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飛行希望

作者: 芥子

毎日、毎日同じことの繰り返し


日常が嫌で鬱でたまらない


牢獄に閉じ込められてただ月日を過ぎる事をしか考えていない、服役囚のように生きている


それでも出られるだけ俺よりマシか


しかしそんな俺にもただ楽しみがある


それは空を見上げること


空はとてもきれいでどこに行っても同じ景色を見せてくれる


そんな空が大好きだ


空を見上げると、一羽の鳥が飛んでいる、


一羽で飛んで孤独を抱いているかもしれないが、空を思う存分飛べるだけ俺よりはるかにマシである


地面にはいつくばって生きている愚かな人間様の俺よりは・・・




幼少の頃飛ぶことに憧れていた時があった


飛行機だとかそういうのではなく、自分自身で空を飛ぶこと


そう鳥のように


当時は自分の体重が重いからという事で、飛ぶ事を諦めていた


子供だからそういう風に思っていたのだろう実際はそんな簡単な事ではないのに



かと言って空を飛ぶメカニズムなんて俺が知るわけもない



・・・モシカシタラ・・・ソラモトベルハズ・・・



次の日


俺は空を飛んでいる!雲の中にいる!


俺は空を飛べたんだ!俺は空を飛べたんだ!!


これでうるさい上司にブツブツ言われずにいれるし


周りの連中は俺をバカにされずにすむ!


なんたって俺は空を飛んでいるからだ


どうせなら街に行って、空を飛んでいる俺の姿を見せてやろう


日がくれ帰宅する人々でにぎわう街、そんな中俺は颯爽と空を飛びながらぬけていった


人々は驚きながら俺をみるが、速く飛びすぎてるためか多分確認できてないだろう


凡人共には仕方ないか


駅の方へ行って見るとホームが何やら騒がしい


何人もの警官や駅員がいて、乗客を整理している


そして線路には鑑識が袋を持ちながら何かを袋の中に入れている多分飛び降り自殺だろう


空から見てやるか


警官A『最近、飛び降り自殺が多いな』


警官B『そうだな、コイツも大方人生に疲れたんだろうな』


警官A『なぁ・・・それにしてもこの死体、顔だけみつかんねぇな』


警官B『そりゃ顔だなんてグチャグチャにな・・・』


警官A『どうした?』


警官B『あ・・・あれを見ろ』


警官A『そ・・・そんなバカな』


その指の先は上を飛んでいた俺だった


空を飛べるようになった理由体重が軽くなったからだ


今の俺は首だけで空を飛んでいる


そのおかげで体重は軽くなって、空を飛べた首だけになった方法は言わなくてもわかるはずだ


警官A,B『生首が空を飛んでいる!!』


その言葉を聞きつけ他の警官もやってきて、目を疑っていた


俺は笑いながら警官達の上をグルグル飛んだ


その間抜け顔を見下しながら、その出来事以来俺は飛び続けた



それから一体どれくらい空を飛び回ったのだろうか


いくら飛んでいてもあれほど飛びたかった空なのに気分は浮かばれない


死人になって化け物といわれて空を飛んでいるのだ、最初はそれでもよかった。


けれどひたすら空を飛び回っている俺は思う


結局生きてた頃と変わらない、ただ毎日同じことの繰り返し

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