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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第1章 チェンジリング
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SS ロッティの受難(カナタの居ない四日間)

 カナタが居ない三日目の朝を迎える。ベットの上はうちとメアリーだけや……

 マリアンからベヒモス袋を借りて、中には金・銀・鉄・銅・木の矢がそれぞれ一本ずつ入れてある。

 昨日拾った矢をメアリーが整理したところ、四〇〇〇本もあったらしい。


「メアリーはよおきや」

「う~ん」


 今日は武器屋に矢の値段を聞きに行き、良い値段ならそのまま売って、悪いなら固めてインゴットで売るらしい。

 昨日の夜は新たに四人攫って……勧誘して来ている、地下の部屋もなかなか賑やかになってきたので、そろそろ庭の地面を掘り起こし、ラビッツを的に弓の練習をさせないといけない。


「弓買ってこなあかんな……」

「う~ん、普通の弓が半銀貨1枚くらいらしいよ……むにゃむにゃ」


 うちは一応浄化をかけて、寝起きの悪いメアリーをそのままにし、地下の湯浴み場の水を交換しに行く。


「あれ? 誰もおらん……見張りの二人は居るみたいやけど」


 耳を澄ませば古い屋敷の方の庭から、ロッズの声と子供達の声が聞こえてくる。どうやら訓練は始まっているみたいだ。


「ボス! おはようございます、うちらも水を出す生活魔法覚えたので、今度温水出す方法教えてくださいね!」

「簡単や、右手で水出して、左手で種火出せばええんやで?」

「ありがとうございます! 練習してみます」


 特大木の宝箱の中身は既に綺麗な水に交換されていて、手持ち無沙汰になったので朝ご飯の用意をする事にした。




 人数が増えてご飯を食べるスペースが窮屈になってきたと言ったら、ロッズがうちらの家に隣接する食堂を一時間で建ててくれた。

 うちは最近思ったんやけど、ロッズはこういう事に向いていると思う。

 人間やのにドワーフより手先が器用そうで、宿屋を大きくして奴隷も増やせば、もっと自分の時間が増えると思う。


「それでは、おはようさん! 食べながら聞いてや、うちとメアリーは今日、出荷準備が終わった矢の値段を聞きに行って来る。あと帰りに皆に捕って来て貰ったラビッツの頭も貸し金庫? に預けてくるわ」

「花の生えた頭を何に使うんだ? ほっとくと頭が萎んできてかなり怖いんだけど……」


 アルフは臆病と言うか、根性が無いと思う、でも一番子供たちの事を考えてる気がするので、臨時のリーダーを任せてある。


「花が咲き終わったら何になる? 実は小さいから食べれんけど一個の大きな種になるんや!」

「聞いといていきなりネタバラシは無いと思うよ?」


 メアリーは心配性と言うか、神経質だと思う、子供達皆のお姉ちゃんポジションを任せてある。


「俺は、見張りの二人を除く子供達の訓練と、古い屋敷の裏庭を外から見えない様に改造してラビッツ射的場を作る」

「ロッズさん、そろそろ古い屋敷だと言いにくいので名前つけませんか?」


 ロッズは昨日の夜に家族会議があったらしく、今日から晴れて専属師匠の座についた。

 そして抜けたロッズの代わりにマリアンが新しい奴隷を一人買ってきたので、エルナが一から仕事を覚えさせてるみたいや。

 うちから見ても凄く綺麗な女の人で、マリアンがロッズに『もし子供を含めた女の子に手を出したら……倉庫に置いてある盾、全部カナタにあげる事にするわ。あとモグからね?』と言っていた。モグって何をモグのかな?


「どうせなら改装してリトルエデン本拠地とかにしようぜ! アウチッ!」

「ロッズさんの負担を増やしてどうするの! アルフ()もう少し頭を使ったほうが良いよ?」


 レッティは結構容赦無く蹴る、さすがに股はアルフが泣いてしまったのでもう蹴らないようにしたみたいやけど、代わりにお尻か脛を蹴る事にしたみたい。それにしてもアルフ()って言ったけど他にも頭使ってない人居るんかな?


「俺なら心配いらん、専属に任されて他にする事も無いしな……」

「古い屋敷だけど、結構綺麗だし十分そのままでも良いんじゃないか?」

「リトルエデンの本拠地ならもっと綺麗に、豪華にみやびにしないといけないのよ!」


 ロッズはもともと店番以外に客が少ない時期は硬皮の盾を作って防具屋に卸してたくらいで、今は専属になったので他に仕事が無いらしい、ガーネット&グロウの店で買った硬皮の盾もロッズが作ったとか。

 初めからロッズに作ってもらったらもう少し安く済んだかもしれない、次からは盾はロッズと一緒に自作する方向で行くしかない。


 それにしてもレッティの変わり身の早さには、うちも目を見張るモノがある。ロニーとミリーもつられて肯いている。

 この二人は綺麗な物が好きみたいで、いつの間にか庭の隅に花壇を作り、花を植えたりしているみたいや。


「黒鉄杉はまだまだいっぱいある、本拠地を改築しても余裕が有るくらいだ」

「ロッズは建物建てたりするのが向いてるみたいやから、宿も増築して奴隷増やせば良いんとちゃう?」

「増築か……その方が宿の警備も要らないし、今後の事を考えると良いかもしれんな!」


 町には色々な不文律があるってロッティが言ってた。

 お店の店員、売り子は絶対であり、殴る蹴る暴言その他……手出ししよう物なら他の客全員から袋叩きにされ。男女の区別無く、身包みを剥がされ裸で北門の外に一日縄で繋がれるらしい。

 無論助ける事などもってのほかで、唯一の例外がスラム街の子供に助けてもらう事だ。助けられた本人はその子供が一人前になるまで面倒を見ないといけないので、よっぽどの事が無い限り客や店員が多いほうが店は安全になる。


 カナタと一緒に見たあの異様なラビッツ狩りの光景は、あわよくば育ての親を得ようとするスラム街の子供達の知恵と、効率的に安全にラビッツを狩れるようにとの、見習いや新人冒険者達の狙いが重なった結果みたいや。危険な狩場やダンジョンが近くにあるわりに、ラーズグリーズ領地は他に比べると恵まれているらしい。


「そうと決まったらご飯を食べて早速準備だな!」


 アルフと男二人はセットで行動するように言ってある、カナタの大事な嫁にちょっかいを出されないようにするためとメアリーが言っていた。

 ご飯を食べて体を動かすようになった子供達は、一日で見違えるほど顔色が良くなり力も付いて来ている。

 ロッズも居るし、リトルエデンは現在男三人に対して女一三人やから心配いらんと思うんやけど。


「いっぱい噛んで早く食べる、それが冒険者の必須スキルだ。時にはダンジョン内で食べながら戦わないといけない事もあるからな!」


 ロッズの言う事は覚えていて損は無い、いっぱい噛んで素早く食べるとメアリーを連れて武器屋に出発や。




 冒険者ギルドの近くには、見習いや初心者向けの装備を置いてあるギルドと契約したお店が並んでいる。

 冒険者ギルドから卸させる魔物の素材を優先的に融通してもらう代わりに、冒険者登録を終え初めての装備購入からシングルスターになるまでのサポートを請け負っている。


「メアリーお金の事はよろしく頼むで?」

「ルナに持たせるといつの間にかラビッツの肉になってそうで怖いしね……何であんなに集めてるの?」

「メアリーにだけ話すけどな? 【血脈S】ってスキル持ってんねん。使うと成長するらしいんや」

「背が伸びるの? 胸が大きくなるの? 羨ましい……」


 メアリーはロズマリーの子供やから心配せんでもええんやで……

 カナタの目がよくロズマリーの胸に釘付けになっていたのを思い出す。


「うちのお母さん、胸触ってもあまり大きくなかったから多分……」

「いや、その、ルナは毛並みも綺麗だし、その、尻尾は私でも抱きつきたくなるし……」


 メアリーがうろたえてるけどどうしたんかな?


「あっ! ここが一番近い武器屋だよ、グロウさんが言ってた『親父の鉄拳』ってお店!」

「取引とかメアリーに任せるな! うちはラビッツの頭預けてくるわ~」

「えっ? あ、ちょっと待って!」


 メアリーに金・銀・鉄・銅・木の矢をそれぞれ一本ずつサンプルに渡すと冒険者ギルドへ全力疾走する。




 昨日と違って扉を開ける前から賑やかな声が外まで聞こえてくる。

 カカオを捕るとか春の風物詩とか聞こえてくる、何か新しい依頼が出たみたいや。


「ロッティ居るか?」


 カウンターにロッティの姿が見えなかったのでマーガレットに聞いてみる。


「今は、倉庫に荷物を運んでいるはずです、ルナさんは場所覚えてますよね? 次から一声かけて貰えれば自由に出入りしてもらってかまいませんよ」

「サブマスターお墨付きだと!?」「さすが【絶壁】の相棒だ」「俺は羨ましくないぞ!」


 何か外野がうるさいけど気にせず倉庫に向かう、すぐ後ろからくさいオバサンが付けて来ているのに気がついたけど放置しておく。

 冒険者であんな匂いを撒き散らすのは自殺行為やと思う、気配を消しても匂いで位置がばればれや。



「ロッティ居るかー!」


 倉庫の広間に着くと、わざと大声で叫びロッティを呼ぶ。

 ロッティは端の方で台車を押し、扉についている小窓へアイテムを投入しているところみたいや。


「ルナ様どうしたんですか?」

「荷物預けに来たんやけど、ロッティも並べるの手伝ってくれへんか?」

「良いですけど何並べるんですか?」


 手を引っ張りカナタとうちの貸し金庫?倉庫と言う名前の部屋へ移動する。

 うちはカナタと一緒に登録してあるので扉を開く事ができる、開いた扉は完全に閉めずに少し隙間を空けたままにしておく。


「この棚にコレ並べて欲しいんや」

「ひぃぃっ!? 萎みかけたラビッツの頭なんて……なんて物預ける気ですかっ!」


 ベヒモス袋から出したラビッツの頭を、取り合えず地面に並べているとロッティが一つ蹴って花が散った。


「何さらすねんっ! 大事なラビッツの花を……」

「花が大事なら解体してあげますから頭は持って帰ってください!」

「あっ! 何を……」


 メアリーが足元に並べていたラビッツの頭から花を抜き取る、咄嗟に手を掴んだけどもう二本も抜かれていた。


「尻や……お尻を出すんやっ!」

「はぁ? えっ、ルナ様何を!? ちょっとダメー!」


 カナタが言ってた。悪い子はお尻ペンペンの刑やって、うちは左膝を床につけ、立てた右膝にロッティを固定して右手を振るう。


「ひぃっ! 痛っ! ちょっと手加減って言葉を! あんっ!」

「悪い子はお尻ペンペンの刑や!」


『パンッ』『ぱんっ』と肉を打つ軽快な音が倉庫に響く、手が痺れるけど楽しいかもしれん……


「んっ! はぅ! んぁ! いやっ! イッ!」

「悪い子や! 悪い子はペンペンや!」


 ロッティは次第に抵抗を止め、叩かれるままになって行く。


「んん! はぁっ! あぅっ! あんっ! もっとぉ! もぅっ!」

「あなた達ナニやってるんですの! ここは冒険者ギルドの倉庫ですわよ!!」


 お尻を叩く手を止め、開けておいた扉から中に入ってきたくさいオバサンを見る。


「勝手にうちのラビッツ草を引っこ抜いたからお仕置き中や! オバサンこそ何やってるんや? ここはカナタとうちの倉庫やで?」

「うぐっ、コレはその、たまたま倉庫の前を通りかかったら卑猥な声が聞こえただけで、気になっただけですのよ!」


 このくさいオバサンは怪しい、カナタの名前が出た時だけ表情が固くなる、うちの第六感がカナタの敵やと告げている。


「たまたまね……とにかくここはカナタとうちの倉庫やから、勝手に入らんとって欲しいわ!」

「別に入りたくて入ったわけじゃないですわ。それにしても何でこんなに布の切れ端が並べてあるんですの?」


 くさいオバサンが再生中の天使御用達の服に触れようとしている、頭に血が上り全力で右手を振り上げそうになるけど、ロッティが止めてくれた。


「そこまでです! 勝手に冒険者の倉庫の中身に触れるのは、サブマスター以上の権限が無いと厳重注意じゃ済まないですよ?」


 ロッティがビシッと言い立ち上がる、けど膝が笑っているし腰が引けている……正直悪かったと思う。


「ふん! 元貴族だか知りませんけど、奴隷に落ちた身分でこの私に「グルルルゥ!」」


 ロッティの表情が固くなった。今度はうちが止めるばんや!

 威嚇の声を上げながら一歩近づくと、くさいオバサンは怯んで部屋の外に出て行った。


「ロッティと言いましたね! 査定が終わるまであと四日有りますのよ! 名前と顔は覚えましたよ!」


 捨て台詞を吐いて逃げていくくさいオバサン、ロッティの表情は暗い、何とかせなあかん。


「ロッティ? コレ食べるか?」

「それ、ラビッツ草ですよね……慰めてくれなくて良いですよ」


 ラビッツ草は確かに美味しくないしな、何か良い物持ってなかったかな?

 丁度一着再生が終わった天使御用達の服があったので、ロッティにあげる事にした。


「カナタの物やけどうちら皆着てるし、その服の下にでも着たらええと思うよ?」

「ご主人様と同じ服……ハァハァ」


 鼻息が荒くなったロッティを放置して棚にラビッツの頭を並べる事にする、完全に萎れて種になるにはまだ時間がかかるしな。

 用事は終わったのでロッティの手を引いてフロアまで戻る事にする。



「ロッティどうしたんです? 顔が赤いしそんなにフルフル震えて……カウンターに立つのが辛いなら、席に座ってても良いですよ?」

「大丈夫でひゅ! ちょっと座れない事情があるだけです……」



 ルナとロッティが戻ってきた少し後に、一人の冒険者が倉庫から出てきた。


「俺見ちまったよ、そして聞いちまった……」

「何をだ?」「どうした?」

「ロッティがルナと共に倉庫に入っていくのを……」「荷物の整理を手伝ったんだろ?」

「その後、耳を済ませていたら『パンッ』『ぱんっ』聞こえてきたんだぜ!」

「それは……」「大方、ロッティがヘマをしてルナにお仕置きされていたんだろ?」

「その後……ロッティの喘ぎ声が」「それは……」

「「「「「「羨ま……けしからんな!」」」」」」

「もしだぜ? 次ルナがロッティと倉庫に行く時、何故か俺も倉庫に用事が出来てしまっても問題無いよな? いや、ちゃんと倉庫の整理だぜ? ちょっと扉を閉めるのを忘れるだけでな……」

「何を言うかと思えばお前、倉庫契約してねえだろ!」

「あーあ、ちょーっと倉庫が必要になったな! 契約しとこうかなー」

「お前! 抜け駆けは許さねえぞ! 俺も倉庫契約をだな!」

「諸君、紳士は倉庫の一つも持つものさ!」

「ずるいぞお前! いつの間に」


 その日、倉庫など使わない、根無し草な冒険者達も何故かこぞって倉庫を契約したという。

 普段並ぶ事のないグレンドルのカウンターまで列を作り、その時フロアに居たほぼ全ての男冒険者と、バーカウンターで飲んでいた一部の女冒険者が倉庫を利用する事になる。

 そして有る物は使いたくなるのが人間であり、冒険者達は資産を安全な倉庫に預けることにより、一層上のランクを目指せるようになるのであった……



 ギルドの広間へ戻ると大荷物を抱えたメアリーがうちを探していた。


「あれ? メアリー何でそんなに弓抱えてるんや、それにそのバックパック重そうやね」

「凄い事になっちゃったよ! ルナ私達お金持ちだよ!」


 興奮するメアリーをバーカウンターに連れて行きミルクを二個頼む。メアリーが『上物で!』とか言うから銅貨1枚で飲めるミルクが二個で半銅貨1枚になってしまった。


「上物は味が濃くて美味しいな……で? メアリー、弓は買えたみたいやし良い値で売れそうなんか?」


 ミルクを飲み干したメアリーは急に声を小さくしてうちの耳元で喋る、ちょっとくすぐったい。


「木の矢が銅貨1枚、鉄の矢が半銅貨1枚、銀の矢は何と銀貨1枚で売れたよ! 銅と金は武器としては使えないからインゴットにした方が高いみたい、まだ売ってないよ? とりあえず木と鉄と銀は全部売ったからね!」

「何本くらいあったんや?」


 興奮したメアリーは小声やけど身振り手振りが激しく、皆が結構注目しとる。


「端数はまだ通路にあるから矢四〇〇〇本中、木の矢が二〇〇〇本に銅が六〇〇本、鉄が九〇〇本、銀が四〇〇本、金が一〇〇本で売った分だけで銅貨2000枚半銅貨900枚銀貨400枚合計で51000イクスだよ!! 金貨5枚と半銀貨2枚で弓はおまけで付けてくれたよ! 鉄と銀はしばらく無理らしいけど、木の矢はカカオマスがもうすぐ捕れる時期だからいくらでも買い取ってくれるらしいよ!」

「落ち着き! なかなか良い資金源が出来たわけやな?」


 ヒソヒソ話もそろそろ限界や、金貨5枚はそのままロッティに貯金してもらい、家に戻る事にする。

 金貨5枚を受け取ったロッティの目が$になっていたのは見なかった事にした。




 家に戻り食堂で昼ご飯を食べながら作戦会議をする、メアリーはずっと興奮して身振り手振りが激しい。

 矢の売れた値段や矢で儲ける作戦など事細かく喋るメアリー、皆無言で聞く。


「……と言う事なんだけど、一日で金貨5枚確保できるのはルナが大変だけど凄い事だよ!」

「もう何言って良いかわからないけど、それ凄いんじゃないか!?」

「木の矢は練習用にも置いておいた方が良かったな……」

「ロッズさん! 矢がいくらでも拾えるなら、この後また拾っても良いんじゃないか」


 アルフにメアリーの興奮が移ったのか身振り手振りが大きくなる。

 それを見たメアリーは熱が引いた様にいつものメアリーに戻る。


「ああ、私興奮しすぎてたね……」

「気にするんやないで……誰にでもそういう事はある」

「他に何かある者は居ないのか? 遠慮せずに発言しても良いんだぞ?」


 ロッズが聞くが他の子供達は首を振り、揃って『無いです』と答えた。


「まぁ、ゆっくり慣れていったらええよ? ご飯を食べたら矢をもっと量産するで!」

「一応俺も穴の見張りに付くかな……」


 何と、ロッズは午前中でラビッツ射的場を完成させていた。本当にロッズは才能を使うところ間違えてるんとちゃうか?




 ご飯を食べ終わった者達はそれぞれの役割をこなす、うちとメアリーもまた罠の部屋に行き矢を量産する。


「メアリー……」

「ルナ、何も言わないで……」


 開始して一時間もしないうちに、透き通った結晶で出来た矢が出て大興奮するが……その後は木の矢しか出なくなる。


「喜んで良いのか迷うな……その矢はマジックアイテム見たいだぞ? それと……罠の魔力が枯渇したみたいだ」


 魔法の矢を最後に、ただの木の矢量産装置になってしまった。

 その後ご飯まで五時間ほど木の矢を量産して四〇〇〇本の木の矢を確保する。木の矢しか出ないならスイッチを押す係りを別に用意して、うちがひたすら押した分を両手で掴み取る様にする事で効率化を図った結果である。


 晩御飯の時その事実を説明するメアリーは泣きそうになっていた。




 現在『小さな楽園(リトルエデン)』カナタも入れて一七人や!

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