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8 収穫祭②

収穫祭2日目も、奉納の儀から始まった。


する事は同じだけど、神殿への飛行ルートが変わる。だから、昨日とは違う景色を見ながらの飛行になって楽しかった。西領には大きな湖もあった。竜王国には無いそうだけど、海のある国もあるそうで、またいつか行ってみたいなと思っている。





「茉白、今日もお疲れ様。これからの予定は?」

『今日は、午前中は他の守護竜さん達と離宮でランチをして、午後からは私もお祭りに参加するの』

「そう。街は人が多いから迷子になったりしないようにね」

『大丈夫!な筈!』


私もいい大人だし、例え迷子になったとしても、私には優秀なGPS機能付きのストーカーが居るから大丈夫。

因みに、お母さんは豊穣祭の前日から最終日の翌日迄、神殿に寝泊まりをして、聖女としての務めを果たしている最中だ。お互い、豊穣祭を終えてから打ち上げをしようと約束している。


『それじゃあ、離宮に帰るね。お母さんも、お務め頑張ってね』

「茉白もね」


そう言って、私は神殿を後にした。





******


「マシロ、随分飛行が上手になったわね!もう可愛いったらないわ!」

『ふぎゅう────っ』


離宮に戻ると、既に3人の守護竜が来ていて、南の守護竜ローゼさんに、子竜姿のまま抱きしめられた。


「ローゼ、マシロが潰れるぞ?」

「あら、ごめんなさいね」

『大丈夫です………』


笑いながらも諫めてくれたのは、竜王であり北の守護竜のバージルさん。


「そう言う時は、遠慮無く攻撃しても良いんですよ?ローゼは強いからね」


と、にっこり微笑んでいるのは東の守護竜のニーロンさん。キースをはじめ4人の側衛は側衛達だけのランチの為に、食堂に行っている。私達守護竜は庭園でランチをする。


「昼食の準備ができました。こちらにどうぞ」


と、イネスの案内で庭園に移動した。






「今年の豊穣祭は、かなりの賑わいだな」

「そりゃそうよ。100年ぶりの守護竜の居る祭りだもの。マシロも午後から降りるんでしょう?混乱を避ける為にも、色を変えて行った方が良いわよ」

「はい、その予定です。黒色は目立つから、今回は色を変えて身分を隠して降ります」


黒色は珍しいから、何処に居ても誰が見ても西の守護竜(わたし)だと分かってしまって、混乱が起きるかもしれない──と言う事で、今年の豊穣祭にはお忍びで行く事にしている。


「うん。それが良いだろう。それと、こんな楽しい時に報告するのも何だが、大事な事だし、マシロも守護竜だから知っておくべき事だから言っておく」


と、バージルさんから知らされたのは、何人かの獣人と人間の女性が行方不明になっていると言う事だった。


「どうも、人間の女性の中には珍しい色が居るようでな。ひょっとしたら、オークションが絡んでいるかもしれない─と言う報告があったんだ」


2年前、大元を潰したから、あれ以降大きなオークションは開かれていない。でも、奴隷制度が残る国がある限り、人身売買を根絶やしにする事ができないと言うのが実情だ。


「マシロにはキースや近衛も居るから大丈夫だろうが、これだけの人が集まっている西領では何か起こっても気付かれにくいだろうから、本来の色での行動は止めておいた方が良い」


普段は少ない人間も、豊穣祭に参加する為に沢山の人間が西領にやって来ている。そのどさくさに紛れて悪い事をしようと企む者が居たとしても不思議じゃない。


「それなら、一応、見回りの時間を増やすように指示しておきます」

「それが良い」


人身売買なんて、絶対に許せない。人を人として扱う事をしない。


「でも、マシロにとっては初めての豊穣祭だから、今年は普通に楽しんで来ると良い。土地や領民について、色々知る良い機会だ。マシロはあまり気にせず、キースや私達に任せなさい」

「ニーロンさん……はい、ありがとうございます」


新人子竜な私が出しゃばったところで、余計に迷惑を掛ける可能性もある。ならば、今日はベテラン守護竜達の言う事を素直に聞いて、祭りを楽しみながら、自分の領民や土地を見て回る方が良い。


「それと、リシャールはどうだ?」

「リシャールはよくやってくれてます。本当に、あの2人の子なのか?と思うぐらいに。問題があるとすれば、一部の人達のリシャールに対する態度ですね。その辺りも、豊穣祭が落ち着いたら考えてみようと思ってます」


ー本当に、リシャールは良い子なんだよねー


一生懸命領地の事を考えて、領民に耳を傾けて、不平不満は一切口にしない。だから、リシャールには幸せになって欲しいと思っている。

『お姉さん』と呼んで欲しいなんて………思ったりもしているけど、きっと断られるだろうから口にはしない。


「兎に角、午後からは気を付けて楽しんで来い」

「はい、ありがとうございます」




そうしてランチを終えると、私はキースとカイルスさんとアルマンさんとマイラさんの5人で街に降りた。





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