うけわたし
リーズクレープ。フランス語で、米粉のクレープ。名前がおしゃれなので、こちらを採用する。
すると、それを見ていた親子がやってきた。
「あの、うちのこ卵と牛乳がアレルギーなんです。それでも食べられますか?」
「卵と牛乳ですね。牛乳を豆乳におきかえて、他のものも卵と牛乳不使用でよければ作れます。作るところも見ていってください」
「あぁ、ありがとうございます」
そうして作るのは米粉に砂糖と豆乳を混ぜる。生地にも卵や牛乳は使えないし、用意してあるクリームにはどちらかが入っているので使えない。
なので、トッピングに趣向をこらす方向にする。
小さめの生地を3つ焼くと、リンゴニンジンやオレンジマンゴー、バナナイチゴをそれぞれ乗せる。生の風味とジャムを両方味わえるように火加減を見極める。
そうして出来たのが、3種のミニ包みクレープだ。薄く中身の色が見えるのが良い出来栄えだ。
「どうぞ。見ていた通り、卵も牛乳も入れず、触れてもいません。安心してお召し上がりください」
「ありがとうございます。ありがとうございます!」
「もちろん、ほかの方も召し上がれます。ご希望あれば申してください」
そうして何度かアレルギーの注文は入ったが、なんとか安全なものを提供し、数えてはいないが目標の人数には達したと思うころ。
「おーい、そこの材料がはけたらもう一度店に来な。カード、くれてやる」
「っ!!! ありがとうございます!」
「おう」
そうして材料は使い切り、後片付けをしてから、魔法のお店へ向かった。
「きたな。コイツもお前さんのところに行きたがってる。大事に使ってくれ。『千の顔をもつもの』だ」
「千の顔をもつもの・・・・」
差し出されたカードには白地に幾何学模様。ケーキをカットしたような。きれいな直線が引かれている。
そしてカードの説明を受けた。
・名前は千の顔をもつもの。カードにも意思がある。
・持ち主の心を読み、カードの判断によって、その時に必要なものに姿を変える。
・このカードは私専用となったので、誰かに貸し出すことはできないし、使うことはできない。
などなど。
心強い相棒が出来た気分である。




