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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第1章 チェンジリング
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第14話 勇者の素質がお有りになります!ロッティ危機一髪

 運命の歯車とは唐突に回り始める物だ。とは誰が言った言葉だろうか……


「ようこそ! 冒険者ギルド・ラーズグリーズ支店へ!」


 目の前が真っ白になった。

 ラーズグリーズ支店って事はここはその名前で呼ばれる町なのか地域なのか、カーナさんの姿でウロウロしてたら間違い無く知ってる人に出会う予感がする、五年の歳月で姿が変わってないカーナさんを見たらどう思うだろうか?


「どういたしました? あなたの受付嬢ロッティちゃんですよ!」


 今のところ怪しい動きをする人は居ない、それとなく探りを入れてカーナさんが現状どんな状態なのかを確認しないといけない。


「私を専属受付嬢に選んでくれるんですか?」

「はい? 専属って何ですか?」

「はい! って事は選んでくれるんですねありがとうございます! 私にも初めて専属冒険者が就きました! マーガレットさん見てください! 専属冒険者ですよ!」


 どういう事?専属って何?ロッティって人やったら五月蝿いんだけど見た目一〇歳くらいかな、銀髪で黒っぽい灰色の瞳の女の()だ。カウンターを覗き込むと木で出来た宝箱の上に乗ってた。

 やけに小さいけどなんで子供が受付嬢になってるのかな?

 頭にクエスチョンマークを飛ばしながら考えているとロズマリーさんが専属の話をしてくれた。


「カナタ、本当に嫌なら冒険者リングを作る前に断っとくんだよ、専属はその受付嬢との順番優先権みたいな物さ、並ば無くても良いのは便利だけどお金を預ける時専属受付嬢にしか渡せなくなるんだよ」

「貯金の受け取り窓口が限定されるってだけならそんなに問題無くないですか?」


 貯金したら受付嬢にキックバックでもあるのかな?子供だけど愛くるしさとかで戦えば、真ん中の角の人といい勝負するんじゃないだろうか。


「貯金した額の一%は手数料として受付嬢に支払われるからね、あと銀貨以上の貯金で受付嬢毎の支援サービスが受けられるよ」

「支援サービスって何ですか? 回復してくれたり毒治してくれるんですか?」


 いきなりロズマリーさんが挙動不審になってマーガレットさんをチラ見している、怪しすぎるだろこの人。


「バカだなカナタは! 回復なんてサービス受けれたら専属受け放題じゃないか!」


 ロズマリーさんがヒップアタックをしてきた。あ、そう言う事ですね回復使えるのは内緒だったね、マーガレットさんが首をかしげてロズマリーさんを見るけどロズマリーさんは後ろ向いたまま口笛を吹いている、ダメだ早くなんとかしないと怪しい。


「真ん中の彼女は支援サービスが良いから並んでるって事ですか?」

「ユニコ先輩はカルマ減少のスキル持ちですので……」


 真ん中のスレンダー美人さんはユニコーンの獣人さんみたいだ。


「カルマって何ですか?」

「え、そんな事も知らないんですか?」

「あー、カナタは遠くの貴族でボンボンだからしかたないんだよ!」


 ロズマリーさんがフォローしてくれたけど目が泳いでる、怪しい人だった。


「それならしかたありませんね」

「あ、チョロかった」

「チョロ? って何ですか?」


 とっさに口に出てしまった危ない危ない。


「いえいえお気にせずカルマの説明お願いします」

「カルマとは敵を倒すと増えるやつです! 増えると狙われやすくなります、1日1下がります」


 ヘイトみたいなものかな、とりあえず登録先にしてから説明を色々聞こう。


「わかりましたとりあえず後でまとめて色々聞きたいので先に登録お願いします」

「それではこちらの水晶に手を載せてください」

「あ、ロッティさんの支援サービス聞いてなかったですね」

「チッ……支援サービスは、各種説明と色々な相談をさせていただいております」


 舌打ちした!説明と相談って事はスキルを持ってないから他で頑張るって事かな?

 この様子じゃ有利なスキル持ってる人は貯金からのボーナスで結構美味しいって事か、まぁ初めてって言ってたし可哀想だからこのまま専属で居てもいいかな。


「これはステータスを読み取ったりするやつですか?」

「冒険者リングに洗礼とステータスを書き込む為に必要なのでお願いしますね」


 洗礼?そんなの受けてないけどどうしよう、水晶が目がくらむくらい光ってギルドマスターが出てくるフラグを感じる。


 触っても何も起きない、あれ……?ロズマリーさんが驚愕の表情だ。

 マーガレットさんとロッティさんは固まったまま動かない、やばい……ろくな事にならない気がしてきた。


「そうだマーガレット! あたいが前倉庫に預けたビックWARビーの蜜がまだ少しあるんだよ午後のお茶でも奥の部屋でどうだい? 奥の部屋でね」

「それは良い考えと言えるでしょう、私も紅茶に合うビスケットを御用意します」


 ん、奥の部屋で話の続きをって事かな、他の人に聞かれたらまずそうだし移動しようか、と思ってカウンターを迂回しようとすると馬鹿が一人いた。


「あっれーおかしいな……今朝調整から戻ってきたばかりなのに故障したのかな? あ私の分もあります? ビックWARビーの蜜なんて初めて食べます~」


 ロッティは空気の読めない子だった。


「おまえは茶を入れるんだよ!」「あなたはお茶を入れるんです!」


 この二人相性良いんじゃないだろうか、二人に引きずられて行くロッティを追いかけると取っ手が無い扉のある部屋まで進んで行った。


「オープン、マスターマーガレット」


 音も無くスッと扉がスライドして奥の部屋へ続く通路が現れる、何今のハイテク!音声認識とかカッコイイ。


「カナタ早くついて来な」


 ロズマリーさんが凄く焦ってるけどどういう事なの?


 音も無く扉が閉じ、奥にはいかにも密談に使いそうな部屋が姿を現す、吹き抜けになっているのか天井が高い……高すぎる!外から見た感じ建物は2階建てだったのに軽くその倍はある、不思議空間みたいだ。


「ロズマリーどういう事ですの?」

「今知ったばかりさ……世事に疎いとは思ってたけどまさかねぇ」

「洗礼を受けていないのは()()()()()ですの」

「私子供の頃の事だったので覚えてないですけど」

「お前は忘れてるだけだろ!」「あなたは忘れているだけです!」


 ナイス突っ込み、洗礼を受けてないのはありえないってまたおかしな話が出てきたね。


「ほらそこは山奥の方に住んでた貴族だから……」

「山奥って時点でありえません、カナタさん……」

「貴族は例外無く自分が任されている町・村に普段は居て一人で外に出て行くことは出来ないんだよ」


 ゲーム終了かな、詰んだ。ごまかせそうにない洗礼って結局なんだったのか。


「モグモグ、貴族って言うのなら家名を聞いて見たら良いんじゃないでしょうか? 元貴族の私なら有名どころなら知っていますよ。ゴックン」


 一人暢気に蜂蜜付け放題のビスケットを食べながら喋るロッティ。


「あたいはカナタを疑う気は無い、でも話せるなら事情を話して欲しい。何が合ってもカナタを守るよ! メアリーの将来もかかってるしね!」


 あぁ……ロズマリーさんの中でメアリーちゃんの嫁ぎ先が決まってしまっている。


「私はロズマリーと付き合いも長いですし有望な新人との事を聞いています、出来る限りの事はするつもりですの」

「私の初めての専属冒険者だからね! 今は奴隷の身分だけどギルドマスターに半金貨叩きつけて首輪を取るまでは一蓮托生ですよ!」


 皆良い人みたいだ……涙が出て来る、この人達なら信用できるんじゃないかな?


「そうだ! カナタは神の祝福が使えるよ! これでラーズグリーズ支店には無くてはならない冒険者になるよ!」


 ロズマリーさんがてんぱって暴露した……ボクの価値を上げたかったんだと思うけど相談くらいして欲しい、まぁ治療くらいでどうこうなるわけは無いと思うけどね。


「神の祝福を使えるのですか……試しに使ってみてもらって良いですの?」


 マーガレットさんは言うや素早く腰につけていたグラディウスで腕に浅く傷をつける……ロッティの腕に!


「酷いです! サブマスだからって横暴です!」


 ロッティはたまったもんじゃないとボクの後ろに逃げ隠れる。


「手出して、ロッティさん。【治療E】」


 回復速度が目に見えて上がっている……FからEでこれだったらレベル上がるとどうなるのか末恐ろしい。


「神の祝福では無いようですが……その治療の方が実用性は高そうですね、効果の程は最大でどれくらいの傷を治せるんですの?」

「まだわかりませんが時間をかければマリアンさんの古傷を治すくらいなら出来ました」

「えっ! あの古傷をですか? 冒険者引退の切欠になった傷ですよ何年前の事だと思ってるんですの」

「今頃ロッズがミイラになってると思うよ! あたいも嬉しいしメアリーも喜んでる」


 ロッズさんに精の付く物をお土産に持って帰ろう……責任の一端はボクにあるしね。


「ぶっちゃけてそれって神の祝福要らなくないですか? 確か金貨1枚以上ボッタくるんですよね」

「教会は……唯一勇者ブリジッドを助けた功績で神から祝福を授かっているんです、今の教会は目に余りますが……だからと言って蔑ろにできない存在ですの」


 遠い昔の遺功ってやつなのかな、教会を中から変えていくような人が現れない限り金貨1枚を払えず泣いている人がいると思うと悲しい事だね。


「カナタ……家名があるんだろ? もう一度名前を聞いて良いかい?」

彼方(かなた)=田中です……」

「「「変な家名だね」」」

「そんな家名聞いたこと無いです」

「もう一個名前が有りますが……」

「「「はぁ!?」」」

「カーナ=ラーズグリーズと言います」


 皆の反応が目まぐるしい、驚きと思案と葛藤と決意。一名目が$マークになっているけどロッティだしねぇ……


「よりによってラーズグリーズ家ですか……現在当主のみ生存しているこの町の領主ですね、正確にはこの辺りの地域の領主となりますが」


 当主さんに合わなければ乗り切れそう?

 ロッティの目には相変わらず$が浮かんでいる、こいつはダメだ。


「それも不味いですが……カナタさんは名前が二個有ると言う事は先天性勇者ですね、こちらの方が不味いですの」


 ん?名前が二個あると先天性勇者候補って事は、異世界転送でこっち来た人が先天性勇者なのかな?

 先天性勇者ってちょっと病気が再発しそうになっちゃったよ!漢字に当て字でカタカナ書いちゃうところだったよ!


 あれ?ロズマリーさんが右手を腰に刺してあるクレイモアの柄にさり気無く置いている!?


「先天性勇者って言ったら勇者ブリジッド様と同じじゃないですか! 教会に情報流すだけで白金貨1枚貰えちゃいますよ! 好きな物買えるし遊んで暮らせますよ! 王都の教会まで連れて行けばイデア=イクス結晶貰えるかもしれません! この町も潤うし是非そうしましょう!」


 あっ、ロッティが裏切った……どうしよう、でもロズマリーさんはボクの味方だよね!


「お手上げです、私はロズマリーと同じ意見ですの」


 マーガレットさんが両手を上げてお手上げしている?


「ロッティ、あなた空気が読めない子だと思ってましたけど……今この部屋から生きて出れるかどうかの瀬戸際ですよ? わかっていないようですの」


 マーガレットがロッティの後ろに指を刺す、振り返ったロッティが見たものは、クレイモアを上段に構えいつでも振り抜ける様にしているロズマリーさんだった。


「あたいは学が無いよ、それでも勇者ブリジッドの最後は知っている、話の本も読んだことがある」

「ひぃぃっ、うそですぅ! ただの冗談ですぅ」

「カナタを同じ目に合わせると言うならロッティでもマーガレットでも許さない!」


 ロズマリーさんがオーバードライブしているのでちょっとクールダウンさせないと、今のうちに先天性勇者の事を聞いてみるしかない。


「先天性勇者って何ですか? 後天性勇者もいるの?」

「あたいが話すよ、後天性勇者は生後ある程度成長したあとに神から祝福されて勇者になるやつの事さね」


 ボクの思っていた通りの勇者だった。


「先天性勇者は生まれる前から勇者の素質を開花させている、神の祝福無しに勇者になれる者の事さ」

「どっちも勇者ならなんで先天性はヤバイんですか? 力が強いとか?」

「それもあるが、一番違うのは神の祝福を必要としないって事さ、後天性勇者の子供は祝福を受けない限り一般人さね」

「もしかして先天性勇者の子供は勇者として生まれてくるんですか……?」

「勇者ブリジッドもカナタも女だよ、先天性の女勇者の子供は必ず勇者の素質を持っている」

「でも勇者なら悪い人や敵からも身を守って戦えるんじゃないですか?」


 力が有れば大抵の困難も乗り越える事ができるはずだよね?


「カナタ……そうじゃ無い、そうじゃないんだよカナタ。その時代に王は一二人居た、勇者ブリジッドの産んだ子供の数も一二人なんだよ……」

「まさか……でも力ずくで来ても逃げたら良いんじゃ無いですか?」

「時の王達は本人以外の全てを人質にしたんだよ……勇者ブリジッドは塔に幽閉され一年で一二人子供を産んで最後を迎える……その最後で勇者ブリジッドを救ったのがその時の教会の聖女さね。雷を呼び塔を壊しブリジッドと共に天へ召されたとされている話さ」


 ヤバイなんてものじゃない、ばれたら貞操どころか人間としての尊厳すら危うい話じゃないデスか!

 一年で一二人子供を生むとか……酷い魔法や何か色々な方法が有るみたいだ。


 ロズマリーさんは裏切りそうなロッティはスパッと切っちゃうって事を言いたいみたいだ。


「ロッティ、今決めなさい。私はイデア=イクス様に誓って約束を守る事を宣言します」

「わ、わたしは……」

「今宣言しても後で漏らしたら……スラム街にオツムの壊れた裸の女が転がる事になりますよ」


 マーガレットさん()()脅し半端無い!ぶるっちゃう。


「私はイデア=イクス様に誓います、この身が戒めより解き放たれようとカナタ様の隣で共に道を歩む事を」


 ロッティ泣いちゃってるよ……脅しすぎ可哀想、ってあれ?何か宣言が変わってない?

 ロズマリーさんがクレイモアを鞘に戻した。


「この話はここで終わりにしようか、洗礼を直ぐにでも終わらせたところだけど教会が洗礼してくれるのは二つ目の鐘までさ、今日は戻って明日早くに教会にいこうかカナタ」

「わかりました。でも洗礼って何するんですか?」

「スキルを使っているカナタが洗礼してないとか誰も思わないさ……」

「生まれてすぐに洗礼を行い会得したスキルによって成長し進むべき道を決めるのが普通ですの」

「つまり洗礼しないとスキル覚えれないって事? 違うか、洗礼したらはじめからスキルが貰えるって事かな?」

「概ねそうですね、普通の人は後天的にスキルを得る事なんて稀ですの」


【生存の心得】と【生存本能】使ったら【生活魔法】覚えれたし、【生存闘争】なんてスキルはEXS【第六感】コピーしちゃうし最強への道へ突き進んじゃうしかない!

 あ、【生存の心得】と【生存本能】のASクールタイムは一日でした。【生存戦略】と【生存闘争】は怖くてAS使用してません。


「ともかく明日洗礼してから冒険者リングを登録してもらえば、何かあればここの支店で全力サポートできるようになりますので、お早めにお願いします」

「カナタさんは……私の運命……」


 ロッティがブツブツ小声で言っているけど怖いので放置する事にしました。

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