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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第1章 チェンジリング
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第27話 鬼教官ロッズ!鬼は父だった?

 心地よい温もりの中、暖かな日差しを浴び目を覚ます。

 周りを見渡すと黒鉄杉の木目が綺麗な壁、窓から入る日差しは眩しく、少しベットから離れた位置には木の宝箱が三個置いてある、その隣には階段が見えた。

 ロフトに居る、新居に移動してきて眠ったんだっけ?何か忘れている、昨日の夜確か……


「ルナ! 昨日あの後何があったの? 何も無かった? あんっ」

「むにゃむにゃ」


 ルナの頭を抱く様な体勢で眠っていたようで、背中にはメアリーちゃんが抱きついている、コアラみたいな格好だ。

 珍しくルナはまだ眠っていたみたいで、猫舌が敏感な場所に触れ思わず声が……


「おはようおねえちゃん~」

「ワン~」

「おはよう! ルナ昨日の事覚えている? あの後何があったの」

「ワンワンッ!」


 窓の外を指差しファイティングポーズを取るルナ、釣られて外を見てみると……何も無い?

 視線を戻すとルナが何かを尻尾に隠したように見えた。


「ん、今何か隠したよね?」

「ワン? ワン?」

「早く起きないと時間が勿体無いよ~」


 首を左右に振るルナともう着替え終わったメアリーちゃんに視線を交互に送る、まぁどこも怪我した様子は無いし、ルナが追っ払ったのかな?

 何が居たんだろう、空飛ぶ魔物で毒薬を撒き散らすとか怖いんだけど……



 現在六時、食堂には数名冒険者が残っている、今朝はロッズさんも一緒に朝ご飯を食べるみたいだ。

 ルナとボクは、今朝ちゃんと修復完了した天使御用達の服を身にまとっている、残りの二着はまた端を二ヶ所切って修復中で、明日の朝にはメアリーちゃんの分も完成する予定だ。ロズマリーさんにもあげようと思ったけど、『あたいの歳でその格好はちょっと……恥ずかしいよ』と言われてしまった。


「おはようございます」

「おはようカナタ!」「おはようございますカナタさん」「……よく眠れたか?」

「三人とも息ピッタリですね」


 綺麗に三人揃った挨拶を聞く限り、昨日はロッズさんが頑張った様子だ。心無しかロッズさんの顔色が良い。

 朝ご飯を食べつつロッズさんに相談しよう、明日までに盾の使い方を簡単にでも覚えないといけない。


「ロッズさんこの後、用事が無ければで良いんですが盾の使い方を教えてください」

「今日は私が宿番をしていますのでロッズお願いしますね」

「……おう」


 マリアンさんの鶴の一声でロッズさんには決定権が無かった。


 今朝のご飯は昨日の晩御飯の残りでした。昨日より味の染みたパエリヤは訓練前なのでご飯を我慢するのに苦労しました……訓練で血反吐を吐くのはまだ良いけど、ゲロゲロするのはちょっとイヤかもしれないしね。


「カナタに渡すの忘れてたよ! 二人分の野外用冒険セット一式だからね」

「メアリーちゃんの分は自分で持ってる?」

「重い鍋やフライパンはそっちに入れてもらったよ~後は自分のだから背負っていくの」


 ロズマリーさんに『はぐれた時に何も持ってないと普通に死ぬ』と言われビビリつつルナの分も別にしようかと思い考える。

 元々ダンジョン中層で着の身着のまま暮らしてたみたいだし、帰らずの森付近ならルナには必要無い物になる可能性すらある、全部まとめてスマホへINだね。

 因みに中身は。

 鍋3・フライパン1・コップ2・カップ大2・スプーン2・皿2・ベアの毛皮2・種火用木2・まな板1・ナイフ2・お玉2・下着6・皮のマント2・硬パン18・スイーツレモン6で三日分らしい。


「これ結構多くないですか? 日帰りとは思ってないですけど三日分……行って倒して泊まって戻るくらいじゃないんですか?」

「人数が多いしねぇ、馬車も必要だから行きに半日、ベースキャンプを張って周囲を伐採して半日、一夜明けて朝から巣探し、上手く見つかれば夜までに倒せるだけ蜂を倒して夜になったら作戦開始だよ?」


 巣に居る蜂を倒すのは分かるけど、何で夜になったら作戦開始なのかな?


「夜まで待つ必要無いんじゃ無いですか?」

「夜にならないと女王蜂が出てこないんだよ、狭い巣の中で女王蜂と戦うのはさすがにBランクPTが揃っても無理があるさね」

「そうなんですか……一応ボクは荷運びの依頼も受けてるので前線に出れないかもしれないです」


 経験値欲しかったけど、荷運びと救援や解体業務が主な仕事になりそうな気がするから始めから諦めている。


「分かっているよ、カナタのPTはカナタ・ルナ・メアリーともう一つギルマスが用意した凄腕PTの団結らしいからね」


 嫌な予感がする、マリアさんが用意したとか辞退できないだろうか……


「……行くぞ! みっちりしごいてやる」


 ロッズさんがヤル気満々だ!メアリーちゃんも一緒に訓練するみたいでルナだけ別行動になった。

 いつもルナと一緒だから初めて子供をお買い物に行かせる母親の気分になる、それにちょっと寂しい。

 ルナとメアリーちゃんはPTに入っているので大体の場所が分かるし大丈夫だよね?




 庭へ移動する、切った石材が敷き詰められた庭へ……これ実際この上で訓練する事になると怖い、吹っ飛ばされて転がったら血みどろになるんじゃないだろうか?


「基礎から教えるがかまわないか? メアリーはランニングだ」

「よろしくお願いします!」

「は~い」


 ロッズさんは戦闘スイッチが入ると口数が増えるタイプの人だ。

 構えるロッズさんは硬皮の盾を二個装備している、こちらはいつもの硬皮の盾と槍棒で行く事にする。


「まず基本の構えだ! 拳を胸の位置で固定、盾を相手に向けてしっかり構えろ! 小さい盾ほど体から離せ! 大きい盾は逆に体に近づけろ!」

「サーイエッサー」

「何だその返事は! 馬鹿にしているのかっ!」


 冗談で言ったら盾で頭をゴチンとやられた……


「ボクの住んでた場所で、格上の者への敬意を表す返事です!」

「なら良い! 次は攻撃の受け方だ! 盾を上下に動かす時は肘を中心に盾を回せ! 左右に動かす時は腰の回転で動かせ! 間違っても腕で動かすなよ!」

「サーイエッサー」

「声が小さいぞ馬鹿もんが!」

「サーイエッサー!!」


 また盾でゴチンと、たんこぶが出来ていないと良いな……


「次は盾での防ぎ方だ! 基本は受ける、弾く、流すだ! 分かったか!」

「受ける以外分かりませんー!」

「受ける! 弾く! 流す! だ、分かったかー!」


 盾を持ったロッズさんがボクが構えた盾に突撃してくる、受けるはそのまま盾で押し合い、弾くはスタブを受けたかのように盾ごと後ろへ弾かれる、流すは構えていた盾とぶつかっても手応えが無く滑る様に流れてきた盾を胴体に貰う、ご飯あまり食べなくて良かった……


「ゲホッ、ゴホッ、分かりましたサー!」

「盾で顔を防御する時は気をつけろよ! 視界をふさぐとこうなるぞ!」


 ボクが構えた盾を無理やり顔まで押し込んでくる、離れようと思ったらもう遅かった。

 気が付いた時には転ばされている、足払いを貰ったようだ。


「分かりましたサー!」

「攻撃される全てにおいて盾は自分の正面に構えろ!」


 二個装備した盾で交互に殴ってくる、ただの硬皮の盾なのに防ぐボクの方が押されている!


「最後だ! 盾に亀裂や致命的なダメージが入ったら迷わず捨てろ!」

「え、えぇ? 盾捨てちゃうんですか?」

「盾はこの形だからこそ守れる物なんだ! 亀裂一個が命取りになるぞ! 手入れする時は必ず裏からも確認するんだ!」

「盾が無くなったら守れなくなると思いますサー!」


 盾での防御なのに盾を捨てるとはこれいかに?


「盾は必ず予備も用意しろ! しばらく俺の盾を受けてみろ! 反撃して俺に一発でも盾を当てれたら秘蔵の盾スヴェルをくれてやる!」

「カナタ行きますー!」


 秘蔵の盾とかテンション上がってきた!

 盾を上下に腰を左右に動かしながら攻撃を受ける、上半身を狙う攻撃が多い気がする。


「どうした! まだまだ行くぞ!」

「手が痺れて来た……」


 いつの間にかロッズさんの持っている盾が大きいタワーシールドに変わっている!?

 視界が塞がれてロッズさんが見えない、けど大きい盾ほど隙ができるはず。


「まだまだいくぞ! どうしたどうした!」

「クッ、攻撃が重い」


 気のせいかタワーシールドに混じって時々バックラーやスモールシールドが飛んでくる様に盾に当たる。

 この攻撃の中でも盾を付け替える余裕があるとか……いや、ロッズさんは油断しているのかもしれない、チャンスだ!


「ほらほら! 腰が引けてきたぞ!」

「まだまだー」


 次タワーシールドで殴ってきたら盾で右に流してカウンターを当てるしかない!


「そろそろ終わりにするか! まだやるか!」

「まだ行けますサー!」


 タワーシールドが来た!衝撃を受けきらずに斜めに流れるようにそらし……ここで左に回って、盾ごとタックルを!


「あれ? ロッズさんが居ない」


 タワーシールドの裏にはロッズさんは居なかった。気を抜いた瞬間前後左右上から様々な盾が文字通り飛んで来る!


「ふべっ、ガッ、おぐ、ハベ、あぐ、まっー」


 全身に盾が当たる鈍い音を聴きながら宙に浮く。

 最後にあごに良い一撃を貰い吹っ飛ばされ硬い石畳の上へ……背中をズザァァァァーっと削られた感じがする。


「【治療E】酷いです! 何ですか今のは、ロッズさんなんでそんな遠くに居るのに?」

「これが俺のユニークスキル【盾闘円舞】だ! 守る事を極め、極地に至った俺の終着点。守る事とは最大の攻撃となりえる!」


 何かめっちゃ便利そうなスキル!でもユニークって事は個人専用みたいだから頑張っても覚えれ無いやつかな?


「それどうやってるんですか? 魔法で飛ばしてるようには見えないですし」

「それはアレだ、こうやって見えない手で全て同時に操るような……難しい事を考えるな!」


 途中で考える事を止めたみたいだ。ロッズさんはロズマリーさんと同じで直感で生きる人みたい、生存系で似たスキル覚えれないかな?イメージは見えない手で動かす?

 手じゃなくても良いか……シールドビット的なやつか!


【生存の心得】をAS発動します。【生存本能】をAS発動します。【生存戦略】をAS発動します。成功しました。


 UNS【舞盾】を獲得しました。


 ボクはもしかして天賦の才とか持っているのだろうか、調子に乗って死なないように注意しないと!

 ロッズさんに見えないように盾を持つ手を離しゆっくり動かす、何も考えなくても浮いてくれる感じで狙った場所へ盾を持っていけるようだ。

 攻撃用には使えない、守るのならオート機能とか欲しいけど、今はロッズさんの隙を付く事に専念する。


「凄いです! さすが【(まい)(たて)のロッズ】さんです! 憧れます、シビレますー!」

「ふん、俺の人生をかけた集大成だからな! いつかカナタにも、あ痛?」


 ロッズさんが誇らしげに上半身を起こして喋っている隙を突いて後頭部へ盾を当てる事に成功する。


「やりましたー! 一応今のも有りですよね? 当たりましたよね盾!」

「お前……それはスキルか? いつからそんなスキルを使えるんだ?」

「ロッズさんのUNS見て似たような事が出来ないかな~っと、UNS【()(じゅん)】と言うスキルを覚えました!」

「そんな、馬鹿な、事が有るのか……俺の人生とは、いったい……」


 あ、やばい!ロッズさんが落ち込んじゃってる、メアリーちゃんフォロー一緒によろしく!

 目でメアリーちゃんに合図を送るとボクも慰めモードに移行する。


「教える師匠が良かったからですよ! ロッズさんじゃなかったらボクがUNSを覚える事なんて出来ませんでした!」

「そうだよお父さん! おねえちゃんはお父さんに教えてもらったから、ぶじゅんを覚えたんだよ? これもお父さんの才能だよ! 良いお父さんを持って私幸せだなー」

「……そうなの、か?」

「そうです! そうに決まってます! もうお父さんって呼んでも良いくらいです!」

「そうだよ~おねえちゃんは私の大事な人だからお父さんは、おねえちゃんのお父さんでもあるんだよ!」


 ん?何かおかしな事言わなかったかな……


「それもそうだな! そんな事も忘れていたのか俺は、カナタは俺の娘だ! メアリーも勿論ルナもな!」

「ふぇっ!?」

「そうと決まったら戻って晩飯の準備をするぞ! 今日はUNS獲得祝いに明日の緊急依頼の前祝いだ! 呑むぞ!」


 え、ちょっと待って、かむばっくーお父さん!


「やったね! おねえちゃん」

「あ、うん、そうだね……このスキル凄く使いやすそうだし守るのに良いよね、両手が空くし」

「でもまだお昼前なのにお父さん早とちりしすぎじゃないかな~」


 心の中のどこかで父と呼べる人が出来て嬉しく思う反面、もう後戻りはでき無い事を悟った……

毎日投稿って結構大変なんですね!

休日に書き貯めしないと時々間に合わなくなりそうな気がしてきました。

はじめの宣言通りに週3更新に2章からなるかもしれません……

ヘッポコな私ですがどうぞ『ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!』をよろしくお願いします。

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