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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第2章 ピースフルデイズ
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SS ルナの三〇分クッキング!

 ラビッツが大きくなった! 嬉しくてつい飛びついてモフモフしてしまった。

 ロイヤルARMOREDラビッツ(ラビイチ)Lv1129やってカナタが言ってた。うちが知ってるラビッツは、ホースラビッツやってネーネが言っていた……カナタの魔力を食べてたからもっと大きくなったんやね。


 嬉しくてモフモフしすぎた。気が付いたらカナタが居ない……プテレアのニオイと一緒にカナタの気配が移動している?

 バレない様にこっそりと付いて行く、別に隠れてるわけやないで? うちの【隠蔽S】が使ってくれと言ってるだけや。


 カナタとプテレアが畑の中に入って行く、うちは少しだけ時間を空けてこっそり後を追う。クイーンモウモウ――フリーシアンがこっちに気づいて鳴きそうになったので、両手を上げて威嚇しておいた。言葉に出さなくても言いたい事は伝わったようや、何故か肯いて自分の右前足を額にくっ付けてたけど……何か意味があるポーズなんかな?


 小屋の中から会話が聞こえる……料理の話しみたいやね。少しホッとする、うちなんでホッとしたんやろか?


 少しだけ扉を開いて中の様子を窺う、カナタが結界魔法を使って見えない鍋を作っていた。

 前教えてもらって小さい結界は張れるようになったけど……カナタは凄い! うちに出来無い事をいっぱい出来る。どうやらプテレアにもやり方を教えてるみたいやね。

 うちも出来る様になってカナタを驚かせたい。メアリーに教えて貰った文字で、尻尾に隠してた紙にやり方を書く。最近、王様の住んでる町で開発されたってレイチェルが言ってた紙や、一枚でラビッツの肉一匹分の値段もするんやで……


 うちがこっそり紙に書いているとプテレアに気付かれた。こちらを一瞬見たけどカナタには言わないでいてくれるみたいや。今度狩りに行った時にでも美味しそうな植物を採って来てあげよう。


 材料はカナタ芋と同じ量の水……水よりモウモウのミルクの方が美味しいしミルクで良いよね? うちオリジナルにするで! 材料はそれだけ?


 皮を剥いたカナタ芋を、結界鍋にすり入れてミルクと一緒に煮込む? 初めは余り温めないみたいやね。

 見た感じ小さい泡が出てきたらそれ以上温めないみたいや。カナタが何か魔法をかけた? 液体がドロドロしてくる? 何したか分からんね……そのまま煮込めば問題無い!

 次は結界鍋をもう一個作って移し変えた? 元の結界鍋に何か筋っぽいのが残ってる……要らない物を取り除いたんやね。これならうちも結界で網を作れば出来るで!

 また煮込むん? ドロドロしてきたけど……ミルクをそんなに煮込んだら美味しくなくなるってメアリーが言ってたしこっちはそのままで止めるで!


「今誰か居なかった?」

「……さぁ、ラビッツじゃないでしょうか?」


 気を抜いた瞬間カナタに見つかりかけた! プテレアの蔓が足を突いてくれなかったら見つかってた……今度の狩りはお土産の植物優先やね。

 作り方は分かったしこれ以上はばれそうや、早速メアリーの部屋にあるかまどで作るで!




 ――∵――∴――∵――∴――∵―― 




 メアリーを探すと事務所の前でレイチェルと一緒に食べ物の買出しの話しをしていた。


「メアリー! 今からうちオリジナルを作るから手伝ってや! レイチェル、後の事は任せたで?」

「「えっ?」」


 惚けるメアリーを引っ張って地下の個人部屋へと移動する、レイチェルはすぐに気を取り直して準備に戻っていった。


「何するの? 私今忙しいんだけど……」

「これを作るんや! 新しい商品の儲けはうちとメアリー半々で良いで?」

「それなら少しだけ……ちょっとだけだよ? ルナと違って私は忙しいんだから」


 やり方を書いた紙を見せて言葉巧みに誘う、メアリーが食いついた。お金がかかわるとメアリーは弱いらしい?

 カナタ芋はプテレアから貰えるし、モウモウのミルクはフリーシアンから貰えば良いし、作るのもメアリーに任せたらうちは丸儲けやね!


 メアリーの個室に入る、初めと違ってプテレアが来てからは部屋全体丸ごとプテレアの蔓で出来ている。

 見た目の色とか触り心地が前と変わらないのは凄い、擬態やって言ってた。

 部屋の中で火を使っても苦しくならない様に高性能な換気口と給気口をプテレアが付けてくれたらしい、前までは火はダメってロッズが言ってた。うちは自分の部屋を物置にしか使ってないから問題無い。

 扉もプテレアが開け閉めしてくれる、部屋の主以外は基本開けてくれない。ぷらいばしー? が必要とかプテレアが言っていた。

 確かにロッティがうちのラビッツの干物をこっそり持って行こうとしていたので、鍵が付いたのは良い事やと思う……ロッティはお尻ペンペンの系にした。


「見てこのダブルかまど! カナタに頼んで超硬化もかけてもらったんだよ! これで煮物とパンが同時に作れるよ~」

「はい、この通り作ってな?」

「ルナ、乗りが悪いよ……鍋二個使うの? ふむふむ」


 最近のリトルエデンブームは考え事をする時は『ふむふむ』や! カナタのマネをしてみたい。

 さすが宿屋の娘メアリーは手際が良い、あっと言う間にカナタ芋を洗い皮を剥き鍋にすり入れて温め始めた。


「それにしても、ルナ字汚いね……私じゃないと読めないよ?」

「カナタには直接言うし、メアリーが読めたら良いやん?」

「ルナには書類作業は任せられないね……」


 カナタは魔法ですぐ作ってたけど鍋で煮込むと少し時間がかかるみたいや。小さい泡が出てきたくらいで一度火を止めてもらう。


「うちが結界の網で筋取るからメアリー覚えててな?」

「はい網、これ使ったら楽だよ?」


 メアリーは鍋に網をセットして移し変えてくれた。これはますますメアリーに任せても良いかもしれない。


「カナタが作ってたのはもっとドロドロしてたんやけど……まぁ、冷まして味見や!」

「ふふふー。私最近冷たい風出せる様になったんだよ~」

「さすがメアリーや! うちはそんなメアリーが大好きやで!」

「えっ、それほどでもあるかな? さすが私! 私も大好きだよ~」


 メアリーと抱き合って尻尾を絡める、獣人は親しい相手と尻尾を絡めて抱き合うってスコールが言ってた。何か落ち着く、カナタに尻尾があれば良いのに……


 二人で風を送って冷ます、前カナタは水をかけて一気に冷やしてた。アレどうやってるんやろか?


「まずは功労者のメアリーから味見してや? うちは二番で良いで」

「良いの? ありがと~。それにしてもそんな難しい言葉どこで覚えてくるの?」


 メアリーが一口飲むと目をまん丸に開いてまた飲み始める……飲み終わってもコップを持ったまま惚けている? おかしい、うちとメアリーは耐毒のスキルを持っている、多少なら効かないはずやし使った材料はカナタ芋と普通のモウモウのミルクだけやで?


「美味しい……ルナは飲まないの? これ蜂蜜ミルクより美味しいよ! 明日から作って宿にも卸すね~」

「そうなん? うちも飲むで……美味しい! これならカナタも喜んでくれるはずや! でもカナタの作ったやつより美味しかったらまずい……何でも無いよ?」


 うちがこぼした言葉をメアリーが聞き変な目で見てくる、咄嗟に誤魔化したし大丈夫なはずや。

 でもこのカナタ芋ミルクが売れたらうちは大金持ちやで! そろそろ幹部クラン員の育成も終わる頃やし、そのお金を元にリトルエデンの一般クラン員も増やし始めるしかない。

 リトルエデン本拠地の隣の土地を買って、ロッズに一般クラン員用の住居を建ててもらって……三食に無料で治療に温泉と昼寝付きで募集やね! 上がりの四割……ここはいっぱい人集めないとダメやから上がりの二割を上納で良いかな?


 将来カナタの嫁にする候補も探せるし一石二ラビッツや! 男女は別にしとかないとダメやね。一緒に眠ようとするやつは……ロッズと添い寝の系やで!


「ルナ、いきなり思い出し笑い? ちょっとニヤニヤ怖いよ?」

「将来リトルエデンをもっと大きくする算段をしとってんで! 見習いや新人冒険者をいっぱい入れてロッズに作ってもらう住居で一緒に生活して上納金は二割やで! 福利厚生もしっかりやで?」

「時々……ルナが凄く見えるよ」


 ため息をつくメアリー、うち今褒められたん? さすがうちの考えは凄いって事やね!


「それじゃあメアリー宴会始まるまで量産お願いやで? 今日はお試しに振舞うから遠慮せんで良いで!」

「それは私のセリフだと思う……どうせ、ルナが尻尾からカナタ芋大量に出した時点でこうなると思ったよ!」


 うちはメアリーにカナタ芋とモウモウのミルクを持ってきただけ渡して外に出る。まだ二〇分くらいしかたってない、宴会まで時間つぶさなあかん。

 あ、アルフと名前知らない二人の男の子や、三人で何相談してるんやろ?


「何の悪巧みしてるんや~」

「ボス!! いや、その、これは、あの」


 アルフがどもって残り二人も固まる、図星みたいやね。多少の事は許すけどカナタの嫁にちょっかい出したらスコールと同じ目に遭わせる予定や。


「レッティの事やったらもう諦めや? あの子はもうカナタの嫁や……全身隅々までカナタのモノやで?」

「あぁ、その事ならもう諦めたよ。もともとレッティは歳が近いオレと一緒に居たら、何とかあの場所から抜け出せるって思っていたみたいだからな……本人から聞かされた日は三人で泣いたぜ? ロニーとミリーなんてユノとユピテルの名前すら覚えてなかったんだぜ? 幼馴染だぜこいつら……女って怖いよな! それにレッティもロニーもミリーも、オレ達がカナタに近寄ると殺気の篭った目で見てくるんだぜ? 完全に女の目でカナタに甘えてたと思ったら……オレ達に向ける視線は暗殺者も真っ青だぜ!?」


 色々有るんやね。アルフと……ユノとユピテルって名前やった二人も。まぁ、カナタに比べたらそこら辺の男なんて汚いモノどうでも良くなるのは分かるで。


「それで、どうするかの相談してたんやね」

「オレ達を拾ってくれた恩を返す為には……このままじゃダメな気がするんだよ! 何かきっかけが見つかったらオレ達は旅に出る……内緒だぜ? ボスだから言うんだ。オレ達に才能(ギフト)をくれたカナタに、立派になった姿を見せる為にはここの居るだけじゃダメなんだよ……」


 この三人が緊急依頼中に怪我人の救援と避難誘導をやっていたのをうちは見ているし、自分達の事よりリトルエデンの事を優先してくれてるのは知っている。

 もし……その時が来たら笑顔で送り出してあげるで!


「安心し、うちはその時が来たら背中を押したる。カナタを悲しませる様な事だけはするんやないで?」

「もちろんだって! 今は先の事より目先の事だぜ! オレ達は宴会の準備に戻るな」


 三人が椅子やテーブルの準備に行くと、事務所の影から三人を眺めてヨダレをたらしていたアヤカに手を振る。

 アヤカは時々三人を眺めてニヤニヤしている、カナタに聞いたら『見なかった事にしてあげて』と言われた。


 左腕からスマホを出す、時間がわかるから便利やね。アレからまだ一〇分しか経ってない、待ち遠しい事があると時間が経つのが遅く感じる。

 早くカナタと一緒にカナタ芋ミルク……言いにくいからカナタミルクで良いかな?


「早くカナタミルク飲みたいな~」


 アヤカが咽を『ゴクリッ』と鳴らしてた。皆の分もあるから安心してや! 今いっぱい作ってるところやからな! メアリーが。

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