだ獣人だから戦闘センスあると思うけど……私はタダの商人の娘だしね~」
「そんな事言って、レイチェルこの前レベル追いついたって言ってたよね~?」
メアリーが暴露する、レイチェルは『もう! 自衛手段の確保は商人の嗜みだよ~』と言いメアリーをポカポカ叩いていた。
「そして例の如くマリヤとシャルロットとシャルロッテは居ない訳だけど……」
「はい、伝言だって……」
メアリーから手紙を渡される、内容は奈落の穴で生えていたら取ってきて欲しい植物リストと、コカトリスの巣に生えているキノコは必ず確保してくるようにとの事だった。
「まぁあの子達は研究者肌なのかな? 回復ポーションも実用段階までいけたみたいだし……いつかパワーレベリングすればいいか!」
パワーレベリングと言う言葉に反応したアヤカが目を輝かせていたけどスルーした。
「次はジャンヌね~」
もじもじと恥ずかしそうに近寄ってくるジャンヌにキスをして左目で見る。
名前:ジャンヌ(彼方=田中=ラーズグリーズの眷属)
種族:人間 年齢:13 性別:女 属性:無・聖
職業:狩人・聖堂騎士 位:無し 称号:【お姉ちゃん】 ギルドランク:F
レベル:117[104+13]☆☆
HP :573/573[300+156+117]
MP :369/369[100+52+117]
攻撃力:158[156+2]
魔撃力:52[52]
耐久力:162[156+6]
抵抗力:15[14+1]
筋力 :170[156+14]
魔力 :66[52+14]
体力 :170[156+14]
敏捷 :170[156+14]
器用 :170[156+14]
運 :LUCKY[14]
カルマ:12[4104]
SES
:【ラ・ピュセル】
UNS
:【痛覚緩和】
EXS
:無し
スキル
:【生存の心得F】【鋭敏聴覚F】【鋭敏嗅覚F】
:【鋭敏視覚F】【鋭敏味覚F】【鋭敏触覚F】
:【気配感知F】【危機感知E】【視線感知F】【隠蔽F】
:【生活魔法】【治療F】
Aスキル
:【シールドチャージ】
「ブッ! ジャンヌめっちゃ強い! 聖堂騎士? 称号の【お姉ちゃん】っていったい!?」
思わず大声が出た。称号の話しになった瞬間顔を真っ赤に染めて顔をそらすジャンヌ――そして一安心するボク。
これで名前が二個有った日には……天使長――ジャンヌ=ダルクが憑いていたとかなったら泣くところだった。
なんだかんだで気が付いたらブリギッドはボクの中に居るし、天使長の偏愛の矛先がこちらに向くのは簡便願いたい。
「ジャンヌは時々西門の外の子供達と一緒に、食べれる野草やお金になる採取品を集める講習みたいなのしているわよ? アヤカも一度参加した事あるけど皆から【お姉ちゃん】って呼ばれてたわね……」
「そう言えばボクの【絶壁】もオルランドが噂を流した所為で付いた気がする……気にしなくても良いんじゃない?」
「うちは今度からジャンヌの事お姉ちゃんって呼ぶな~」
ルナがニヤニヤしながらジャンヌをからかっている、いつもと逆のパターンだね。
「そう…ですか……お姉ちゃん命令です、ルナは今度の講習に参加してラビッツの解体を教えてあげてくださいね?」
「えっ!? うちは…少し忙しいんやで……」
逆に言い返されたルナはタジタジになり、ジャンヌから離れて様子を窺い始めた。
「さて、昼ご飯食べたら行ける人は秘密基地の広間に集合でヨロシク!」
ボクがそう宣言するとマーガレットが食って掛かる。
「私キスしてもらってないですの! そっちがその気ならこっちは――」
舌なめずりしながらマーガレットがにじり寄って来る。
マーガレットにキスしよう物なら絶対押し倒される。
「マーガレットお座り! 最近ちょっと欲望に忠実過ぎない? 普通の人だったら干乾びてるよ? 多分……」
ちゃんとボクの目の前で正座して尻尾を振るマーガレットは、少し考える仕草を見せ何か思いついたような顔になると立ち上がる。
「私、カナタしか知らないし、他の男に興味はありませんの!」
「あ…んん、そう言う意味じゃなくて少し自重しようって事を――」
「私の事…嫌い?」
急にしゃがむと上目ずかいになり涙を浮かべた目でボクの顔を見上げてくるマーガレット。
両手は豊かな双丘の前で握られており、最近ますます大きくなったソレを押さえあふれんばかりのプルルンが目に……
「アヤカ! マーガレットに何か教えたでしょ!?」
この仕草はおかしい、先ほどアヤカの立っていた位置を見ると居ない。良く目を凝らしてみるとルナを抱っこするキャロラインの隣に自分を【隠蔽】スキルで隠すアヤカが居た。
ユックリ歩いて行きアヤカの頭を鷲づかみにする。
「あ、痛い? ちょ~と人生相談をね……ほら! マーガレットもそろそろ子供欲しいって言ってたし? 私の教えた色々役に立ってるでしょ? 知識だけなら任せてね!!」
「その……色々とありがとう?」
そう言う事だったのか、マーガレットが初めてにしては色々知ってるから何故かと思ったら、アヤカが入れ知恵していたみたいだ。アヤカ先生ありがとうございましたっ!
「そういえばキャロラインはどうする? ルナと一緒についてくるなら一応戦力に入れるけど……」
「キスはダメですわ」
「違うよ!? 戦力として考えるならステータスを……最悪どんな感じの役割かだけでも教えてもらわないと危ないでしょ?」
キャロラインはルナを抱っこしたままボクの周りを回り始め、ルナが尻尾を振り始めたところで考えが纏まったのか足を止める。
「どうせ家族になるんですし…見て良いですわ」
「? 了解~」
名前:キャロライン=ヘルヴォル
種族:人間 年齢:18 性別:女 属性:無
職業:魔法士 位:ヘラクトス王国・王位継承権第6位王女
称号:【庶民派王女】 ギルドランク:D クラン:小さな楽園
レベル:60[42+18]☆
HP :281/281[200+21+60]
MP :202/202[100+42+60]
攻撃力:23[21+2]
魔撃力:42[42]
耐久力:26[21+5]
抵抗力:5[5]
筋力 :39[21+18]
魔力 :60[42+18]
体力 :39[21+18]
敏捷 :39[21+18]
器用 :39[21+18]
運 :NORMAL[0]
カルマ:4[1351]
UNS
:【糸を紡ぐ三人の乙女】
EXS
:無し
スキル
:【精霊魔法】
Aスキル
:【手当て】
装備品
武器 :ラビッツレイピア[攻+2]
盾 :硬皮の盾[耐+1]
兜 :ラビッツの帽子[耐+1]
仮面 :無し
服 :天使御用達の服[耐+1抵+1]【浄化S】【自己修復S】
鎧 :ドルイドのローブ[耐+1抵+2]【隠れ蓑】
腕 :ドルイドの腕輪[抵+2]【精神統一F】
腕 :無し
靴 :ラビッツの靴[耐+1]
その他 :冒険者リング
:シュヴァルツカイザーバックパック【亜空間ボックス】【超硬度】
あれ? クリスの妹なのに同じ歳?
「言いたい事は分かってますわ。時期的に少しずれてるだけでクリスティナお姉さまと同じ歳ですの」
どうやら顔に出ていたみたいでキャロラインがすぐに教えてくれた。それにしても【庶民派王女】の称号はどういった経緯で手に入れたのか気になる。
「キャロライン、レベルのわりにステータス低いし何でこんなにスキル少ないの?」
「はぁ? UNSは後で覚えたにしても二つもスキルを所持していたら十分だと思いますわ……」
何か間違えた事を聞いたのかな? キャロラインが呆れ顔で抱っこしているルナを右に左に振っている、振られている本人は案外楽しそうで尻尾が一緒揺れていた。
「皆一〇個以上所持してるって事はうちのクラン員は優秀なのかな~」
「はぁっ!? 今何を言ったの?」
「ウェッ!?」
ルナを放り出し引きつった笑みで詰め寄ってくるキャロライン、放り出されたルナは呆然とした顔でこちらを見ている。
「ルナのステータス見たら分かると思うから止まって! 何か怖い……あとは、この【糸を紡ぐ三人の乙女】ってどんなスキル?」
「あぁそれは――」
それとなくスキルの能力を聞く事で、上手く話しをそらす事に成功した。
「【糸を紡ぐ三人の乙女◇月】! 三人までの特性をコピーするスキルですの」
キャロラインが目の前でスキルを使用し、頭からルナと同じ猫耳とローブで見えにくいけどお尻に狼尻尾を生やした。スピンアヤーンって英語?
「スピンヤーンで糸巻きだったような? アが入ると確か……スマホ先生お願いします!」
少し考えたけどスマホ先生の辞書を頼る事にする、適所適材だよね!
「言葉を紡ぐ・物語を作る・冒険談をする?」
「【言葉を紡ぐ三人の乙女◇月】あ、あれ? あーあー声が変わった?」
キャロラインがもう一度スキルを使うと、耳と尻尾が無くなる代わりに声がルナそっくりになった。
「どうやら複数能力があるスキルみたいだね」
「楽しいかも! 【物語を紡ぐ三人の乙女◇月】あん!? 身体が縮んだ!」
「うちが二人になったで!?」
キャロラインがルナそっくりに変身した。ルナは驚きペタペタと身体を触って感触を確かめている。
キャロラインは手鏡で自分の顔を確認するとルナの手を引き『ちょっと言ってくるわ!』と飛び出していった。
一緒に付いて行ったアヤカの話しだと露天風呂の鏡の前で裸になりルナとどこまで同じか見比べていたそうだ。もちろんまったく同じで違うのは声だけだと言う結果になったらしい。
「最後のお楽しみも試すしかないわ! 【冒険談をする三人の乙女◇月】? 変化無し?」
「何も変わってないで?」
「【冒険譚を紡ぐ三人の乙女◇月】!? うちがキャロラインやで!」
「声も一緒やで!」
「あれ…うちの身体が痛いで……ゴフッ!?」
ん? 何か様子がおかしい!
目の前で首を傾げるルナとルナの姿になったキャロラインが同じ声同じ姿で話しているまでは良かった。キャロラインが地面に膝を付き吐血し始めた。
「スキルを解いて! 多分キャロラインにルナの声姿形能力を同時にコピーするのは早かったのかも? どれか一つにしとかないと負担がやばそう! 【治療C】あ、こういう場合【ヒール】の方が効果が高い! アヤカ!」
ボクがアヤカを呼ぶと、すでにキャロラインの側に膝を付き抱えるようにしてヒールをかけていた。自分が怪我だと認識出来ている分には【治療】で直せる、自身がやスキル使用者が怪我を認識出来て居ない場合【ヒール】の方が回復が早い傾向があった。
「あれだ……ごめんなさい、ボクが変な事言い出さなければ――」
「これは多分裏スキルですわ! むしろ感謝しても仕切れません! これで姉や兄を見返せますわ!」
すぐに顔色が良くなったキャロライン、さほど怪我は酷くなかったみたいだ。元気にハシャギ打倒姉兄を掲げている。
「くれぐれも無茶しないようにね、クリスの妹に怪我させたなんて事になったらクリスからどんな目に合わされるかわかったモノじゃないしね……」
ボクの心配を他所にまたまたルナを抱っこしてクルクル回り始めたキャロライン。
マーガレットは軽いキスをして冒険者ギルドに用事があるから狩りにはいけないとの事を言うと、かなり残念そうな顔で後ろを振り返りながら出て行った。
前衛と程よい数の後衛が居て全員ヒーラーとか最強のPTが出来る気がする!
各自の準備もあるようなので、昼ご飯まで一度解散となった。




