ぶろーち
「こちらのブローチは私が婚約の際にプレゼントしたものでな。国一番の職人に頼んだものじゃ」
「しかし先日、あやまって壊してしまい、その修理を職人に依頼したのですが、欠損がある場合は優れた『作り手』でなければならないと言われました」
そんな所に私が現れたわけだ。
「この国はもちろん世界各国に『作り手』を探すよう頼んでいたのですが、どこも見つからず・・・・そんな折に神託がくだったのです。『白い衣まとう作り手が現れ世界をめぐるだろう』と」
たしかに今の私はコックコート。つまり白い服だし、この国の人たちとも明らかに違う見た目だろう。身長とか。
「・・・・・そのブローチ、よく見せてもらえますか?」
「ええ、もちろん」
ブローチが乗った黒い板ごと受け取ると頭の中でどのパーツをどこに置くのか、足りないのはどの部分かを推測していく。
落とすなりして割れるなら、やはりお菓子で出来てるはずだ。それならば、パティシエとして、私が力になれるはず。
「失礼します」
そう言って割れた小さな鎖のかけらをひとつ、口に入れる。やはり甘い。がカリっとした歯ごたえとビターな後味。なによりカカオの芳醇な香りが口に広がった。
宝石はキャンディ。周りの装飾はチョコレートのようだ。チョコレートは油分やなかに含む空気を調整することでキラキラと輝くから、それを利用したんじゃないだろうか。
「材料はありますか?それと出来るだけ以前の形が分かるスケッチなどがあればいただきたいのですが」
「それは、つまり・・・・」
「はい、微力ですがお力になれるかと思います」




