始まりと城
近未来、VRゲームが人々と出会い二年後
オープンワールドのMMO、
『ロジカルワールド』がサービスを開始。
華やかな街でプレイヤー同士が繋がるコミュニティゲームと、モンスターとプレイヤーが
ぶつかり合うシューティングゲームの2つの顔を
持っていた。
国際関係が大きく動き、この国が在り方を
変え始めた頃、サービス開始から八年後の歴史の変わり目に、
『ロジカルワールド』に突き抜ける様な新たなアップデートが実施された。
新参をほとんど断るように作られていた
ガンエリアとは別の、それでいて古参を優遇しつつ新規ユーザーを引き入れる為の策である。
【キャッスルエリア】。
今までの油臭く無機質な世界とは隔離されつつ
今までの要素が残った新エリア。
パッシブスキル により速く、激しく剣、銃、魔法が入り乱れ、バランスが調整されたモンスター達、
多彩なジョブによる戦闘スタイルのバリエーションに富みながら、リザルトではなく戦いながら補正が入り強くなるノンレベルステータス制は
瞬く間に両ユーザーを惹き付けた。
不遇で無慈悲なテクニックによる差とプレイヤーキルが、あったガンエリア も、かなりの人気を博していたが、キャッスルエリアは実装後半年で登録者が3倍に増加。
今なお進撃を続けている。
【キャッスルエリア】内ダンジョン〈土豪の祠〉
ボスの部屋では既に戦闘が始まっていた。
相手は物理耐性が高く剣、銃では快勝不可能と言われる〔ランドドラゴン〕。
強固な皮膚から繰り出される土属性の強烈な物理攻撃、土属性に耐性を付けすぎると即死レベルとなる高火力火属性魔法ブレス。
「あともう少しだ!一気に仕掛けるぞ!」
[おおおおおおおおぉぉぉぉ!!!]
六人以上八人のパーティーを束ねた〈レイド〉のメンバー全員の雄叫び。
そして、勝者の一撃が今振るわれようとしていた。