うろこ
クッキードラゴンのうろこを手に入れて、ついでに牙と尻尾まで手に入った。
うろこはまだ温かさがあり、つい少し前までドラゴンにはえていたのだと実感する。だが、同時にふわりと香るバターとバニラの香り。それがまるで焼きたてのクッキーのぬくもりのようにも思えてしまう。
うろこは何枚か取れている。王様に渡すのは1枚でいい・・・・というか、切り落とした尻尾についてるのでも平気な気がする。
空腹も相まって、うろこに思わずかじりついた。その瞬間、サクリと良い音がして口のなかに幸福が広がった。
そう思えるほどの豊かな香りと甘みとコク。時折顔を出す塩味はクッキーを無限に食べられるかのような絶妙の塩加減。
小麦粉と牛乳、バターにたまご。素朴ながらも味が豊かなのは材料の質がとんでもなく良いからだろうか。
ドラゴンのどこにこれらの味を生む材料があるのかは全く分からないが、今は一心にこのクッキーを食べてしまいたい。疑問は些事と投げ捨てて、夢中になるだけの味わいがこのクッキーにつまっていた。
人の顔くらいの大きさもあったクッキーはすぐに食べ終えてしまった。むしろ2つめにで出さずに我慢したことをほめてほしい。
これがこの世界の常識なのだろうか。木には様々な木のみがなり、チョコレートの花が咲き、ポテトチップの木の葉が舞う。そしてクッキーのうろこを持つドラゴンが生きている。
この世界はなんなのだろうか?ハーヴェストになって世界を周ればより美味しいお菓子にも世界の謎にも出会えるのだろうか?
そんな予感を胸にその場で大の字に寝転がった。




