Rp11、機械
「新たなる航行へ向かうとしよう」
機械生命科学者ディヴィ・エイションが、宇宙惑星パルマ―ジュの研究ラボへ派遣された。彼女はかつて波戸衛満の畏怖なる意志と魂、記憶を引継ぐ者として再生された人物である。
「人工生命論、機械生命論はお互いが反発し合うものでなく、鍵となる形を取る」
「人工生命学はどちらかといえば医学であり、組み込み手術を与える」
「一方、機械生命学は元の体へ埋め込み手術を与える」
そこには魂を依り代とするという、形式は存在しない。何故ならライト・オブ・ホールやダーク・オブ・ホールから他の次元を伝って、様々な形を取る方向で遺伝子が流出しているからだ。
だから物質的に、科学的に、より変化を与えるさまを見せるように戦闘だけで終わらすには勿体ない、存在となるのだ。
「だが、記憶の存在をどこの部品とするか、パスワードのようにはいかないな」
「とても繊細な技法を要される。だから我々は、暗黒星雲の彼方まで探索するのだろう」
前回は畏怖なる形状に保たれていた僅か17年の生涯を終えた存在が居た。
<<<臣子道彦という意志を持つ、魂が在った>>>
<<<次代の世界線へ“モノゴトリー”を灯すというのだ>>>
<<<その意志がインシュビ―と成迄に、だ>>>
<<<我が闇との融合を拒否した>>>
<<<魂と意志を分離させ、一つを素の遺伝気流としよう>>>
――――
ソレは人の形を取っていたが、ダーク・オブ・ホールをライト・オブ・ホールへ融合しようとした科学者の卵と呼ぶべき存在、闇の存在とも呼ばれた邪教徒と、呼ばれる“モノ”だった。唯々、如何なる空域をも脱する事の出来る艦隊を作る方法ばかりを考え、そこに機械生命科学者ディヴィ・エイションが率いる、研究者達の人工機械学を備えた機器を携えた。艦隊はパルマ―ジュから与えられた物で、大きさよりも質量を重きとした形状へ製造・開発とした。
「ここが暗黒星雲という場所か・・・」
「1,598日掛かった」
「随分と近いようで遠い場所に―――」
「ああ。惑星が存在している事か・・・」
闇の魔王教団である“魔導士バダン”と交信を求める。
「お前達が存在、バダンという惑星で生命なのか?」
<<<我が闇の魔王集団へようこそ、人類よ>>>
「くっ、脳に音が響く・・・いや、声か・・・」
<<<我が宇宙領域には音波・声流が伴うぞ>>>
「・・・構わん。インシュビ―という生物をここから探知した」
「お前達がその根源だと我ら人類は索敵したのだ!」
<<<つまらん。その先を見よ。間もなく融合が果たされる>>>
「――何だとッ?」
――惑星パルマ―ジュ・第二研究ラボ
一方で、戦闘区域と惑星プローメルから採取した遺伝子細胞とされる、漂流型遺伝子、通称“パルマ”は艦隊やミヘル一行から研究班に託された、原始体アスラゲージと流素体インシュビ―の分離を試みるため、これまで研究と実験のサンプルとされた残りの遺伝子を使い、異なる遺伝生命体との交信を測るため、機械生命体を発動する。
「誕生した・・・」
「これが、機械生命体“ディヴィ2世”か・・・」
「これを基に原始体と流素体を分離する事さえ出来れば、このディヴィ2世が宇宙の支配者となるだろう・・・」
「だが、素のディヴィが我等、人類に脅威を与えたなら?」
「破棄するしかない」
――暗黒星雲――
その威力は宇宙をも切り裂くエネルギーを表した。
通信機を介して、闇の魔王集団なるエネルギー体を消滅させ、その先にある星を目指すためには、更なる次元を超える必要があった。
ミヘルから託されたインシュビ―の細胞液をディヴィは丁重に扱い、機械生命体の素体とする事にした。そうしなければ、この前線なる小型戦艦でさえ、推進エネルギーが枯渇し、その巨体なる数十体を支えることすら出来ないのだ。
つまり、機械体で全高5メートルのインシュビ―が10体となると、その質量は次元を歪ませる危険があるとして、研究者とクルー達は、なるべく暗黒星雲にはこびる魔王集団の遺伝子に触れないように、注意を要した。
<<<ソレもインシュビ―、これもインシュビ―>>>
<<<一体、どれが我等に相応しいのか?>>>
<<<この光と闇の隙間を貫く、虹に答えを求めてみては?>>>
<<<一つで、最古のフォダネスに懐妊を赦す>>>
「ディヴィ、奴らは混乱している様子」
「今こそ暗黒星雲を突き抜けるチャンスだ!」
「だが、そこの遺伝子を採取しない限りは・・・」
「既にサンプルは採取した。暗黒星雲を抜けた先に、新たなる宇宙を見付けている」
「では、そこへと向かうか・・・科学の発展の為に!」
――――
彼女等クルーは、ようやく新たな星を発見した。
その周囲を取り囲う宇宙には別の次元が現れている事も理解した。
その記憶の奥底に眠る遺伝粒子を求めて、ひたすらに時が満ちる事を願って―――。




