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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第4章 ハッピー?ニューライフ
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第104話 洋館の謎?

 古びた洋館の内装は思いがけないほど綺麗で、ここが外から見たボロボロの古い洋館とは思えなかった。

 磨かれた銀の蝋燭立てがいたる所に配置され、火を灯せば月や星の出ていない真夜中でも不便なく行き来出来るであろう通路。床板は傷一つ無く、サーベラスが歩いても軋み音一つ立たない。

 磨かれた硬虫の羽がはめ込まれた傷一つ無い(・・・・・)窓、そこから見える屋敷の外には草木が好き勝手に伸びた庭が広がっていた。


「四度目の鐘が鳴るまでに案内終わると良いかな~?」

「何で疑問系なの!? まだ二時間くらいあるよね!」


 こちらを振り返らず先頭を歩くオーキッドは、ご機嫌なのか尻尾が大きく左右に揺れている。


「綺麗な壁……真っ白でクスミ一つ無いです」

「そうだね、不自然なほどに綺麗な壁だよね……」


 レイチェルの言葉を聞き思い出す。外から見た洋館の外観には、木の板で補修された箇所が何箇所もあった。中から見る限り補修の跡は一つも無く、それどころか修繕が必要に見える箇所すら無い。


「まずは居住区の地下と一階を案内しようかな?」

「地下に住んでるの? 二階と三階は使ってないの?」

「この建物は二階建てかな~」


 オーキッドが不思議な事を言った。外から見た感じ、三階に少し小さめの部屋があったはずだ。ルナが子供の影を見た部屋が……


「またまた~冗談を~。外から見た感じ三階にも一部屋あるよね? ロフト的な部屋?」

「上れる階段が見つからないから、無いんじゃないかな?」


 それだけ言うとオーキッドは廊下の途中にある絵画が飾られた凹みの前で立ち止まる。この屋敷にはオーキッド達も把握してない部屋がある?


「絵心はあまり無いけど、その絵なかなか綺麗だね~赤い服を着た女の子?」


 絵画はこの屋敷の前で描かれたと思われる、玄関の風景に両手に銀色の棒の様な物を持った真っ赤な服の女の子が描かれていた。絵の題名は……安らかに眠れ!?


「あの……絵の題名が安らかに眠れって書いてあるんですけど、オーキッドは何か知ってる?」

「さぁ? あたい達がここを根城にし始めた時から、ここの扉の前に飾られてた絵かな?」


 オーキッドが絵を上から下へ押すと壁が音も無く消えて通路が現れる。当然の様に通路に入って行くオーキッド。


「カラクリ屋敷みたいだね、ちょっと楽しそう」

「どんな仕組みになってるのか分からないけど、今確かに壁はあったよ?」


 カラクリが琴線に触れたのか、メアリーが熱心に壁を擦ったり通路を行ったり来たりしている。

 通路は横幅2mほどでサーベラスでも普通に通れる広めに作られており、尻尾フリフリでサーベラスが入っていく。皆がオーキッドを追い通路に消える。

 残されたボクは降り止まない雨が気になり窓に近づいた。


「気のせいじゃないよね、窓の外は大雨なのに……雨音がしない? どんだけ機密性の高い建物なの……あれ?」


 窓の外を見ている間に壁の通路が消え、元の絵画が飾られた壁になっていた。

 オーキッドと同じ手順で絵を上から下へと押す……反応が無い?


「参ったな~隠し扉が開かないとは、誰か戻って来てくれないかな」

「コツがあるの。一番下まで下げちゃダメ……」

「ふむ、単純に下げ過ぎたのか」


 言われた通りに試してみるとすんなり通路が現れる。お礼を言おうと振り返るとそこには誰も居なかった。

 通路の端まではかなりの距離がある、数秒で見えない位置まで移動するのは不可能だ。


「……とりあえずありがとう。歌でも歌おうかな、怖くない~。恐くない~。コワくない~。コワクナイ~。あぁぁぁー! 待ってー!」


 隠し通路を全力で走る。何かに足を捕られて転びそうになり床に手を付いた。

 柔らかい感触が手に触れて、思わず自分の手元を確認する。

 通路の床板から手が生えていた。一本じゃない、無数に手首が生えていた。


「飛ぼう……」


 つかまれた足を振り解き、天井スレスレを【停止飛行】で飛びながらオーキッドを追う。

 遠くから『その通路、時々足を捕られるから注意しないとダメかな?』とオーキッドが皆に注意する声が聞こえてくる。

 事前に知っていればこんな場所に来なかった。ジャンヌがやけに話しに加わってくる理由はコレか……。


「カナタ? 何してたの。そろそろ階段だから足元注意して」

「この洋館まずいって、ココ見たらすぐに出よう。手が生える通路とかトラップの方がマシだって!」

「何言ってるの? ルナも様子がおかしいし……調子悪いならサーベラスに乗って移動すれば良いよ?」


 メアリーが話しを聞いてくれない。仕方なくサーベラスに近寄ると、先にルナが背中に乗っていた。

 自分の尻尾を抱き締めてキャロラインの胸に顔を突っ伏したままのルナは、身動き一つせず必死に何かに耐えている。困った顔のキャロラインはただその背中を撫でていた。


「どうしたの?」

「何か聞こえるらしいですわ。私達誰にも聞こえない何かが?」

「ちょっと詰めて貰える? ボクも背中に乗せて欲しい、ちょっと疲れてるみたいだから」


 ずりずりと後ろにずれたキャロラインにお礼を言うとサーベラスの背に乗って目を瞑る。

 背後でルナが動いた気配がしたと同時に背中に抱きつかれる。


「笑い声が聞こえるんやで……」

「えっ? 女の子の声とか?」


 急に震え始めたルナはそう言うと、両手を前に回しお腹の前で手を組み、絶対離れないと言った風にしがみ付いて来る。目を瞑ったままルナに聞くと背中に肯く感触があった。

 先ほどの通路の手は小さい手ばかりだった。女の子の手かどうかは分からないけど少なくとも一人二人の手では無い。そうなると声をかけてきた女の子とルナの聞いた笑い声は……子供達の亡霊?


「ここの階段、時々髪を引っ掛けるから注意かな?」

「髪を引っ掛ける? 変なの~」

「ふむふむ、釘でも出てるのかな? 明かりもそうだけど。改修工事した方が良いかも知れない? カナタクランの資金使っても良い?」

「無事ここから脱出出来たら考えようね……」


 オーキッドの説明に首を傾げるレイチェルとメアリー。改修工事の見積もりを空で言い始めたメアリーに一言伝えると、尻尾をフリフリするサーベラスの背中を撫でる。


「カナタ……何か、髪の毛に絡まってるわ」


 足を止めたサーベラスにキャロラインの少しトーンの落ちた声、髪を引っ張るかのような感触が頭を襲う。

 手を伸ばして振り解こうとすると……誰かの手と握手した。


「捕まえた! って、あれ?」


 頭上を見上げ捕まえた手を引っ張るもスッと手が消えていく。手の平には柔らかな感触だけが残されていた。

 後ろを振り返るとボクの背に抱きついたルナに抱き付くキャロラインと目が合う。無言で肯くキャロラインの頭を撫でる。不安な時、何かを撫でると落ち着く気がする。


「この扉の向こう側が居住区かな~。強固な作りで外敵が来てもシャットアウト、堅牢な作りかな~」


 オーキッドが自慢げに話す室内には、鉄格子で分けられた部屋が並んでおり、子供達が各部屋を二~三人で共用しているみたいだ。室内にはラビッツの毛皮が敷かれ、壁際には木の宝箱が人数分置かれている。


「これは、確かに強固な作りだけど。堅牢な作りというより堅牢な鉄格子の牢屋だから!」


 中でゴロゴロしている獣人の子供達やオーキッドは、目を大きく見開き、口を半開きにしてこちらを見つめていた。


「敵が来ても大丈夫かな? それに鍵もかけれるから安全かな?」


 オーキッドは外から鉄格子に蹴りを入れるとビクともしない事をアピールし、自分の牢屋に入ると中から扉に鍵をかけ、ドヤ顔でこちらに尻尾を振ってくる。


「これで敵が来たら唖然とするよね? 自分達が何もしてないのに牢屋に全員入ってるんだから……。鍵を無くしたら出れなくなるんじゃない?」

「もし鍵を外に投げてしまっても大丈夫かな!」


 全員一斉に扉の鍵を閉めると、鍵を廊下に向って放り投げる。投げられた鍵は硬い石畳を滑る様に転がり、皆の手の届かない場所へと転がっていった。

 皆が見ている目の前で地面から手首が生えてくる、鍵を掴み、それぞれの牢屋の中へと届けてくれる手。

 オーキッド達は手から鍵を受け取ると、扉を開け、外に出て来て自慢げに立っている。


「防犯対策も完璧かな!」

「今の手は……それに地下だと酸欠に――空気の入れ替えとか出来ないし、体に悪いんじゃ?」

「それも大丈夫かな!」


 オーキッド達は天井の一箇所を指差し、またまた自慢げに話し始める。


「どこかに繋がっている天井から空気が流れて来て、こっちの壁の隙間から部屋の空気が出て行くからいつでも新鮮な空気が楽しめるかな!」


 オーキッドが指差す天井と壁には2cmサイズのサイコロ状の穴が沢山空いており、奥には通路が見える。扉かと思えば取っ手も無いタダの天井と壁だ。壁の奥にある通路……謎過ぎる。


「ちょっとそこの壁壊してみようか」

「うん? 後で直して欲しいかな?」

 

 状況を理解していないのか、首をかしげて尻尾フリフリなオーキッド。空気に毒でも混ぜられると一網打尽にされる気がする。

 壁の奥へと繋がる通路が気になり、サイコロ状の穴が空いた壁を壊す事にした。

 一応引っ張ったり押したり持ち上げたりするもタダの壁だ。何かスイッチを押すと勝手に開くカラクリかと思ったけれど勘違いだったみたいだ。

 両手の指をサイコロ状の穴に引っ掛けると思いっきり引っ張ってみる。ビクともしないうえに周囲の壁からミシリと心臓に悪い音がしたので止める事にした。


「ん~壁と一体になってるね。本気で壊そうか」

「後で、直せるのかな……」


 本気で心配そうなオーキッドの目の前で、カーバインの盾を取り出すと壁に向けて射出する。

 盾がぶつかった壁は脆い砂糖菓子の様にボロボロと崩れていった。

 現れた通路は頑丈な石作りで、横幅1m弱と少し狭く、何故か高さは3m以上取ってある通路だった。


「一人で入るから。――メアリーと一緒に見てくるから。――あー、メアリーとオーキッドと一緒に見てくるから待っててね」


 一人で通路に入ろうとするとメアリーがマントを掴み、二人で通路に入ろうとするとオーキッドもマントを掴んでくる。しかたないので三人で入る事にした。


「何でこんな通路が有るのかな?」

「さぁ……疑問だらけで、もうどうでも良い感じだね」

「カナタ、この通路ちょっと変かも」

「うん? どうかしたの? 床に何か落ちてる?」


 メアリーが床に指を沿わせて何かを確かめていた。


「誰かが日々この通路を使ってる、埃が殆ど落ちていないし足跡もある」


 メアリーの指摘通り、床には子供サイズの足跡が薄っすら残っており、【光量調整】で床や壁を丹念に調べてみると黒銀色の髪の毛と真っ黒の糸屑を発見した。

 静かに、気配を探りながら慎重に通路を進む。生き物の気配はしない。

 長い通路は途中で二手に分かれており、オーキッドが分岐点で待機して先に片方を調べる事になった。


「何かあったらすぐ呼んでね? 絶対一人で対処しようと思わないでね?」

「大丈夫かな~。ドラゴンでも来ない限り片手でチョイチョイかな!」


 オーキッドは壁に背を向けると、後で調べる予定の通路を睨みつけ尻尾を振っていた。


「すぐ戻ってくるからね」

「行くよカナタ。ここから会話は無しね」


 メアリーと二人で通路を進む、分かれ道からは通路が更に広がっており、横幅は軽く5mほど高さに至っては先ほどの倍ほどもある。

 生き物はG虫一匹すらいない、綺麗に清掃されたと思われる石作りの通路。どこか坑道を思わせる通路には所々に火を灯すランプがかけられていた。


 暫く無言で歩いていると、不意にメアリーが肩を叩いてきた。声が漏れそうになるのを押さえて振り返るとメアリーはスマホの画面を指差し天井を見ている。地図アプリ?


 画面を覗き見ると、この場所が冒険者ギルドの真下だと言う事が分かった。

 天井には丸い扉があり、壁を伝う様に植物の蔓が扉から地面まで伸びている。

 扉は気になるが、とりあえずこの通路を先に進んでみる事にする。


 途中から歩くと時間がかかる事に気が付き、メアリーを抱えて【停止飛行】で飛びながら地面を蹴って移動する。


「何かキナ臭くなってきたねカナタ。冒険者ギルドの誰かがこの坑道を作ったのかな?」

「う~ん。この坑道自体は結構古い物っぽいんだよね、この端っことか石が風化したようになってるよね。そのわりにランプとか結構性能良い物っぽいし。どういう事なのかな?」


 地面や壁を蹴って進む時に気が着いた事が二つある。一つ目は、緑のコケが風化した石材の間にびっしり生えており、仄かに輝いている事。二つ目は、ランプが魔力で明かりを灯すマジックアイテムの類だと言う事。

 このタイプのランプは初めて見る。王都で一般的なのは何かの油に芯となる紐を入れた簡易ランプか蝋燭や松明の類がほとんどだった。


「光りが見えてきたね、ん? この匂いは!?」


 咄嗟にメアリーがボクの口を片手で塞ぐと戻る様に必死で背後を指差す。通路の先に一体なにが?

 天井スレスレに張り付くようにくっ付き息を潜める。涙目で背後を指すメアリーにキスをして落ち着かせると、結界を厳重に張り、何に気が付いたのか聞いて見る事にした。


「音は漏れない、厳重に結界を張ったから。とりあえず何の匂い?」

「ドラゴンに近い匂い! 逃げようカナタ!」


 ドラゴンってどんなやつかな、と思い視線を通路の奥に固定する。遠くで動く白い影が見えた。



『クイーンGUARDラミアLv999(レイミー)』



 何か見えた。黒い鱗に覆われた蛇の様な下半身に、真っ白な女性の上半身を持つ魔物?

 名前が付いているって事は誰かの従魔? まだかなり距離があるはずなのに、ボクの隠れている天井をガン見したままウネウネと地面を這い近寄ってくる。


「アルファベット持ちのラミアらしい。何故かずっとこっち見てる気がする? かなり距離有るし結界もはってあるんだけど……」

「カナタの馬鹿! 蛇はドラゴンの眷属だよ! 蛇には匂いも音も関係無いの! 見つかったのなら逃げてー!」


 蛇は赤外線を感知出来るピット器官というモノを備えていると聞いた事がある。天然のサーモグラフィみたいな感じ? 体温を下げれば見つかりにくくなる?

 生活魔法で水を作り、丁寧に小さな水滴へと変換していく。周囲の水滴から熱を奪い氷化させると共に、集めた熱を天井の一部から拝借した石塊に集めて温める。

 結界を解除すると同時に温めた石を右よりの壁に放り投げると、ボク達は左寄りに移動して反応を見る。


 ラミアの視線は右壁沿いに落ちた石へと向き、注意をそらす事に成功した。

 先が二つに分かれた舌をチョロチョロ出しながら石を見つめるラミア。不意にその視線が左寄りに入るボク達へと戻った。


「カナタって時々変な事するよね?」

「実験? 体温下げてみたけど見つかったみたい、舌で何か感知してるのかな?」


 少しずつ近づいてくるラミアの姿に後退準備を始めたボク達。姿が完全に目視出来る範囲までラミアが近づいてきた。上半身は一般的な成人女性と同じサイズなのに対して、下半身がかなり長い。7mくらいあるんじゃないかな?

 白く銀色に輝く長い髪が裸の上半身に絡まり、絶妙な位置から黒色の鱗に覆われた下半身が伸び、幻惑的な光景が広がっている。表情は穏やかで少し微笑んですらいた。


「敵意は無いみたいだけど、逃げる? お話し出来るかな?」

「カナタ……女なら誰にでも優しいよね。いつか痛い目見るかもね」

「ち、違うよ。従魔みたいだから誰か主が居るはずだし、攻撃したら敵対行動と見なされるからだよ!」

「ふ~ん?」


 ジト目でこちらを見たまま尻尾で太股を叩いてくるメアリー。視線をラミアから一瞬そらした瞬間『ゴクリッ』と生々しい音が聞こえてきた。


「逃げよう、私美味しくないからね」

「異議無し、多分ボクも美味しくない」


 視線をラミアへ戻すと同時に、壁を蹴って来た道をとんぼ返りする。【停止飛行】が無ければ確実に捕まっていた。予想以上に素早い動きでこちらを追って来るラミアは、二股に分かれた舌を出したり引っ込めたりしながらこちらを見て微笑んでいる。


「何か微笑みが怖いんだけど、どういう事かな!?」

「カナタ【ARM力場】で匂い抑えてるよね?」

「ご飯……時間……ゴクリッ」


 背後から聞こえてくるセイレーンの調べの如き美声、一瞬思考が停止し振り返りかける。

 聞こえる美声とは裏腹に、途切れ途切れの言葉は物騒この上ない。

 メアリーの尻尾が股の間でもぞもぞ動き、抱えた腕に鋭い牙が突き刺さった。


「カ~ナ~タ~!!」

「ごめんなさい! このまま戻るのは危ないよね? 分かれ道に結界張ってオーキッド攫って反対の道突っ切る?」

「スマホの地図見た限りじゃ、反対側の道進んだ先は巨大な円形の広間とその奥に小部屋が一つだけだよ?」

「円形広間で何とか撒いて皆の元に戻ろう。この洋館はヤバイ!」


 肯くメアリーを左腕に抱えなおすと、オーキッドを右腕で攫う準備を整えた。来た通路には結界を張って、皆の無事を確保する事も忘れない様にしないとね。

 倒してしまうのが早いかもしれない、でも言葉を話す女性型の従魔を倒すのはどうかと思う。

 行きより全力で飛んでいるのですぐにオーキッドの姿が見え始める。


「オーキッド右手で攫うから両手上げて道の真ん中へ移動! 説明は後から。このままだと皆食べられる可能性がある!」


 素直に道の真ん中へ移動したオーキッドは、腰の袋から丸い玉の様な物を取り出し投げる構えに入った。


「良く分からないけど分かったかな! 逃げるならこっちの道には魔物避けの煙玉投げておくかな!」


 オーキッドが来た道へと丸い玉を投げると、真っ白な煙が通路に充満した。

 すれ違い様にオーキッドを回収し、そのまま進むと無事円形の広間へとすぐに到着する。


「緑の匂い? カナタ広間入ってすぐに可能な限り天井スレスレに飛んで!」

「色々な薬草の匂いもするかな?」

「了解! 急上昇で舌噛むといけないから口閉じててね」

「時間……マスター……」


 オーキッド回収時に少し速度が落ちた為、ラミアは10mほどまで接近していた。通路を抜け、明るい円形の広間へと全力で飛び込む。

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