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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第1章 チェンジリング
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第15話 スンスン!それは本能ですの

 午後の茶(紅茶では無い)を堪能して帰る準備を始める、と言っても手ぶらで来たし帰りも手ぶらだけどね。


「カナタさん、ハァハァ」

「ちょっと止めてください」


 何故か午後ティ中はずっとマーガレットさんに捕縛されてスンスンされてた。

 一見華奢な受付嬢だけどさすが冒険者ギルドの職員だけあって全員冒険者との事だ。

 何が言いたいのかと言うと捕まるともう逃げれない……ロズマリーさんはわかるわかるって感じの顔でビスケット食べてるし、ロッティは物欲しい顔でこっちを見ている。


「えっと、獣人って呼んで良いんですか?」

「種族がとても多いのでひとくくりに獣人と呼んでも問題ありません」


 すかさず質問に答えるロッティ、自分の仕事が来たっと目を光らせている。


「獣人の皆さんはボクから良い匂いがすると言うんですが原因わかりませんか?」

「多分ですけど、漏れるほどの『世界に存在する力』を保持している為かと思われます」


『世界に存在する力』ってフレーズ何度も出てくるけど何かな?

 左手に眠るなんちゃらや右目がうずく……系の力だと思ってたんだけど一回聞いてみよう。


「魔力とかマナとか気とかそんな感じのやつ?」

「マナ? 気? 魔力は魔力です、『世界に存在する力』はこの世界にカナタ様が存在するために常にまとっている力そのものです、一生減る事も増える事も無いとされていますね」

「ステータスが高いって事?」

「違います、存在その物が濃いと言う事です、獣人の方は本能で嗅ぎ分けているのでしょう……」


 ステータスに関係しない力?存在が濃いって隠密行動とか出来なさそうな気がする。


「濃いと何か良い事があるの?」

「色々と良い事しかありません!」

「具体的にはどんな事があるのかな?」

「成長の上限が力に比例して上がっていったり、幸せになったり、生まれる子供の才能が高かったり……」


 それから一〇分ほどひたすら良い事を並べるロッティに少し胡散臭い感じがして話を切り上げる事にする。


「色々ありがとうございました。ロズマリーさんそろそろロッズさんにお土産買って宿に戻りましょう」

「ん、あぁ、そうさねぇ、何しに来てたのか忘れてたよ、メアリーがそろそろ戻ってくると思うから一緒に帰ろうか」


 ロズマリーさんは普段少し抜けていると言うか、戦闘中以外ちょっと抜けている。


「何か精力の付く食べ物って無いですか? ロッズさんにお詫びの品を……」

「なんでカナタが詫びるんだい? でもそれは良い考えだな! 今は時期じゃないけどアプの実が出てないか探して帰えるよ」

「お母さん~いっぱい配達したよ!」


 メアリーちゃんが戻ってくると手に乗せた半銅貨4枚を見せる、ロズマリーさんが2枚取って頭をヨシヨシしている。


「よく考えて使うんだよ」

「宝箱にしまうの~」

「稼いだ半分は宿の方に入れるんですか?」

「皆稼いだ半分は家族の共有資産にしてるのさ」


 冒険者として一番稼ぐロズマリーさんが多く入れる事になるけど適材適所って事なのかな?

 ああ見えてマリアンさんは料理全般と昼のランチBOX販売(冒険者向けの硬パンに具を挟んだサンドイッチ!)で結構稼いでいるみたいだ。宿番のロッズさんの家庭内ヒエラルキーが心配だ。


「アプの実ならありますよ?」


 スマホからフェイクラビッツ鞄を出しアプの実を五個ほど取り出すと鞄をしまう。


「今どこから……?」


 マーガレットさんもロッティも目が点だ。


「あ、これはベヒモス袋のような物でアイテムボックスみたいな感じです二個しか物が入らないので微妙ですが」

「そうじゃなくて……その袋をどこから出したのかと言う事ですの」


 マーガレットさんのですの口調は親しい人限定みたいで少し嬉しい。


「秘密です♪」

「まぁ……冒険者リング作る時に見せてもらいます」


 そういえばそんな事言ってたね、ステータス見られたらちょっと不味いんだけど大丈夫かな?

 クエスチョンが少し多いだけで大丈夫だよね!


「ではまた明日に~」

「「またのご利用をお待ちしております」」


 ふぅ……最後までギルド職員の服装に突っ込まずに居られた。

 なんで執事とメイドさんなんだよ!ついつい通っちゃうよこれは。




 ――∵――∴――∵――∴――∵―― 




 帰り道を歩きながら薄暗くなった町をキョロキョロ見渡す、ロズマリーさんが見かねて手を引いて歩いてくれる、反対の手はメアリーちゃんが確保済みだ。


「夜店と言うか露天と言うか食べ物のお店がいっぱい出てますね」

「もう夕方だしねぇ、あたいも腹が減ったよ」

「家でご飯作る人は少ないんですか?」

「家族で住んでるやつらは作るんじゃないかい? 基本店か宿か酒場で食べるもんさ」


 自炊人口は結構低いみたいだ、確かにわざわざ火を起こして料理する手間は現代と比べ物にならないくらいしんどいと思うしね。

 文字が読めないのが悔しいけど、看板の絵で大体判別可能な感じで、ラビッツ串焼きとかお酒やクレープに似た食べ物まで出ている、さぁ早く戻って宿のご飯を堪能するしかない!


 扉を開けて入るとロッズさんが半ミイラになっていた!思わずごめんなさいと謝るけど『……大丈夫だ』と返してくれた。


 今晩の献立はラビッツサラダ(ドレッシングはスイーツレモン酢か塩、どちらかをかける)とラビッツシチューと硬パンとアプの実でした。

 ラビッツサラダはトマトっぽい果実と水菜みたいな葉っぱと茹でたラビッツの肉が入っていてスイーツレモン酢が良く合う、シチューはニードルラビッツの時より若干味が控えめ?肉の味が薄い気がする、ニードルラビッツはレアラビッツだけあって美味しいみたいだ。

 そして定番になってきた硬パン、シチューに突っ込みながらかじる感じでなんとか食べれるけど硬過ぎだよこれ……最後のアプの実はボクがとってきたやつで、予想道理スマホの中に入れてたら時間が経過しないみたいだ。

 アプの実を食べているとマリアンさんがトンでもない事を言い出した。


「この季節にアプの実を取って来るなんてすごいですわ」

「いっぱいなってましたよ?」

「それはそうでしょう、大き目リスの繁殖期なんですから誰も取りに行かないんですわ」

「はい? あの大きい目のリスが何か不味いんですか? 食べ終わってどこか行った間に取って来たんですけど……」

「カナタ……あたいでもあの大き目リスは相手にしたくないんだよ?」


 アプの実噴いた!あの時もしかして死ぬか生きるかの瀬戸際だったのか。


「そんなに強いんですか? もしかして目からレーザー撃つとか」

「レーザー? 大き目リスは一匹見たら一〇匹は居ると思っていいくらい集団で行動するんだよ、素早いし一斉に攻撃してくるから無傷じゃ倒せない、倒してもお金にならない怪我するだけ損さね」

「周囲警戒してたんですけど一匹だったような……」

「まだツガイになってない大き目リスだったんだよ、それは運が良いだけさ、雌一匹に雄が九匹が最小集団だよ」


 なんと言う逆ハーレム、あの大き目リスは見逃してくれたのかな、何気に神様意地悪しすぎじゃないかな?普通死んでるコースを通ってきてるんだけど……


 食後に宿の食堂を覗いてみると一〇人ほど冒険者と思われる人達が飲み食いしていた。

 まだ見てないけど宿の従業員的な奴隷が一人居るそうだけど、恥ずかしがって出てこないって言ってた。


 一番端っこに座ってメアリーちゃんと遊びながら情報収集を試みる事にするが、貴族語じゃなかったので諦めてロズマリーさんの部屋へ戻る。


「ロズマリーさん、お風呂とか無いですよね……」

「あぁ、カナタの生まれた所はお風呂に入る習慣があるんだね、お風呂に入るのは貴族様でも爵位持ちの家くらいじゃないかい? 普通は生活魔法で浄化してタライにお湯を入れて拭うくらいさ」

「生活魔法って何でも出来るんですね」

「生活魔法が全ての元と呼ばれるらしいからねぇ、種火を出す生活魔法も火を操る精霊魔法も元は同じ生活魔法の火を操る事さ」


 良い事を聞いた、生活魔法って実はリミッター掛けられているだけで攻撃魔法に転用出来るんじゃないかな!


「タライと湯ならメアリーに頼むと良いよ、あたいはちょっと行って来るよ!」

「どこか行くんですか?」

「このままじゃロッズが明日には干乾びるからね! マリアンの相手をしてくるさ」

「え、あっ! タライとお湯頼んできます」


 そそくさと部屋を出て行くロズマリーさんとすれ違いに、今話ししていたメアリーちゃんがお湯が入ったタライを持って入ってくる、まだ頼んでないけど気が利くメアリーちゃん。


「メアリーちゃんお湯持って来てくれたの? ありがとう」

「マリーお母さんがおねえちゃんと一緒に寝なさいって言うの」

「追い出されちゃったのか……」

「弟か妹を作るって言ってたの!」


 メアリーちゃんの無邪気な笑みに癒される、マリアンさんが肉食系だったとは思わなかったけどね。


「ちょっと体拭くから向こう向いててね?」

「何で?」

「えっ、何でって言うか、そこはほら肌を見せない習慣と言うか……」

「マリーお母さんがちゃんと背中を拭いてあげなさいって言ってたよ~」


 まぁ子供相手に変に意識する物でもないしカーナさんの体だしね。


「おねえちゃん……胸無いね」

「個性なんだよ」


 カーナさんに心の中で謝りながら体を拭き、ロズマリーさんのベットでメアリーちゃんと一緒に眠る。


 少し寒い、エアコンのリモコンを出し温度を調整しようとしたその時……


「ワシ寂しい!」

「ひやぁ!」


 いきなり頭の中に声が響いて変な声が出る、メアリーちゃんがもぞもぞしてるけどギリギリ起きて来ない。


「ガイアさんいきなり喋りかけてこないでください」

「一日一回一時間は楽しいお話タイムじゃと思っておったら、まさか放置プレイされるとは思わなんだ」

「一日一回一時間しか話せないなら緊急用に最後まで取っておく方が良いでしょう? だからですよ、決して忘れてませんよ」


 一日一回って所がネックだ。一分でも六〇分でも一回は一回、貴重な情報源を簡単な事では話せない。


「一日に一時間にするぞい! 回数無制限じゃわい」

「ありがとうございます、それだと助かります」

「ワシ貴重じゃぞ!」

「明日洗礼を受けに行ってきます」

「ふむ、それなら教会じゃなく町の外れの教会跡の孤児院を訪ねると良いぞい! 神のお告げじゃ」


 ん、んん!?今神のお告げって言わなかったっけ……


「しもうた……神のお告げの伝令じゃ! あの糞とは違う紳士的なジェントルメン神様からのお告げじゃから安心して聞くがいいぞい! ワシは連絡係じゃからの!」


 おおう、怪しいけどそう言う事で良いや、教会跡の孤児院って洗礼できるのかな?


「設備はそのまま残っておるし、そこのシスターは何が合ってもカナタを裏切らない味方だと思って結構じゃぞい」


 よくわからないけどガイアお爺ちゃんはそのシスター推しのようだ。裏切らないって言葉は魅力的だし洗礼さえできるなら腐敗した教会より良いかも知れない、教会は治療の事がばれたら暗殺されかねないし……


 それからその日の事を一通り話して眠りにつくのだった。

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