かーど
白地に幾何学模様の入ったカードだった。
他にもたくさんの物がある中で、そのカードに視線が吸い寄せられて、気がつけば手に取っていた。
「そちらは・・・・カード、でしょうか?」
「そう、ですね。なんだか気になってしまって。なんのカードなんでしょうか?」
「お店の人に聞いてみましょう」
そうして奥へと進む。そこにはナイフもあれば宝石もあった。なのに、このカードのように目も手もひかれない。
「すみません、こちらのカードについて聞きたいのですが」
「あぁ・・・・?カードぉ?」
そこにはヒゲをたっぷりとたくわえた小人がいた。となく童話のドワーフ、という感じがした。
「お前さん、そのカード欲しいのかね?」
「分かりません、なんだか目も手も吸い寄せられてしまって。これはどんなカードなんでしょうか?」
「魔法のカードさ。選ばれた者だけがてにすることができる。そういう意味ではお前さん、カードに選ばれちまったな」
「魔法のカード・・・・もしかしておとぎ話の?」
「そうさ。これは『千の顔をもつもの』。誰にも使えず、誰にも知られずこの店にあったもんだが・・・・それ、欲しいかい?」
「作り手さま、僭越ながら。そちらを使うことが出来るのは選ばれたものだけ、と言われるとても珍しいものです。もし他に候補がなければ、そちらをおすすめします」
「なんと、作り手さまなのかい?なら丁度いい。この市場にあるもので菓子をこしらえてもらえるかい。種類はなんでもいいが、50人分で頼むよ」
「ごじゅ・・・・!?」
「それらの菓子は誰が食べてくれるんでしょうか?」
「ほう、それを気にするかね?」
「食べてもらってこその菓子です。ただ捨てるだけ。ただ見るだけの菓子は作りません」
「心配しなくても街を歩くやつらも、腹を空かした子どもたちもいる。ちゃんと食べられるだろうよ。むしろ、全部食べさせることがそのカードを渡す条件さ」
「承りました」




