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Rp5、果てなき世界

 この次元フォレスには空間領域を示す線がある。それを越えてしまうと敵艦と見なされ攻撃対象とされるのだ。何故かというと・・・


「残骸と共に遺伝粒子がオレ達の船にくっついた・・・」

「へっ、とうとうやっちまったぁ~・・・お宝だらけだぜ?」

「カミュラ、お前ン所はどうなんだ?」

≪アタシの所は金の母体を持った遺伝粒子が張り付いた、ブブー・・・チイイ――≫


 カミュラとエリュトスという若者達が、宇宙の遺伝粒子を貪るように船に貼り付けているのは、惑星リュビスの研究ラボへと売り付ける為だった。

 それは高値で売れるので、更なる母艦へと作り上げられそうだからだ。若しくは研究素材として改良する事もでき、生存権を強く与えられるという、特別報酬が狙いである。

――――

≪ところでよ、船が重くもなく、こうくっ付いてくれると、≫

「分かってる。いざという事態に遭遇しないか心配だ・・・だろう?」

≪あぁ、牽制用のレーザーも照射できずに、迎撃される≫

「アンノウンのミサイルを発射すれば粉塵となるから、迎撃は避けられるよ?」

≪伝記の海賊じゃァ、ないんだ。時代遅れさ≫

「アテにしてるよ、エリュトス・・・逃げろよ!」


―キュォオアあああ――・・・―ン―


≪来やがった・・・オレ達を食いに来た・・・≫


 稀に生物そのものが次元から産まれる事が在る。それが次第に大きくなると無重力に従い、超高速で迫ってくる場合があるのだ。ソレは食事をしようとするので、編制を計画していなければ即、食べられてしまう。例え耐弾性のある硬質素材だとしても、一気に柔らかくなる。痛みも感じられぬように・・・


「船内推進力を70%上げろ!」

「了解ィ――ッ」

「それと、ミサイルと同時に遺伝子をこびり付かせるぞッ!」


 ソレはカミュラとエリュトス達の船を食べに来た。翼の無い虫の様に大きな口を開けてやって来た。するとその態度をけん制し、船からミサイルを発射し、宙域内に在る遺伝子をこびり付かせた。そしてその生物はミサイルごと食す。満足そうに、美味しそうに。


「誘爆しろ!」


“ドオオオッン”


 ミサイルに仕込まれた生命型起爆剤にその生物の唇が当たったと同時に、ミサイルごと爆破される。しかし生物はそこから再生能力を速めて、その体を縮めだした。するとクルー達はフォトンレーザーを照射する。


「フォトンカノン、発射ぁ!」


 それはビーム光線の様に筒抜ける音を出した。生物はそれを吸収すると、喉元から焼き解けてしまった。冷たい宙域が、それを凍らせ砕いてしまう。生物は船を前に沈黙し、そのまま生命の残骸として網に掛けられた。


「よし、美味い宝が持ち帰られるぞッ、カミュラぁ―ッ!!」

≪ブブー、チチィ・・・やられたよ、痛い収穫だ・・・ピリリイイーィ≫

「お前、被弾したのか?」

≪そう。でも少しなら・・・あ!≫


“ドゴオオ―――ォ”


「おい、エリュトス・・・カミュラ・・・」

「大丈夫だ。ヤツの遺伝子は研究ラボに預けてある。直ぐに蘇るだろう・・・だが、お宝が、まさか死骸だとはなぁ~」

――――

 惑星リュビスは宇宙領域から外れた線の宙域に存在する。見事、宝を得たエリュトス達クルーは遺伝子と別生命である残骸を研究ラボへと送ったのである。


――惑星プローメル――

 ミヘル達は異変の跡を見渡した。ガスを噴き出す箇所、水滴を放つ箇所、溶岩を流す箇所とそれぞれ、異変なる現象が起きていた。たった一つの試験管が次元を歪ませると惑星を囲う様に変容を開始する。


「見ろ、次元が揺らぎだしたぞ・・・」

「たった1ミリの“穴”なのに、なんてエネルギーなの?」

(ライズ・・・)


 ミヘルが新米研究者という理由で、一番危険な試験管を持たされた。そこには保証すらなく、大変重要な任務として予め彼女の遺伝子は研究ラボへ送られていた。これも神の悪戯かと見紛う程、メンバー達は意志を固めていたのだ。


「いつ・・・俺達が無くなるか・・・お前達、死ぬなよ・・・」

「隊長、“エイリアン”が出たら、我々も遺伝するのだろうか?」

「わからん・・・もしかするとその穴に引き摺られるだろうがな!」

「あのぅ、ブラックホールというものじゃないです?」

「そうかもな!」


 いつ頃になっても果てなき宇宙で様々なる現象が起きている。そこから最古の遺伝子、畏怖なる形状が起きるやも知れぬと彼等、人類は感じ取っていた。それほど文明が発展・発達していたにも関わらず、未知なる宇宙に好意を抱きつつも脅威を抱いていた。


――艦隊パルマコア――

「っち、攻撃が済んだのに・・・この残骸は・・・」

「ダーレス艦隊が硬直している間に、別次元からの干渉があった・・・」

「艦長・・・これでは・・・もう、救難信号も出せず、」

「残った遺伝子だけを持ち帰る。そして惑星プローメルの研究ラボ、開発計画に貢献するとしよう」

「・・・俺達では、どうしようもなかったのか・・・」


ミヘル・ブレトーナ・・・


君は誰だった・・・?


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