第16話 怪しいシスター!と教会跡の孤児院
目を覚ますとくすぐったい感触が……シーツをめくるとメアリーちゃんが吸い付いてました。
メアリーちゃんの髪の毛もふもふしてて良い~。結局エアコンのリモコンを使ってないけどメアリーちゃんがあったかくて丁度良い感じだった。
この世界には寝巻きと言う物が無いらしく、眠る前に天使御用達の服を着たままだとメアリーちゃんが怒って脱がしてきた。シワになるからダメだそうだ。
二度寝しましょう、そうしましょう。
「カナタ朝だぞ! ご飯食べて教会にいくよ」
目が覚めた!メアリーちゃんはまだ眠ったままだ。
「ふぁ、おはようございます、まだ六時ですよこんな早くから開いてるんですか?」
「何言ってるんだい! もう六時じゃないか、早いやつらはもうギルドに出て行ったよ」
ご飯食べて早めに教会跡の孤児院にいかないとね、それにしてもメアリーちゃんが離れない。
はがそうとすると大損もビックリの吸引力で吸うので突起が取れそうに痛い!
「そうなんですか、それはそうとメアリーちゃんが離れないんですが……」
「いつもはマリアンと寝ているからね~尻尾の根元の方を撫でると離れるよ」
「ふぁ~ん、おねえちゃんおはよう」
手を伸ばしてわさわさするとすぐに目を覚ました。
下着(綿素材?左右で結ぶタイプ)をちゃんと取り替えて籠に入れておく、洗濯物は各自まとめて出すと従業員の奴隷さんが洗濯して部屋へ持ってきてくれるシステムになっている。まだ名前すら聞いていない、挨拶したいのに。
下着は昨日マリアンさんが用意してくれました……胸元を覆う方は、まだ必要有りませんと言われました。カーナさん涙目。
――∵――∴――∵――∴――∵――
朝ご飯は基本前日の残りみたいだった具に味がしみて美味しい、素早く食べてロズマリーさんと一緒に宿を出た。
メアリーちゃんは今日は冒険者学校と言う場所で午前中お勉強するそうだ。
教会跡の孤児院の話をするとロズマリーさんは一瞬ビックリした顔をして少し考えている。勿論神のお告げなどと言ってないけどね。
「確かにあのシスターなら絶対に何が合ってもカナタを守るかもしれない、でも良いのかい?」
「何がですか?」
「……まぁ、なんとかなるさね」
ロズマリーさんは考えるのを止めたみたいだ。ちょっと不安になるけどまぁよっぽどの事が無い限り大丈夫でしょう!
歩き始めてから少したった時、教会跡の場所を知らないと言うと呆れられたけどね。
「こっちだよカナタ、どこ行くのかと思ったじゃないかい」
やっぱり手を引かれる、でもそんな関係も悪くないと思えてきたその時だった。
「よう、ロズマリーそんなガキ連れてどこ行くんだよ、ロッズに飽きてそんなガキにまで手出すようになったのかよ」
大笑いしながら真っ白に少し銀髪が混じった髪に灰色の瞳の堀深い顔をしたチンピラ風大男が絡んできた! ロズマリーさんは嫌な顔もせずに対応する。
「おはようオルランド、この前のゴブリン討伐依頼で折った槍があったろ、要らないんならくれいないかい? あとカナタは女の子だよ」
「何に使うのか知らないが穂先が丸ごと無いぜ?」
腰のベヒモス袋から綺麗に穂先が無くなった黒鉄杉の棒を出すとロズマリーに放り投げる。
「それにしても……女の子とは思わなかったぜ。すまんな嬢ちゃん、あまりにも絶壁だったものでな!」
オルランドと呼ばれた大男は笑いながらこちらをチラ見している、確かに無いけど絶壁は酷いんじゃないかとおもう。
「すまないね、カナタに合う武器がなかなか考え付かなくてね、剣を使うにはまだ体が出来ていないしレイピアは慣れないと魔物相手じゃ心もとないからねぇ」
「あ、ありがとうございますオルランドさん」
「あぁ、まぁ武器屋に売ろうと思っていたところだしな良いって事よ」
この人も案外見た目は怖い大男だけど良い人かもしれない、ロズマリーさんに合わせて始めから貴族語で喋ってくれているしね。
「タダとは言わないよ! 期待の新人冒険者になる予定のカナタと縁を繋げたんだ。本当なら腰につけているその魔槍を貰わないとわりに合わないくらいさね!」
ロズマリーさんが吹っかける、魔槍って凄いカッコイイ名前とか付いてそうだ!
「魔槍って名前とか付いてるんですか?」
聞いてみると機嫌を良くしたのか良く聞いてくれましたという顔で説明してくれた。
「よし! おっちゃんがこの魔槍ヴィグがいかに凄いかを嬢ちゃんに教えてやるぜ! まずこの槍は投げても絶対に物には刺さらない無論壁や地面にもだ」
「それデメリットじゃないですか?」
「いやいや勘違いするんじゃないぜ、魔物には刺さるし、まぁ人間にも投げたら当たるんじゃないか?」
「そういわれると凄いですけど地面や壁に刺さらないって事は投げて外したらどうなるんですか?」
まさかの魔槍が使い捨てのリスク付き!?
「手を上に掲げ持ち主が名を呼ぶと飛んで戻ってくるんだぜ! カッコ良いだろ、もし落としたり敵に刺さったままになったり盗まれても呼べば戻ってくるしな!」
ヤバイちょっと羨ましい、魔槍か……ダンジョンに潜ったら落ちているのかな?
「それはロマンがありますね! 壊れたりしたら修理にお金かかりそうですけど」
「あぁ、それは魔槍なんだからMPを捧げると治るぞ、ただし聞いて驚け! 直すのにMP10も使っちまう、壊れたら一〇日休まないとダメなのが玉に瑕だな! まぁこれほどの武器はなかなか出ないしな、ダンジョン『奈落の穴』最下層の広間で手に入れた一級品だぜ」
あれ、変な事言ってる、たったMP10消費で回復するのが一〇日もかかる?一日MP1しか回復しないって事なのか、おかしい。マリアンさんを治した時はMP100くらいは使ったけど一分に1MP回復していた。
ボクはMP119も有るし回復速度も早い?もしかして【魔力の源泉】ってそんな効果が?
それとも魔法使いの素質みたいなの持っているのかな。
そういえばロズマリーさんもMPが少ない子供でも生活魔法は使えると言っていた気がする。
実際限界に挑戦しようと生活魔法を連打してみたけどボクの場合はMPがそもそも減らなかった。と同時に生活魔法にレベルが無い事に気が付きそういうものだと納得したんだけど、今度ロッティに聞いてみよう。
「MPってそんなに回復するのが遅いんですか? 最大MPが少ないとかそんな感じ?」
その質問をした瞬間にロズマリーさんがハッっとした顔でフォローを入れてくれた。世間知らずな質問だったみたいだ。
「カナタはちょっと遠い貴族領から最近着たばかりでボンボンなんだよ! 世間知らずだけど気にかけてやってくれないかい?」
「ん? あぁ良いぜ新人を助けるのは同じギルドの仲間として当然の事だしな、嬢ちゃんMPってもんはなレベルを上げるか歳を取らないと全然増えないもんなんだよ」
やっぱり歳がステータスに関係していたみたいだ。オルランドさんの話を静かに聞く事にする。
「オレが今年ロズマリーと同じ二七歳でつい最近レベルが57になったところだ、今のMPが58だな」
つまりこの世界でのレベルとは年齢+いわゆる魔物を倒して成長するレベルを足した物みたいだ。
「一人前と呼ばれる冒険者はレベル30からで一流と呼ばれるやつらが60以上の猛者だな、おれも今年は一流の仲間入りを果たすぜ!」
「あたいはレベル62さ! MPも63あるよ」
やっぱりロズマリーさんは一流の冒険者だった。人妻じゃなかったら惚れてた!
「あ、聞いておいてアレですけどそんなにホイホイ自分の情報漏らして良いんですか? 武器もそうだし手の内を明かしすぎるといざと言う時に?」
「まぁつい喋っちまったもんは仕方ねえが普段は気をつけた方が良いぜ嬢ちゃん、オレの場合は魔槍が有名だからな! それに鑑定持ちがギルドに居るからあまり隠しても意味無いぜ? ギルドから広まる事は絶対無いがな」
「鑑定持ちの人がやっぱり居るんですね」
「まぁ鑑定持ちは目を見てたら使った瞬間青く光るしすぐわかると思うぞ?」
意外な弱点発見、つまりマーガレットさんにバレタのは眼鏡が青く光ったからみたいだ。
「おっと、そろそろ時間だロズマリー近いうちに緊急依頼でビックWARビー討伐が出るぜ、それを言いに来た。現在帰らずの森が進入禁止区域に指定されているから注意しとけよ、嬢ちゃんも運が良いぜ荷物運びでも参加したら報酬が結構もらえるからな!」
「わかったよ、それを見つけたのはあたい達だしね」
オルランドさんは笑いながら来た道を戻っていった。
それから少し歩いた場所に孤児院はあった。高い塀に囲まれたちょっと古ぼけた感じがする教会がそのまま孤児院になっているみたいだ。
庭からは子供の声が聞こえる、玄関の扉を開けると礼拝堂を改造したと思われる部屋の奥に黒髪・黒瞳で腰まで有る長い髪の女性がこちらを見て立っていた。
「あのシスターがこの地域の領主でマリア=ラーズグリーズ様だカナタ頑張れよ!」
心臓が止まりそうな事を言うとロズマリーは扉を閉めてさっさと出て行ってしまう、待って置いてかないで!
「遅くなりそうだったらメアリーを迎えに来させるからなー」
外からロズマリーさんが声をかけてくるが一瞬で退散してしまった。苦手な人なのだろうか?
それよりも早く教えて欲しかった……一番出会ってはいけない人に出会う事になった。
扉から目を部屋の奥に向けると……領主様が一歩ずつ確かめるように歩いてくる、豊かな双丘を揺らしながら、両腰に下げたレイピアを揺らしながら。
ゆっくりと顔を見る、凄く微笑んでいる……
『簡易鑑定不能』
えぇぇっ!天使の名すら暴いたチートスキルさんが鑑定できなかった……
手足が震える、後ろに後ずさっても扉があって下がれない。
目が合う、まるで舌なめずりしている猛獣のような雰囲気をまとっている、不意にストンと床にお尻が落ちた。
あれ?腰が抜けた……
シスターが目の前まで歩いてきている、ゆっくりとした足取りで目の前まで……
シスターが手を伸ばしてくる、お尻に生暖かい感触が広がると同時に意識が薄れていく……
「おかえりなさい……」
最後にシスターが何を言ったのか聞こえなかった。頭を撫でられた瞬間意識は闇へと落ちていく……
更新
名前:彼方=田中(カーナ=ラーズグリーズ)
種族:人間 年齢:13 性別:女 属性:?
職業:? 位:? 称号:無し ギルドランク:無し
レベル:18[1+17+?]☆
HP :219/219[100+100+1+18+?]
MP :119/119[100+1+18+?]
攻撃力:2[1+1+?]
魔撃力:1[1+?]
耐久力:6[1+5+?]
抵抗力:?[1+4+?]
筋力 :18[1+17+?]
魔力 :18[1+17+?]
体力 :18[1+17+?]
敏捷 :18[1+17+?]
器用 :18[1+17+?]
運 :NORMAL[1+?]
カルマ:0[0]
SES
:【生存闘争】
UNS
:【魔力の源泉】【生存戦略】
EXS
:【生存本能】【第六感】
スキル
:【生存の心得F】【生活魔法】【治療E】【解体F】
装備品
武器 :黒鉄杉の槍棒150cm[攻+1]
盾 :硬皮の盾[耐+1]
兜 :無し
仮面 :特殊防弾ガラスの眼鏡[耐+1抵+1]【簡易鑑定】【光量調整】
服 :天使御用達の服[耐+1抵+1]【浄化S】【自己修復S】
鎧 :無し
腕 :スマホ[耐+1抵+1]【簡易アイテムボックス】【発展】
腕 :エアコンのリモコン[耐+1抵+1]【空気調和】
靴 :無し
その他:夜を背負った様な漆黒色の羽根[?+?]【????】
:全てを覆い尽くすような漆黒色の羽根[?+?]【????】
:スマホ[フェイクラビッツ鞄(アプの実残り3)ブレードラビッツの肉5kg]




