かーどのせん
またオレンジの部屋で目覚めて、カードを見てみる。光はすでに収まっているし音も聴こえない。
白地にケーキにナイフを入れたような幾何学模様。見た目は何も変わっていない。
でもなんとなく、使い方がわかった。夢に見たというべきか。
夢の中ではカードが言葉を使って語りかけてきた。とはいえ話した、というのも違う。心に響いた、という表現が近いかもしれない。
カードは手になじんだ。使い方も理解した。今日はこれを使って何かを作ることにしてみる。
その旨を騎士さんに話すと、お城のキッチンを使えるように手配してくれた。騎士さんとキッチンのコックさんにお礼を言い、作業をはじめる。
作るのはプリンだ。
たまごと牛乳、砂糖。あくまでも基本的な作り方をなぞるように作業を進めてみる。
まずはカラメル作り。砂糖を鍋に入れて加熱。焦げてきたら火から離して色を見ながら調整する。水を加えて容器にうつす。
たまごと牛乳は大きめのボウルに入れて、かき混ぜる。が、ホイッパーが小さなものしかない。だから、カードに願うのだ。
カードの精霊さん、力をかしておくれ。今私がほしいのは、大きなホイッパー。カードの精霊さん、名前をつけよう。『千の顔をもつもの』だから、センはどうだい?
心の中で語りかける。
するとカードからホイッパーが現れる。しっかりと手に握り込めて、しっかりと混ぜられる。普段から使い慣れた形に。
卵液は茶こしで濾しながらカラメルを入れた容器に流し込んみ、丸ごと蒸し焼きにする。ここでも茶こしになったりレードルになったりとカードのセンはよく働いてくれた。
そうして魔法の力を使いながらプリンが完成した。あとは冷やして、食べたい時にお皿に出せばOKである。
そのプリンは甘く、香り高く、濃厚な味わいがした。




