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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第2章 ピースフルデイズ
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第61話 緊急依頼とお財布終了!生活魔法チート?

 リトルエデン本拠地の壁に開いた大穴を通り抜けた先で待っていたのは、大きなモウモウを捕獲したプテレアでは無く……


「あっれ~? 今朝から見ないと思ってたらいつの間にかラビイチも……ラビニとラビサンも大きくなっちゃって。餌が良かったのかな?」

「主殿? 現実を見てください」

「うちの言ったとおりやろ? 成長が早い気もするけど……」

「「「「「「凄く、大きいです……」」」」」」


 驚く事になれたクラン員は現実離れした光景を前に平然とコメントを返してくれる。まだ日が浅いアヤカは口をパクパクと窒息しそうな金魚の様に開け閉めしており、何を言ったら良いのか困っている様子だ。


 目の前に広がる光景にボクはラビッツへの認識を改めさせられる事となった。

 プテレア畑では、蔓で編んだ椅子に座ったプテレアが蜂蜜ミルクを飲んで寛いでいる……そこまでは良い、問題はそのプテレアが眺めている光景であり、今ボク達が絶句している光景だ。


「大きなモウモウが小さくなって、ラビッツ達が大きくなって、ラビニとラビサンがモウモウに蹴りを入れて、ラビイチが尻尾? でモウモウに往復ビンタしている!?」

「そのままじゃない……アヤカ疲れたみたいだから先にお風呂入って来るわ」


 ラビッツ達は今朝まで中型犬くらいの普通のサイズ? だったはずなのに、どう見ても1m級の高さに体長は多分2mを超えるだろう巨躯になっている。体のあちらこちらに毛で出来た鎧のパーツ的な物がくっ付いていて、どう考えても普通のラビッツじゃない。何故か虐げられている大きいモウモウ? は普通のモウモウと同じ1mサイズまで縮んでしまっていた。


『クイーンREVOLTモウモウLv129』 


 間違いない、簡易鑑定で確認してもこのモウモウが上位種だ。サイズが縮んでいるのは何か訳があるのだろう……


「クイーンREVOLTモウモウLv129らしいけど、プテレアは何でこんな事になったか説明出来る?」

「はいはい~主殿の為ならいくらでも! 歩行形態で町を歩き回っていたところ……白黒のモウモウが店の影からこちらを見ていたので蔓を餌に本拠地まで釣り、今朝から進化疲れで休んでおられたラビイチ様の栄養にでもと……」


 突っ込んで良いのか分からなくなる。プテレアは普段から町を徘徊している様で、何気に町の人気者になっていた。


「ラビイチに様? プテレアLv480だったよね?」

「スプライトとして生まれてきた私には、そもそもラビッツは天敵なのですが……」


 草木に宿る精霊であるスプライトには、魔力に引かれるラビッツは天敵みたいだ。

 ラビイチを見る、クイーンモウモウの顔は腫れ上がりもう牛の面影が全然無い……容赦無い尻尾ビンタを繰り出すラビイチは実は強かったって落ちかな?


『ロイヤルARMOREDラビッツ(ラビイチ)Lv1129』


「ロイヤルARMOREDラビッツ(ラビイチ)Lv1129!? 普通にボクより強かった! しかもアルファベット持ちに進化してる……」

「触っても良い? 乗ってもええ? 我慢できひん!」


 ルナが我を忘れてラビイチに飛びつくとモフモフし始める、ラビイチも尻尾ビンタを止めてルナに甘えている。


 よぉ~く考えてみれば魔王領『夢魔の楽園』に生息していたラビッツが弱いわけが無い、アウラが言っていたラビッツにも殺されると言うのは、比喩でも何でも無く普通に現実の話しだったみたいだ。


 レッティとアンナもそれぞれ自分の騎乗するラビッツが成長? して嬉しいようで駆け寄ってモフモフしている。


 放置された大きいモウモウは逃げる気力も無いみたいで口を小刻みに開け鳴いていた。


「モモモモモォ~モォ~モォモォ~モモモモ~モォ~モォ~モォ……」


 何か歌っていた……余裕があるのかもしれない。止めを刺そうと近寄るとメアリーがボクの前に立ちふさがる。一瞬クイーンモウモウの目に光りが差す。


「カナタ、止めを刺すのは待ってよ。もしかしたら商売の種になるかもしれないし飼えないかな? 責任もってプテレアが世話するから……」

「私がですか!?」


 メアリーがそう言い何故かプテレアを指名すると、指名された本人は焦って蔓の椅子から滑り落ちた。


「Lv129だよ? 危なくないかな? ボクやプテレアは良いけど、皆は攻撃されたら一発二発は不意打ちでも耐えれると思うけど……それに大きくなれるのかもしれないよ?」

「そうです、お肉にしちゃいましょうよ! 主殿に賛成です~」

「もし、慈悲深いカナタを裏切る事があれば……どんな目に合わせるか考えるからちょっと待ってね!」


 厄介事は要らないといった雰囲気でプテレアはボクに賛同してくれる。メアリーは少し考えて恐ろしい事を口にし始めた。


「牛用の固定台に貼り付けにして、生きたまま肉を削ぎ落とし新鮮な焼肉を冒険者ギルドの皆と楽しむとか? 治療をかけ続けるから死ぬまでに大分お肉取れると思うし……」


 この場に居た全員が、開いた口が閉じないと言う事がこの世には有るのだと知る。


「プテレアの根を穴と言う穴全部に入り込ませて、生きたまま栄養源になってもらうとかも良いよね? 治療をかけ続ける限り多分死なないし……」


 クイーンモウモウは言葉がわかるのか口から泡を吹き始めている、そしてラビッツ達も一歩後ろに下がった。もしかしたらメアリーは一番怒らせてはいけない人かもしれない。


「他には……「もう良いかも?」えっ?」


 メアリーの考えた拷問話を聞いている間に、クイーンモウモウはボクにすがる様な視線を送ってきている、【テイム】を使うとあっさり従魔に出来た。


「従魔は主を裏切れないんだったよね? もうテイムしたから安心して良いよ。名前は何が良いかな~」

「うちはステーキが良い!」

「ブモォ!?」


 ルナがそう言うとクイーンモウモウは横たわったままビクリと跳ねる。出血が酷そうなので先に治療をかけ完治させる。


「それは流石に……メアリーが考えて良いよ?」

「フリーシアンで! お父さんもモウモウ飼ってるからいずれ大きな牧場を作るよ~」


 スキップしそうなほど機嫌が良くなったメアリーは早速レイチェルと商売の話しをしている、そして世話を押し付けられたプテレアはメアリーには逆らえないと悟ったのか、フリーシアンを連れて畑の一画に囲いを作り始めた。屋根とか無いけど雨が降ったらどうするのだろうか?


「雨とか雪とか降ってきたらどうするの? いくら強くても野晒しは可哀相な気がする」

「カナタは何言ってるの? 外の村じゃないんだから雨も雪も町の中に振ってくるわけが無いよ? 壊れた結界もすぐ戻ると思うしね~」


 皆の視線が痛い、町を覆う結界は雨や雪までガードするのか……中心にある冒険者ギルドには謎テクノロジーが多過ぎる。


「アレ? プテレアの畑ってこんなに大きかったっけ?」


 ふと、ボクは疑問に思った事を口にする。プテレアがビクリと肩を震わせ、草笛を吹きながらフリーシアンの汚れを落として餌? に蔓を食べさせている。


「ラビッツ射的場は主殿がもう要らないと言ったって、プテレアが言ったので……畑広げましたけどいけなかったですか?」


 ロニーが曇りの無い眼でボクを見てくる、ミリーは疑惑の視線をプテレアに向けていた。


「あ、あ、うん、そうだよ? そんな事をチラっと言ったかもしれない」

「ならもっと広げますね~。最近またプテレアが大きくなってきちゃって……」


 ロニーとミリーがボクに抱きついてくる。プテレアに視線を向けると畑で土下座して蔦を振っているプテレアが居た。


 まぁ、カナタ芋の為なら仕方ないよね? 射的の訓練は実戦方式で行く事で納得してもらおう、幸い東門の外――ダンジョン『奈落の穴』より奥の森は手付かずで放置されているらしい。資源の宝庫だね!


「そろそろ冒険者ギルドに緊急依頼終了の報告しに行った方が良いと思います」

「あぁ、マーガレット頼める? ボク達は焼肉パーティの用意してるから、この畑を見られるのはまずいから事務所の前の庭で準備するね? 皆に声かけといてね~」

「冒険者ギルドの部屋に良い調味料があるのでそれも取ってきます、少し遅れるかもしれませんがカナタ達は先に始めていてくださいね?」


 何かマーガレットがまともだ。流石にアレだけ痴態を晒して反省したのだろうか?

 ボクとルナとメアリーの旧寝室がある倉庫は現在完全にリトルエデンの事務所と化している、覗いたら書類作業をするレイチェルに捕まりそうになり焦って逃げた覚えがある……


「カナタ~」


 呼ばれて振り返ると両手を前に出したレイチェルが居る、この両手は何かの遊びかな? ボクも両手を前に出し手を重ねてみる。


「カナタ? 宴会の費用。今日は全部カナタ持ちだってメアリーが言ってたよ?」

「何だって!? そう言えばスプラッタ事件の時そんな事言った気がする……」


 何でメアリーがその事を知っているのか……考えられるのは? 四人組? いや違う、ルナでも無いと思う、と言う事は……スコールを探す。


「いや~今日はカナタの奢りやからぎょうさん食べるで~モウモウの肉やなんて何年ぶりやろか? ハハハァー」


 ハハハァーとか笑っているスコールが居た。いや、別に良いけどね、アレはボクが悪いし。ちょっとスコールの笑い方が気に入らないだけでね? 今日はガルワンに、沢山食べて精つけないとスコールが元気いっぱいだよって伝えてあげよう。


 両手を出したままのレイチェルを放置するのも悪いしスマホからお金を出す、いくらかかるか分からなかったので全部出し自分の両手に乗せる。硬化ばかりだとかなり重いよね……


「ありがとうございます! 色々美味しい物用意しますね~」

「え? あ、ちょっと……」


 両手からボクの全財産である9380イクスを丸ごと布袋に移すと走り去っていくレイチェル……


「マジで……九三万八千円だよ? 大銀貨1枚と半銀貨8枚と銀貨3枚半銅貨8枚……」


 いつの間にか隣に来ていたプテレアが惚けるボクの肩を叩いて首を振っていた。


「まずいなんてもんじゃない! ちょっと宴会の準備が終わるまでに燻煙の用意と、カナタ芋もついでに干すからプテレアも手伝って――報酬は魔力全開で!」

「この身は主殿の為に!」




 ――∵――∴――∵――∴――∵―― 




 焦るボクは脇目も振らず走り燻製器の元へと向う。燻製器の置いてある射的場の隣に……畑の中!?


「プテレア大変だよ! 燻製器がグリーンジャングルの中だよ?」

「主殿こちらへ……」


 悪人っぽい笑い顔でプテレアがグリーンジャングルの中へと入っていく、嫌な予感がしつつも付いて行くと黒鉄杉で出来た小屋が立っていた。

 畳み六枚分くらいだろうか? 少し奥行きがあるのでもっと広いかもしれない、正面についている少し小さめな扉を開けると燃料の薪やチップを燃やす燃焼箱を置いてある部屋があった。燃焼箱に繋がった木製のパイプの様なモノから後ろにある三つの部屋に煙を送り込むみたいだ。ボクが設計した物より高性能になっているのは流石職人と言わざる終えない。


「プテレアこれ凄いよ! 三つの部屋がそれぞれ別の物を燻煙出来る様に個別になってる! 肉と芋を同時に燻煙出来るかも。それにちゃんと煙に炙られて落ちた脂が燻煙中の食べ物にかからないように工夫してあるし、縦に三段引っ掛けれる様になってるからかなりの物を同時に燻煙出来る! あ、こっちの部屋は燻煙網までセットしてある! 職人の粋な計らいだね~」

「主殿が何言ってるのかわかりません!」

「良いよ! プテレア、前渡した植物はもう収穫出来る? 根の方じゃなくて蔓に出来た方で良いよ?」

「私を誰だと思ってるんですか主殿! もう既にスプライトを送り込んで根も収穫可能な物が三本は有ります! この小粒な芋はいっぱい取れてますよ?」


 いつの間にか仲間を増やしていたプテレア……でもそんな事今はどうでも良い! プテレアが差し出した編み籠には大量の小さくて黒い2cmサイズの丸い物体と10cmサイズの……アレ? 見た目が違う?


「グレイトな仕上がりだよプテレア! でもムカゴ芋は良いとして、この自然薯は? 短いし何かボクの知ってる物と違う様な……」

「毒性も無いですしそのムカゴ芋と言う物より栄養価も高いみたいですよ? 試食してみたところ粘り気と非常に味と香りの良い芋で思わず嫉妬しそうになりました!」


 サツマイモに宿ったドリュアスがヤマイモ食べて嫉妬してる!? まぁ、食べれるみたいだし美味しいっぽいから問題無いよね!


 皆に内緒で八百屋から仕入れた自然薯の鉢は、ムカゴ芋を収穫する植物だと勘違いされていた。栄養の問題なのか鉢が小さ過ぎるのがいけないのか、ムカゴ芋は採れるけど根と言うか自然薯は成長しなくなっていたので上手く育てれたらお金になると思い購入していた。


 プテレアは興味津々と言った様子でボクの後ろから作業を見ている、時間が無いので魔法全開で行くよ!


「まずは時忘れの身とラビッツの肉に塩を擦り込んで……塩が無い」


 悲しくなって涙が出てきた。肩を叩くプテレアの方に視線を向けると壺一個分の塩を抱えていた。


「ありがとう! でもどうやって塩を?」

「伊達に昼間町を歩き回ってないです! 主殿の為に主婦の方々と仲良くなって色々しいれてきました。対価として生の蔓を渡しましたけどかなり評判良いですよ! 栄養満点です~」


 気が付かないうちにプテレアは社交性も得ていた様で、主婦連盟の名誉会員なんだとか?


「生の蔓か……売るなら乾燥品とどっちも一緒に売る感じで良いのかな、手間は魔法で乾燥させるから殆ど変わらないしね」

「それでは塩を擦り込むところからお願いします~」


 やけに熱心なプテレアの気迫に押され気味になりながら作業を再開する。


「肉や魚は塩をちゃんと擦り込んでから乾燥させます、出てきた汁は捨てる方向で。綺麗に洗ってあるみたいだしムカゴ芋と自然薯は直接乾燥させて下準備OKかな? カナタ芋は……今回は輪切りのスタンダードタイプで行こうかな? ちなみに塩を多く擦り込んだ方が長持ちするらしいけど味も考慮して程々で行くよ、魔法で乾かすし水分なんて残さないから保存性には余り関係無いよね!」

「ふむふむ」


 うなずきメモを取る仕草をしているプテレアをチラ見してから乾燥作業に入る、今回は温燻にするので長時間の監視が必要だ。プテレアが監視作業を行なってくれるとの事なので任せる事にした。


 余り熱くない温風を作り出し乾燥させていく、奪った水分はそのまま部屋の外に捨ててどんどん乾燥させていく。プテレアが蔦をボクの口に突っ込んでくる、水分補給に少し噛んで汁を吸う……甘い。


 普通なら大分時間がかかる作業も魔法なら数分、驚くほど作業効率が良い。


 今回の燻製器……もとい燻製室は煙を送るパイプの長さで煙の温度を調整出来る様にしてあり、温燻なので真ん中の切り替え窓へとパイプを繋いで準備OKだ。熱燻は一番下の短いパイプ窓へ、冷燻は一番上の長いパイプへそれぞれ繋ぐ事で三タイプの燻煙を可能としてある。


「後は各部屋に食材をセットして……燻煙材は脂が少ない木なら大抵何でもいけたけど、今あるのは三種類か。プテレアどう思う?」

「少し食べてみます、ふむ? もぐ、ふむ……この一番色が薄い木が癖が無くて舌に残る風味が良いですよ? この黒っぽい木は風味は良いですけど癖が有り過ぎる気がします……逆に白っぽい木は風味も癖もあまり無いですね」


 植物なのに舌なんてあるのかな? 薪をかじりテイスティングしたプテレアが選んだ燻煙材を使う事にする。


「今日はこの色の薄い木でいこうかな?」



『愛桜の薪』

 愛桜の枝や木々を加工して作った薪、非常に香りが良い香木。魔王領『夢魔の楽園』産

 :疲労回復



 なんという事でしょう、これは愛姉(あいねえ)に頼んで薪用の枝や木々を拾ってきてもらうしかない。燻製食品と物々交換で頑張って貰おう。


 燻煙材に火をつけて満遍なく燃やし、不完全燃焼させる為に燃焼箱の蓋をセットする、完全に密封されない事がポイントだ。火が消えてしまっては煙が出ない。


「プテレア、後は明日の朝様子見しに来るからそれまで頼める? もし火が燃え移ったりしたらすぐ消してね? 後は臨機応変にヨロシク!」

「さ~いえっさ~♪」


 蔦をフリフリしながら送り出してくれるプテレア、今更だけどプテレアの蔦は謎だ。

 サツマイモは蔓を伸ばして成長するけど決して蔦はのばさない……いや、考えるのは止そう。

 おっと、芋飴の準備を忘れる所だった。駆け出した足を止め、すぐ燻製室に戻ると……


「プテレア? 何してるの……」

「主殿! これは違います、その……ごめんなさい」


 プテレアが切った蔓を大量に燻製室の天井に吊るす姿を発見する。この部屋は燻煙材を燃やす燃焼箱が置いてある為乾燥している、蔓くらいなら一晩で完全に干しあがるだろう。別に言ってくれたら全部魔法で乾燥させたんだけどね?


「え? 別に問題無いよ? 魔法で乾かした方が早いと思うけど。芋飴も一緒に準備するからプテレアも見てて貰って良い?」

「主殿の頼みならたとえ火の中、水の中!」


 素早く温風で蔓を乾燥させると芋飴の準備も始める、芋飴は驚くほど簡単に出来る。準備する物はカナタ芋と水。時間が無いので色々と手順を省略気味にする……結界で鍋を作り、カナタ芋は魔法で作った水で綺麗に洗い皮を剥き、鍋に水と同量一緒にすり入れる。結界鍋の中の温度が六〇℃~八〇℃になるように調整して芋の糖化を魔法で促進させる、無理やり過ぎて笑いが込み上げて来る。


「主殿? 何か面白い事でもあるのでしょうか……」

「いや~あまりにも魔法が便利だからね……単純な作業なら生活魔法最強だね!」


 出来上がった糊状の液体をそのまま煮沸して、もう一つ用意した結界の中へ濾す。さらに出来上がった濾液を結界鍋で煮詰めて飴状に変えていく……有る程度煮詰まったら魔法で水分を飛ばす事にする。

 全てボクの生活魔法で行なった事で、焦がして失敗する事など皆無だ。

 普通なら捨ててしまう濾した残り物も、繊維質が豊富なので乾燥させて粉状に加工して瓶に詰める。一部の客には大人気になるだろう……剥いた皮も美味しいので乾燥させてスマホに収納しておく。


 結界内に出来上がった芋飴は黄金色に輝く粘度の高い蜂蜜みたいになった。カナタ芋は10kgほど有ったのに芋飴になったら3kgほどに減ってしまった。200g瓶が一五個か……これは大成功と言っても良いだろう。

 一瓶は今日試食する予定だ。まずは出来立ての芋飴をこの場で味わう事にする。


「プテレアあ~んして?」

「主殿!! あ~ん♪ ウマス! 最高です! グレイトですよ!」


 興奮気味のプテレアの横でボクも味見してみる……何これ!?


「うまぁぁぁぁい! 思わず叫ぶ美味さ」


 カナタ芋の風味を損なう事無く濃縮された自然な甘味、粘度はもう水飴を越えると言っても良いほどあり砂糖の代わりどころか、この芋飴自体が十分商品として成り立つ完成度になっている。

 ビックWARビーの蜂蜜も美味しいけど、こちらは優しさが詰まった甘露の様な味だ。準備も含めて三〇分くらいで出来たとは思えない……生活魔法チート過ぎる。普通に作ったら軽く半日はかかるよ!


「これですぐに大金持ちだよ! むふふふふ~」

「主殿、手順は覚えましたので結界鍋を使わない方法を模索します。可能なら量産して主殿の財源に!」


 プテレアは良い子だ。これでお金の心配はしなくても済む様になったと思う。こっちの世界に来てから余り冒険してないよね……明日からは大冒険の始まりかな!


「今誰か居なかった?」

「……さぁ、ラビッツじゃないでしょうか?」


 不意に気配をつかんだ様な気がしてプテレアに聞く、畑の主が気のせいだと言ったのならボクの勘違いだろう。



 こうしてボクとプテレアは宴会の準備が整ったとの報告を受けるまで、カナタ芋を干す作業を追加して芋を使った商品開発について語らう楽しい時間をすごした。

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