第4話 定番のスキル選択と知られざる才能
『初めての異世界』
長かった……やっとここまで来れたよ。やけに薄い冊子を手に涙するボク。
「どうして泣いてるんだい? ヨシヨシしようか?」
ここまでで把握した天使の性格を考えてみると突っ込んだら負けだ。
「すぐ読み終わるので待ってて下さい」
『前書き』
おめでとうございます! 貴方は全世界、全地域の中から選ばれた幸運なプレイヤーです!
今すぐに異世界に行って貴方の思うままの人生を謳歌しましょう!!
詳細は項目にそって確認ください。
1.この事業は私たちと貴方との独占契約の元、契約条件にそって行われるものであり。互いの利益と権利を尊重し、最大限の幸福を約束します!!
契約条件が決まっているかたは項目2.へ。まだの貴方はネゴシエーターと思う存分話し合いお互いが納得できる契約条件をお決めください。
2.私たち自慢のサービスは次のような不安を抱えている貴方でも安心です! 僕は頭が良くないからな~。私の体力じゃ不安。俺はあがり症だから人と話すのが苦手。うちは未知の病原菌や病気が怖いんや。わは怪我ばすらのが嫌いで、痛でのも嫌いだ。死ぬのはもっど嫌いだ。などなどどんなニーズにもお答えするサービスを御用意しております!
名付けて『スキル選択付与サービス!!』パッパカパーン(効果音再生)
私たちは貴方の奥底で眠る才能や本能、不思議な力をスキルへと昇華させるすべを所有しています。(個人の才能にもよりますが)
平均して二個多い方で五個のスキルを選択していただけます。もちろん選択出来なかったスキルも貴方の才能です! 異世界で生活する事によって獲得のチャンスはまだ残っております!!
もし! もしも! もし万が一選択出来るスキルが無かった貴方…………悲観してはいけません!!! チャンスですよ!!!
現在NOジョブNOスキルキャンペーン中につき。な、な、な、何と!!! 選択出来るスキルがゼロの貴方にだけ別紙のUNS! ユニークスキルを選択していただけます!!! パッパカパーン(効果音再生)
異世界でも一個だけ! 貴方だけのスキルをその手につかんで下さい! キラリーン(効果音再生)
またまた何と! 異世界では貴方が活躍する事によってスキルを獲得するチャンスがあります!
それならスキルを選べなかった方がお得で良いんじゃ! とお嘆きの貴方にも朗報です! ここだけの話しなんですけどね……大きい声では言えないんですけど、実はある条件を満たすと手に入っちゃうんですよ? えっ? 何がって? 決まってるじゃないですか! EXS! エクストラスキルですよ! 条件は開示できませんがどんどんチャレンジしてください! 取っちゃってください! 大盤振る舞いのこんこんちきだちきしょうめ!!
3.現在初心者キャンペーン中に付き。Sレベルスキル【浄化・自己修復S】が付与された天使御用達の服[耐+1抵+1]がもらえます。
4.ネゴシエーターのかたと仲良くなると良い事があるかも?(デフォルトでは記念写真一枚サービスとなっております。)
過去にはこんな物を貰った人が居ます! 無限の質量・重量が入るSレベルスキル【アイテムボックスS】が付与された袋。持っているだけで幸運が舞い込んでくるEXS【黄金率】が付与された石。身に着けると銀色のアイツ並みに逃げ足が速くなるEXS【〇〇は逃げ出した】が付与された腕輪。見るだけで相手の情報が丸裸! Sレベルスキル【鑑定S】が付与された眼鏡。どんな壁だって無関係もちろん装備も無関係、見えすぎちゃってごめんなさいSレベルスキル【透視S】が付与された眼鏡。などなど多彩なスキル付与装備が貰えるチャンス! 口説き落としちゃってください!
まず……プレイヤーって何だ? 最初の1.からとっても怪しい。こんなメール来た事あるね。幸福を約束とか一番イケナイパターンだった気がする。
次の2.は本当に効果音が鳴ってビビッタけど、これって始め少し楽できるって事かな?。(個人の才能にもよりますが)ってめっちゃ小さく書いてあるけど。異世界で生活してたら選択出来るスキルは覚えれるみたいだし。キャンペーンはアレだけど……NOジョブって? やけに元気が有る文章と言うか、こんなうるさいのテレビで見た事が有る気がする。
急に3.になって静かになった。初心者キャンペーンって常時やってそうな感じがする。
最後の4.はまさかの接待制! 魅惑的なスキル付与装備が山盛りだよ……もう写真撮っちゃったし南無い。
でも悔しくなんて無い! スマホにはファイル名『理想の女神様』の写真があるじゃないか。これに勝る宝なんて無い! アイテムとか現地で拾えば良いしね。【アイテムボックスS】とか【鑑定S】とか選択できたら良いんだけどどうなのかな?
「僕、そんな事言われると……」
ん? 天使が真っ赤な顔でもじもじしている。
読み終わったから早速スキル選択にレッツGO!
「読み終わったのでスキル選択ですか? ちゃっちゃといきましょう!」
「そうだね! 選択可能全リストから探すのとたいぴゅ別で探すのどっちが良いかい?」
何事も無く流してるけど天使がめっちゃ噛んでる、たいぴゅってちょっと可愛かったよ。
顔が林檎みたいに真っ赤だけどこれは突っ込んだら負けだと思う。するーするー。
「まずは全リストをお願いします。ちら見したらタイプ別から探します」
「賢明な判断だよ! 好きなだけ見てね!」
放り投げる様に渡されたリストはA4サイズでクリップ止めされていた。そして読めない言語で書かれている!
「ちょぉぉっとまってぇぇぇ! これ何語なの? 全然読めないんだけど! しかもこれコピー用紙だよね、ファイルすらされて無いけどどうなってるの!」
「僕とした事が! 事前にコピーして用意万全のつもりたったのに翻訳するの忘れてたよ!」
「もっとカッコイイやつ無いの? スキルリストって呼んだら出てくる半透明な窓とか」
「ごめんよ……僕〔FOURTH HEAVEN〕生まれだからそんなハイテク知らないんだ……」
天使の真っ赤な顔がもう限界を超え、目に涙が浮かんでいる。これは何とかしないと泣かせちゃうよ。
「怒ってないよ!? タイプ別で良いから読んで貰えると助かりますよ!? ヨシヨシ」
ヨシヨシしながら慎重に聞いてみる。ここで泣かれたらもうボクも泣く。
「大丈夫……僕は泣かないよ? どんなタイプのスキルがお好みかい? アクティブ・パッシブ・攻撃系・防御系・魔法系・特殊系と揃っているよ?」
「オススメは何ですか? とにかく生き残る事メインでお願いします」
死んでしまったらおつかいが一日無駄になっちゃうし、何より痛いのはやっぱり嫌だよね。
「それだとまずはアクティブよりパッシブかな? 説明要る?」
「アクティブは自分の意思で使うやつですよね? パッシブは常時発動かな?」
「概ねその通りかな! 一部パッシブにはアクティブでも使える物も混じってるけど稀だしAS使用は大抵一日一回制限があるよ」
「それ便利そうですね」
選択リストにあったら是非欲しい便利系スキルみたいだ。パッシブスキルのAS使用があるなら逆にアクティブスキルのPS使用とかもあるのかな?
「稀だから僕はまだ見た事無いよ? 次に生き残る事メインなら攻撃系や魔法系より防御系や特殊系がオススメだね!」
「攻撃系のパッシブって必要無いですか? あと魔法系って定番だと思うんですけど」
攻撃系パッシブってレベル上げには便利そうなんだけど要らないのかな? 魔法系は外せないよ、異世界と言ったら魔法って言うくらい。空を~自由に~飛んでみたい!
「ズバリ言うよ? 素人が一人で鉄の剣とか棍棒持って野生動物を相手に戦えると思うかい? あと魔法はスキル持っててもステータス的な才能が無いと微妙だよ? ここではステータスまでは確認できないからね」
「一人だと多分無理ですね……PT狩り推薦ですか? 魔法はロマンがあるので出来たら大器晩成型のを何個か見繕ってください」
始めはしょっぼくても中盤以降は魔法大勝利になる事ってあると思うんだ。
「OKOK男の子のロマンは大切だね! PT狩り推薦とまでは言わないけどソロは効率が悪いよ! 最悪でも相方をまず探してペア狩りがオススメかな。そうすると火力は相方に任せて防御系スキルを使った時間稼ぎや牽制が定番だね! どうせレベルが上がると防御系は大事になってくるから、初めから覚えてた方が上を目指せるね!」
相方か……考えてなかったけど異世界なら色々有りかな。ケモノ耳もふもふお姉さんとかスレンダー美人エルフお姉さんとかツンデレ貴族お姉さんとか夢が有って良いよね!
「残りの特殊系って何ですか? 回復とかバフ・デバフ系支援スキルですか?」
「難しい言葉知ってるんだね? 回復やUP系DOWN系支援スキルとレアだけど特殊系パッシブスキルなんて物もあるよ! 特殊系PSは主に耐性UPや肉体性能UP。極レアになると並列思考や倍速思考や限界突破なんてスキルもあるね」
レアスキルとか捨てがたい。一通り並べてもらって考えればいいかな。
「オススメと珍しいのと……レア度が高いスキルをお願いします!」
「紙に日本語で書くからちょっと待ってね~」
天使が紙に書く様子を眺めてみると、手が残像を起こしているのが確認できた。次々と積み重なるA3紙を眺めているうちに気が付く、このままじゃ終わら無いと。
天使が使う文字は凄いみたいだ、クリップ止めされたA4の紙の束がA3の紙の山に化けていく。
選択肢が多いに越した事は無いと思った時期がありました。有り過ぎるのも問題だと言う事に気が付いたボクはすぐに天使を止めるのだった。
「ウェイト、ウェイトちょっと待つんだ天使よ。もう厳選しちゃって良いから1枚にまとめてプリーズ」
「何で泣いてるんだい? おかしな人だね。僕に全て任せても良いなら話は早いよ。はい、出来た」
『スキル選択一覧』
必要才能5:UNS【生存戦略】EXS【記憶開放】EXS【第六感】
必要才能4:EXS【眷属化】
必要才能3:UNS【魔力の源泉】EXS【暗視順応】EXS【盗賊の証】
必要才能2:【肉体強化F】【精神強化F】【隠蔽F】EXS【鋭敏五感】【気配感知F】【危機感知F】EXS【生存本能】【解毒F】
必要才能1:【抜き足F】【差し足F】【忍び足F】【鋭敏視覚F】【鋭敏聴覚F】【鋭敏触覚F】【鋭敏味覚F】【鋭敏嗅覚F】【開錠F】【治療F】【解体F】【生存の心得F】【再生F】
突っ込む気力ももう無く涙が出た。一瞬でA4の紙一枚にまとめられた『スキル選択一覧』を見る。
EXS【記憶開放】とか有るけどもう突っ込まないよ。
「ボクの才能っていくつあるの?」
「まさかの7だよ」
「多い方なの?」
「多いどころか歴代最高が5だから新記録だね。後これだけ多くのスキルやUNSとEXSが選べる人も初めてだよ? 歴代どころか親類縁者に神様でも居るのかと疑うくらいだね」
「親類縁者に神様が居たらお得なの?」
「神様と仲良しだとシークレットスキルの加護・恩恵・寵愛とかそこら辺を貰える可能性があるね」
才能が7か……組み合わせに迷うけど魔法系がUNS【魔力の源泉】しか無いのが悲しい。でも隠された才能が合ったみたいで良かったよテンション上がる!
普通親類縁者に神様とか普通居無いよね。シークレットスキルとかもう突っ込まないからね。
「あっ! 今の無し。聞かなかった事にして重要機密だよ」
「OKボクハナニモキイテマセン」
まさかの天使はドジッ娘属性持ち、聞か無かった事にする。突っ込んだら負けだと思っている。
「ここでスキル効果は確認でき無いし始めてみるスキルもあるから取って現地で確認してね。運も実力の内って言うしね。大抵名前で分かるやつだし問題無いよね?」
「OKボス直感で選ぶよ」
魔法系は外せないからUNS【魔力の源泉】と定番の回復系【治療F】に生存って付いてるしEXS【生存本能】【生存の心得F】これで合計7だ、直感を信じる。効果が高そうな【再生F】を選ばなかったのは対象が自分だけの可能性があるからだ。直感が正しければ指が切り落とされたりすると、うにょうにょ生えて来る系だよこれ……間違い無く言える事は他人に見られたら即アウトだ。【抜き足F】【差し足F】【忍び足F】の三個も絶対突っ込まないよ。するーするー。
「決まりました。UNS【魔力の源泉】【治療F】EXS【生存本能】【生存の心得F】でお願いします」
「OKOK了解したよ。でもEXS【生存本能】は【生存の心得F】の上位スキルだからEXS【生存本能】取ると一緒に付いて来るしもう一個才能1のスキル選べるよ?」
「えっ、EXSって通常スキルの上位版なの? と言う事は鋭敏系5種極めたらEXS【鋭敏五感】取れちゃう?」
「あぅあぅ……【微笑の聖女】様にどやされる! このままじゃ僕は磔にされる! 不味い早く何とかしないと……」
突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、そしてまたしても命の危機が迫ってるかもしれない。天使の目から感情の色が消えた。
「ボクハナニモキイテマセン。ボクガエランダノハUNS【魔力の源泉】【治療F】EXS【生存本能】【解体F】デス」
「僕は賢い子供は大好きだよ♪ ヨシヨシ」
天使は以外と話しが分かる良いやつかもしれない。友達になれそうだ。
「ヨシヨシしながらスキルも昇華させたから転送行って見ようか!」
「オーイエス」
ボクは力無く頷くのだった。
あと少し!