1話 水晶のお告げ
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人類種、妖精種、竜血種、天上種が、『人間』として共に暮らす魔法惑星があった。その名をアタラクシアという。
アタラクシアのほとんどの場所には、各地にそびえる『世界樹』の枝葉が放つ星なる魔法エネルギー『マナ』が充満している。得手不得手の差はあれど、ほぼすべての人々がマナを通じて魔法を行使することができた。
だが。何事にも例外というものが存在するらしい。
神様の気まぐれか、悪戯か。アタラクシア世界のほんの一部地域には、そこだけ切り抜かれたかのようにマナが届かなかった。
世界で唯一マナの恩恵を受けられぬ、その島国の名はエテルノ王国という。
世界地図の最西端に在ることから、『最果ての場所』とも呼ばれる先進国家だ。
エテルノ王国でも魔法は使える。ただしごく一部の人間のみだ。
地域ごとにエテルノ王国内各地にある神殿に祀られる『母なる水晶』からは、天なる魔法エネルギー『エーテル』が放出されている。
母なる水晶一つに付き、一人の『聖女』と呼ばれる女性――希に男性のケースもある――が存在する。
聖女と、聖女と神殿を守る神殿騎士たちのみが、エーテルの世界では魔法を行使することができた。
現在聖女を務める女性は国内に十数名。修行中の身である次期聖女を含むともう少し増える。
『ポラリス・クライノート嬢を、シレンシオの次期聖女に選定する。繰り返す――』
今、エテルノ王国王都シレンシオにて、新たなる次期聖女が選定された。
選定を行うのは人ではない。母なる水晶の『お声』がその神殿の管轄地域にいる人々にの頭の中に語りかける形で行われる。
あらかじめ容姿や出生場所等いくつかの条件を満たした者は、行政の聖女候補一覧にリストアップされている。
だがそれ以上の選定基準は謎めいたままだ。母なる水晶に賄賂も口利きも通用しないので、不正はないのは確かだけれど。
少女ポラリスが選定されたことに、彼女を知る人がそれぞれの反応を示した。
古くからの親友は、スマートフォンからしつこいくらい心配のメッセージをポラリスに送り。
学び舎でのクラスメイトでもある現在の友人たちは、揃って驚愕の悲鳴を小さく上げた。
娘であるポラリスを虐げてきた両親は、娘が不自由を強いられる聖女となったことにあろうことかほくそ笑み。
ライバル視していたとある少女は、内心で強く舌打ちをした。
ポラリスを選定した母なる水晶が祀られる、クレアシオン神殿にもポラリスを知る者はいた。
ある者は驚いた。精一杯ポラリスの力になろうと決めた。
ある者は不安になった。何とかポラリスを支えたいと願った。
そしてある者は、ポラリスを□□□あまりに、彼女を守る守護騎士に志願した――。




