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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第4章 ハッピー?ニューライフ
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第106話 新生ソフィア

 現在、目の前には地面から氷雪が舞い上がる極寒の大地が広がっている。

 広さ的には大地と言う表現を使うのはどうかと思うが、地下とは言えここは紛れも無く大地なはず?

 四季折々の植物にそれぞれの季候。どんな魔法かスキルなのか、隣り合う季節の境界線には何も無く、ただ数cmそこを超えると季節が変わっていた。


「何をしとるのじゃ! 夜が更けてしまうぞ!」


 極寒の大地を真っ黒なレースフリフリメイド服で進む一人の少女が居る。どう見ても遭難凍死コース一直線な服装で、鼻歌混じりに奥を目指すエウア。

 こっちを振り向いて大声で叫んでいる。寒くないのかな?


「そっち寒そう、もうここで良いよね? 奥の部屋に連れ込んで、何する気なの……?」

「侵入者撃退用じゃからのう……切る事は出来んぞ? 奥には由緒正しい儀式祭壇が配置されておる。その娘に眷属化を使うなら、ここより良い儀式祭壇は滅多に無いぞ? その娘の為じゃからのう」

「ふむ、それならば仕方ないか。ん、流石に寒い。しかも地面から雪が舞い上がってる? 下半身が冷えるね……」


 恐る恐る境界面を超えて冬のエリアへ侵入する。マントの前を閉じフードを被って一歩踏み出すと、地面から氷雪が舞い上がっている事に驚きを覚え、踏み出した足が止まる。

 先でこちらを睨むエウアと目が合い急いで側に向う。


「あれ? 気のせいか冬エリアに入った時より寒い気がする、もしかして奥に行くほど寒い?」

「良い所に気が付いたのう! この広間は初代勇者が張った儀式魔法を調整して管理しておるのじゃ! どうじゃ! このエウア=エデンでも難儀した大魔法じゃぞ! 凄いじゃろう♪」


 吹雪いている中、元気良く子供の様に飛び跳ねるエウアは、両手を振りながら自慢げに言うと、胸を反らし

 ふんぞり返ってこちらの反応を待っていた。


「凄いね! だから早く行って早く戻ろう。ちなみに一番奥は何℃くらい?」


 無言になり手を引っ張り歩き出すエウア。怒らせたのかと思えば口元には笑みが浮かんでいる。

 よほど褒められたのが嬉しかったのか、歩むその足はリズム良く力強く一歩一歩大地を踏みしめていた。


「ん? 何℃? 寒さの事か? バナの実で杭が打て無いくらいかのう? ここらが限界じゃ」


 エウアは元気良く走り出すと、懐からバナの実と大きな杭を取り出し、地面に杭と打ち立てる。

 バナナに似たその果実は、どちらかと言うと芋だ――杭が撃てるほど硬くは無い。

 また走り出したエウアを視線で追うと、一番奥に見える神殿造りの扉の前でバナの実を取り出した。

 エウアの手からこぼれ落ちたバナの実は、地面に接触すると同時に粉々に砕けクリーム色の霧へと変わる。


「通るだけで氷像になりそうだね。うん、無理だ。帰ろう――」

「まーつーのーじゃー!」


 踵を返し来た道を戻り始めると、鬼の形相で走り寄ってくるエウアによって、どんどん奥へと引きずられて行く。途中から足元に結界を張り、吹き付ける雪が直接身体に当たらないようにした。

 神殿造りの入り口に着くと、エウアは扉に手を触れ表面の凹凸を撫でる。

 内側に向って開き始めた門を眺めながら、ボクは冒険者ギルドの入り口を思い出した。


「冒険者ギルドの入り口の門とそっくり。何か元があって真似てるのかな?」

「初代勇者が残したギルドの種から複製された模造品じゃ。冒険者ギルドにある門も、本来の機能は停止されているはずじゃから、どちらも変わらんよ?」

「ギルドの種? 植えたら冒険者ギルドが出来るとか? 面白い冗談だね」

「お金を預ける事が出来る冒険者ギルドは、全て種から芽吹いた物じゃぞ? 育成には完熟したダンジョンが必要じゃから、あまり増えておらんがのう……」


 ラーズグリーズの町の冒険者ギルド、その地下で見たベヒモスの巣穴入り口。あの冒険者ギルドは、魔物の王ベヒモスを討伐した後のダンジョンから生えたと言う事かな?


「ほれ、さっさと中へ入るのじゃ」


 エウアに手を引かれたまま進むと背後で扉が閉まる気配がする。途端に室内が暖かくなり、必要の無くなった結界を解除する。

 エウアが手を上げると室内に明かりが灯り、仄かな黄緑色の光玉が室内を舞い始める。

 部屋の奥には床より10cmほど高くなった祭壇が設けられており、中央に人が丁度横たわれるような石のベットが置かれている。

 ベットまで歩いて行くと、左右の壁と正面の壁にそれぞれ飾られた赤青緑の水晶球が視界にはいった。


「火・水・風って感じの色だね」

「その通りじゃが? 土はこの部屋全体――と言いたいところじゃが、そもそも精霊石を用意出来ないからのう……」

「ふ~ん? 土って一番何処にでも有りそうなのに見つからないの? 精霊石って何?」


 ボクに知識がまったく足りて居ないのがもう分かっている事なので、エウアには素直に聞いてみる。


「一般的には精霊魔法が封じ込められた石じゃのう。ここの壁に飾られている物は精霊の力そのモノが封じ込めて――封じ込めるとは違うか? む……」

「OK、要は精霊の力を借りる為の石って事ね! ちゃっちゃと準備を終わらせましょう」


 石のベットの前で頭を抱えて考え込むエウアに、思わず質問をキャンセルしてしまった。お腹が空いてきたのもあるが、地上に残してきた皆が心配だ。


「手順を言うぞ? まずこのベットに娘を寝かせる。次にカナタが血を与え眷属化をおこなう。基本は以上じゃが、何か質問はあるかのう?」

「簡単過ぎでしょ!? 真祖にする方も聞きたいかな?」


 エウアは石のベットを手の平でペシペシ叩くと説明を続けた。


「基本は一緒じゃが、真祖化を行なう場合は事前に儀式魔法で対象を固定する。

 本来なら十分な生贄に、希少な聖遺物(レリック)を使うんじゃが……カナタなら魔力だけで十分かもしれん。いや、十分過ぎるかのう。

 儀式魔法名は『神への挑戦』じゃ、名前と効果が一致しておらんのは気にするな。

 初代勇者の残した記録から発掘した儀式魔法じゃからのう……成功例としてこのエウア=エデンが居るのじゃ、心配するでないぞ?」


 エウアが手に持つノートはボロボロで、時間による劣化があちらこちらに見受けられ、四隅がかけていた。

 見た感じ○印のメモ帳に見える、初代勇者は案外日本人だったのかな?

 それにしても胡散臭い儀式魔法だ。何故、真祖になる為に神に挑戦する? 真祖化の前に対象を固定? 真祖化とこの儀式魔法は直接関係無いのかな?


「呪文を言うから一回で覚えるのじゃ。『○○(私は)彼方の元へ、○○(彼方)は私の元へ、愛は不変、互いの思い消える事無く。私の○○(願い)(はるか)○○(彼方)()(あい)』じゃぞ?」

「耳が――痛い……」


 エウアの言葉は半分以上聞こえなかった。まるで酷い高低差のある場所へ一瞬で移動したかのように、耳の奥でキーンと音が鳴り、眩暈がした。

 気分が悪い、目が回る、何もかも忘れて眠りにつけたらどれだけ幸せだろうか……?

 何かエウアがこちらに向かって喋っている。


「どうしたんじゃ! しっかりするんじゃ!」

「あれ? エウア? 何やってるの?」

「むむ……? 古代精霊語がいけなかったのかのう……もう一度言う、気分が悪くなったら座るのじゃぞ?」


もう一度あの感覚を味わうのかと思い身構える。無言で口をパクパク動かすエウアに違和感を覚えた。


「・・・・・・・、・・・・・・・、・・・・、・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・」


 気分は悪くならなかったが、どうやらエウアの言葉がまったく聞こえないみたいだ。音を消したまま動画を眺めている様な感じ?


「ふむ、ちょっと待ってね? 今度は気分悪くならなかったけど、まったく何も聞こえない。こっちで似た簡易儀式魔法陣が無いか探してみる」

「何を……言っているのじゃ?」


 簡易儀式呪文リストに目を通す。固定パラメーターの中に丁度良さそうな儀式魔法があるかもしれない。

 鮮血の決闘、精霊王召喚、死者蘇生……凄い儀式魔法を発見するも死者蘇生はグレーアウトして使えない。そもそもまだ死んで居ないので、使うにはソフィアを殺す必要がある。それはダメだ。

 不死者の軍団、黄昏の世界、神への挑戦……おぉう、バッチリ同じ儀式魔法がある。



『神への挑戦』

 この儀式魔法を使用した術者が任意に選んだ生物が対象。対象生物は存在が固定され、上位世界への接続権を得る。

 条件:対象生物が挑戦者(プレイヤー)の場合のみ以下の効果を追加。

 追加:挑戦者(プレイヤー)は上位世界の神に全身全霊を持って挑戦する権利を得る。



 ん~? 何か違う気がする。ついでにグレーアウトして使えない。

 エウアは存在が固定された状態? 上位世界ってどこだ……挑戦者? 謎が深まるばかりなので放置しよう。

 再生の雨、深淵の彼方へ、満天の星空、満月の世界、私の大切な貴女へ……少し気になる儀式魔法がちらほら。



『深淵の彼方へ』

 この儀式魔法を使用した術者とその周囲の空間が対象。対象の空間を術者のES(イド)で侵食する。

『満天の星空』

 術者の認識出来る全ての世界が対象。任意で選んだ対象世界の空に一定時間、満天の星空を付与する。

『満月の世界』

 術者の認識出来る全ての世界が対象。任意で選んだ対象世界の空に一定時間、十五夜の月を付与する。

『私の大切な貴女へ』

 術者の指定した生物(女性)が対象。対象に与えられた全ての呪詛(デバフ効果)を解除し、以降に受ける全ての祝福(バフ効果)を最大限に増加させる。



 一つ目は何と無く引かれたので見てみたが特に意味は無い。

 二つ目は満天の星空を付与する? 星座観察会とか開けそうだ。

 三つ目は十五夜の月と言う事は、満月が見える様になるのか……この○○の世界シリーズは色々有りそうな感じだね。

 四つ目は大本命だった。この場合ソフィアに与えるバフ効果を最大に増加させるという事は、多分眷属化や真祖への転化を最大限補正してくれる感じだと思う。


「お~い、大丈夫か? ……反応が無いのう。今のうちに、少しいただくかのう――ジュルリ」

「何してるんですか」


 横でこちらを見ていたエウアは、何故かボクのマントの前を開き、天使御用達の服を横にずらすと胸元に口付けしようとしている。

 声をかけると一瞬でずれた服を元に戻し、開いたマントを閉じ、口笛を吹きながら知らん顔をするエウア。


「報酬を減らす事を検討しないといけなくなりますよ?」

「冗談じゃ! 本気にするでない!」


 冗談で牽制する言葉を放つと、エウアは涙目で必死に縋り付いて来た。予想以上の反応に少し悪い事をしたかな、と後悔するも後の祭りだ。


「まぁ良いです、本命が見つかったので。真祖への転化は無理でも、眷属化を補正するやつを見つけました」

「意味が分からんのじゃが……」

「下がっていてください、なにが起こるかわかりませんから」


 先ほどの治療の事を思い出したのか、青ざめた顔で後ずさるように祭壇から離れていくエウア。

 ミッションは簡単だ。ソフィアをスマホから出し、【簡易儀式魔法陣】を使用して儀式魔法『私の大切な貴女へ』を使い、ソフィアにボクの血を与えて眷属化をおこなう。真祖への転化が無理そうなのは惜しいが、一刻も早くソフィアを苦しみから解き放ってあげたい。後は出たとこ勝負かな?


「何か有った時は頼みます」

「何じゃと!?」


 背後でエウアが身構える気配がする。

 スマホからソフィアを出すとすぐに結界で保護し、石のベットの上に固定する。

 大きく一度呼吸をして【簡易儀式魔法陣】を使用し、儀式魔法『私の大切な貴女へ』を起動。

 現れた魔法陣は初めから全て表示されるタイプでは無く、現在進行形で線が動き、次々と魔法陣が追加されていくタイプだった。

 焦りながらも両手を使い魔法陣の線をなぞって行くと、次第に周囲が明るくなり地下に居るはずなのに暖かな光りが天井から降り注ぎ始めた。次第に目も開けられぬほどの光りが室内を満たしていく。

 ボクは自動で光量を調整してくれる眼鏡に感謝し、次第に穏やかになって行くソフィアの表情を見て少し安心する。

 全ての線をなぞり終えると、石のベットに横たわったソフィアの真上に直径1cmほどの光りの玉が現れた。


「今から眷属化を使いソフィアを救う。ボクを信じて全てを受け入れてね?」

「はい……」


 両手を胸の前で組んだソフィアは小さく肯きこちらを見て答えた。

 ボクは指を小さく切ると、流れた血と光りの玉を一緒に飲ませ【眷属化】を使用する。


「あぁぁぁぁ!?」


 お腹の底から上げた様な叫び声。ソフィアに訪れた変化は想像を超えたモノだった。

 銀色の髪が根元から黒色に侵食されていく、見開いた瞳の色は銀色へと代わり、すぐに赤色へと変色し、次第に黒色に侵食されていく。

 開かれた口から漏れ始めた悲鳴、少し長くなった犬歯は歯の先端から黒色に侵食されていく。

 石のベットに寝かせてたその素肌に、まるで血管が浮き出たかのような模様が現れ始め。

 雪の様に真っ白な肌――身体全体から黒い霧のようなモノが噴出し、ソフィアは全身を激しく痙攣させ始めた。


「……何をしたのじゃ?」


 恐る恐る問いかけてくるエウアを左手で制す。今はまだ変化の途中だ――事の終わりまで集中しないといけない。

 次第にソフィアの口から漏れる悲鳴は小さくなり、真っ白な肌に血の色が戻り始めた。消えていく血管の様な模様。


「成功かな? ソフィア、声が聞こえたら右手を上げてみて?」

「……はい。マスター、私にもアレをください」


 上げた右手でゴミを振り払うかのように結界が破壊される。ソフィアは何かを求めると潤んだ目でこちらを捉え、両手を伸ばしてきた。ボクの頬に両手が触れる。


「アレって……何かな?」

「マスターはイジワルです。ノーラとグラにはあげたのに――私はダメなんでしょうか?」


 ソフィアの瞳から滝の様に涙が零れ、慎ましやかな丘を伝い臍へと流れていく。思わずゴクリッと喉が鳴ってしまった。

 どうやらソフィアが欲しがっているのアレとは加熱蜜結晶の事らしい。すぐに右手でスマホから一粒取り出すとソフィアの口元へと持って行く。

 すると、頬を膨らませて目を細めたソフィアがボクの指ごと加熱蜜結晶を頬張り、こちらに顔を近づけてくる。


「羨ましかったんです……」

「へ? どういう事? んぐっ!?」


 ソフィアの伸ばされた両手がボクの体を抱き締めると同時に、口に柔らかい感触が触れ、唇を割って舌が入り込んできた。舌の上に乗った加熱蜜結晶がボクの口の中で溶け始めると、ソフィアは少し長めのその舌で口内を蹂躙する。

 体から力が抜けて行く。ソフィアに何もかも吸い取られるような錯覚に陥ったボクを、現実に引き戻したのは背後から聞こえた一言だった。


「終わったのなら報酬を貰いたいんじゃが……席を外した方が良いかのう?」

「ちょっ、待って。すぐ支払うから! ソフィアも離れて!」

「マスター……残念です」


 天使の様に微笑むソフィアは、唇から垂れた雫を舌で掬い取り、味わう様にゆっくりと飲み込む。


「さっさと戻るのじゃ!」

「「は~い」」


 少し涙目のエウアの叫びが室内に木霊した。

 予備の装備をスマホから取り出しソフィアに着せる。天使御用達の服に新品の下着に黒バック、CNT製マント・アームカバー・グローブ・サイハイソックス・レッグガードと靴は一般的な皮のブーツしかなかった。

 祭壇のある部屋を外に出ようとして、ふとソフィアのステータスが気になり左目で見る事にする。


「ソフィアのステータスを確認するね?」

「マスター! ステータスと言わず、全身を隅々まで! 好きなだけ確認を!」


 こちらの腰に手を回し、正面から体を密着させ抱き付いてくるソフィアの頭を撫でると左目で見る。



 名前:ソフィア(彼方=田中=ラーズグリーズの使徒)

 種族:UNKNOWN(人間) 年齢:19 性別:女 属性:闇

 職業:狩人・使徒 位:第一使徒

 称号:無し ギルドランク:F


 レベル:24[5+19]☆

 HP :239/239[200+15+24]

 MP :139/139[100+15+24]


 攻撃力:15[15]

 魔撃力:15[15]

 耐久力:117[15+102]

 抵抗力:UNKNOWN[1+UNKNOWN]

 筋力 :34[15+19]

 魔力 :34[15+19]

 体力 :34[15+19]

 敏捷 :34[15+19]

 器用 :34[15+19]

 運  :UNKNOWN[☆]

 カルマ:0[0]


 SES盗×

 :【創世神の祝福】【絶壁の加護:闇】

 UNS盗×

 :【闇の洞】

 スキル盗×

 :【生活魔法】【下級状態異状耐性】【精神強化F】【体力強化F】

 :【気配感知F】【闇精霊魔法】

 Aスキル盗×

 :【闇技】


 装備品

 武器  :無し

 盾   :無し

 兜   :無し

 仮面  :無し

 服   :天使御用達の服[耐+1抵+1]【浄化S】【自己修復S】

 鎧   :CNT製マント[耐+20]【超硬度】

 腕   :CNT製アームカバー[耐+20]【超硬度】

 手   :CNT製グローブ[耐+20]【超硬度】

 足   :CNT製サイハイソックス[耐+20]【超硬度】

 足   :CNT製レッグガード[耐+20]【超硬度】

 靴   :皮のブーツ[耐+1]

 その他 :シュヴァルツカイザーバックパック【亜空間ボックス】【超硬度】



 突っ込みどころが満載過ぎる!?

 レベルの割りにステータスが一律で高い、謎な祝福と加護が……スキルも闇系にまとまっているし、便利そうな状態異状耐性、何気に強すぎる気がする。これが祭壇の効果なのかな?

 眷属化したはずなのに使徒になってるし、使徒って職業なのか。種族もボクと同じで、年齢が19歳……!?


「ボクが今18歳だから、ソフィアってお姉さんだったのか!」

「はぁうっ!? 何と言う良いひびき! もう一度――もう一度お願いします。マスター!」

「早くこんと置いていくぞ!」

「「は~い」」


 全身を激しく摺り寄せ、抱き付いた手でこちらの背中を撫で回すソフィア。

 第一印象から、もっと儚げな少女だと思っていた。今はマーガレットに近い雰囲気を感じる……。


 来た道を、寒さから結界で身を守りながらエウアの後を追う。

 申し合わせた様に、メアリーとオーキッドもレイミーと一緒に部屋の中央で待機していた。その三人の両手には、溢れんばかりの果実と紐に目を抉られて吊るされている魚が満載だ。

 もぎ立ての果実の香りが鼻腔をくすぐる、急にお腹が空き始めヨダレが溢れてくる。キュ~と可愛いお腹の音が聞こえ、ソフィアが両手で顔を隠し真っ赤になっていた。


「報酬は上に戻って、ご飯を食べた後にジックリ貰うかのう~♪」


 スキップでも始めそうなくらい弾む足取りで前を歩くエウアと尻尾の先を持ち上げてフリフリするレイミー。

 ボクに抱き付いたままのソフィアを訝しげな目で見るも、何も言ってこないメアリー。

 オーキッドは口をWに変えて、尻尾をフリフリしながら無言で付いて来るのだった。

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