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世界を救うために君を落とします  作者: 月丘 翠
作戦《3》体育祭で活躍すべし
11/15

体育祭で活躍すべし! ①

中間試験 総合成績2位ー

この結果が、世界の崩壊にどんな影響を与えたのかはわからない。

しかし、テストが下から数えた方が早い俺が学年3位でデートまでこぎつけたのだ。

ここまでは順調。

よくやったもんだと自分でも思うが、ここからが問題である。


(俺、デートとかしたことないんだよなぁ)


ここまでの人生で一度もデートの経験がない。

なんなら、女子とご飯に行ったことすらない。

なので、お礼のご飯というものがどういったプランで進めていくべきなのかわからない。

ただこのデートでの印象は非常に重要なものになることはわかっている。

自分にとってだけではない、世界にとって重要なのだ。


スマホで調べてみるが、なかなか難しい。

高いところは財布に厳しいし、おそらく気を使わせてしまう。

だからといって、ファストフードというわけにはいかないだろう。


「うーん」悩みながら、奏汰が教室でぼんやりしていると、小春に声をかけられた。


「市川、これあげる」


「ん?なに?」渡された袋の中をみると、奏汰の好きなグミが入っている。


「俺の好きなやつじゃねーか!で、くれるのはありがたいけど、なんで?」


「3位になったお祝い。もう一生なることないだろうしね」


「・・・その最後の一言は必要だったのか?」


「文句あるんだったら返して」と伸ばしてきた小春の手を避けると、「ありがたくいただきます」とポケットにしまった。


(そういえば、こいつも女か・・・)


「あのさ、聞きたいことあるんだけど」


「聞きたいこと?」


「お礼にご飯連れて行かれるとしたらどこがいい?」


「ハっ!?お礼!?」


「あぁ。お礼に女の子にご飯を奢る約束をしてて」


「・・・はぁ?」

小春の目が吊り上がっている。


「あぁ、俺じゃなくて友達がな」


「なんだ、この前の友達の話か」

小春は安心したような、納得した顔をして「そう、友達。友達の話」と独り言のように言った。


「ってか、なんで怒ったりするんだよ?」


「・・・うるさい!」

小春は、顔を真っ赤にさせて怒って行ってしまった。


「俺、そんなうるさかったか・・?」


奏汰はきょとんとした顔で小春を見送った。


結局答えが見つからないまま、放課後を迎え、誠と共に帰ろうとしていると、「市川」と呼ばれて振り返ると、まだ不機嫌そうな小春が立っていた。


「さっきの話だけど」


「あぁ、メシの話?」


「送っといたから、スマホに」


「何を?」


「店や、おすすめの店の一覧。友達に教えてあげなよ」


小春はまた不機嫌そうに去っていった。


「なぁ、篠田。俺なんか怒らせること言ったかな?」


「女性はホルモンの影響で気分が上下するんだって母さんが言ってたぞ」


そんなもんかと自分を納得させると、家でスマホを見てみる。

小春から3軒ほど候補の店が送られてきている。


(この辺りなら予算内かな)


店を決めると、小春にサンキューと犬のスタンプを送った。


早速翌日の放課後に図書室へ向かった。

図書室の奥で、梨央が本を読んでいる。

静かに本のページをめくっている。

ただそれだけなのに絵になっている。


「あの、大久保さん」


「い、市川くん!?」


突然声をかけられてびっくりしたのか、本を机の上に落として、目を丸くさせている。


「ごめん、驚かせちゃった?」


「いや、そんなことは・・・。どうしたの?もう試験勉強は終わったでしょう?」


梨央の横に座ると、静かに深呼吸をして息を整えた。


「うん、ほら前にメモもらっただろ?その例のお礼の話をしたくて」


(言ったー!勇気出した、俺)


自分を褒めながら、恐る恐る梨央を見ると、顔を真っ赤にさせている。


「あ・・・うん」


「いいお店見つけたから、どうかなって思ったんだけど」


「うん」


静かな時が流れる。


前は勉強という共通の話すべき話題があったが、それがないと何を話していいかわからない。


「あの・・・いつにしますか?」

梨央も少し頬を赤らめて、小さな声で尋ねてくる。


「え、あ、そうだな。いつがいいかな?俺は部活も入ってないし、休日も寝てるだけやからいつでもいいんだけど」


「じゃあ、今度の土曜日はどう・・かな?」


「土曜ね、うん、予約しとくよ」


鼓動も速くなって、なんだか息苦しい気すらしてくる。


「じゃあ、また予約出来たら言うから」


なんだか恥ずかしくて気まずくて、そう言って奏汰は席をはずそうと立ち上がった。

進もうとすると、制服の裾が引っ張られている。


振り返ると、梨央が裾を持っている。


「あの、その、連絡先、交換・・・しときませんか?」


真っ赤な顔でスマホを出してきた。


「あ!あぁ、そ、そうだな。そっちの方が、連絡しやすいしな。ハハハ」


無言で連絡先を交換する。

なんとなく自分の指先が震えている気がする。


(俺、カッコわる…)


なんとか連絡先を交換すると、「また」といって別れた。


家に着いてスマホのアプリをみると、“大久保梨央”の連絡先が追加されている。

少しニヤつきながら、ベッドで横になると、パソコンが急に立ち上がった。


「・・・え?」

パソコンに何やら文字が表示されている。


「嘘だろ・・・俺テスト頑張ったばっかりだそ」


恐る恐る起き上がってパソコンに近寄ると、「体育祭で活躍せよ」と表示されている。


「次は体育祭かよ」


カタカタと音がして、「世界の未来がお前にかかっている」と表示された。


「未来の俺、めっちゃ脅してくるよな。俺がイベント系で活躍できるわけ・・・」

プシューっと音がして、パソコンの電源が切れた。


「次は体育祭か・・・」

奏汰は、ため息をついて、再びベッドに横になった

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