表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のんびり国境警備隊 ~異世界で辺境にとばされたけど、左遷先はハーレム小隊の隊長でした。日本へも帰れるようになった!  作者: 長野文三郎
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/88

花火の鑑定


 花火を買った俺とアインは、その足でイコンモールへ向かった。

 こんどは浴衣を買うためである。

 柄選びは一任されているので、俺の趣味でそれぞれの隊員に似合いそうなものを選んでいく。

 メーリアには白地に藍の乱菊。

 ディカッサには紺地に白の椿。

 リンリは白地に紺の曼殊沙華と金魚。

 アインは百合。

 オートレイはクレマチス。

 ファーミンの浴衣には大輪の牡丹が描かれている。

 全体的に浴衣はシックになったので帯は比較的明るい色を選んだ。


「これを着て花火なのですね」


 自分が買ってもらった百合柄の浴衣を胸に抱いてアインは嬉しそうだった。

 着付けは浴衣についていたQRコードから動画をダウンロードした。

 多少崩れていてもかまいはしない。

 異世界だから、それでオッケーだ。



 大量の花火を買って砦に戻るとファーミンに叱られてしまった。

 車の荷台に山と積まれた花火を見て、ファーミンはため息をついている。


「こら、この大量の花火を誰が鑑定すると思っているんだ?」

「す、すまん。レビン村の人にも楽しんでもらおうと思って、つい買い込んでしまったんだよ」


 うっかりしていたな。

 危険なチートがついているかもしれないから、花火は鑑定なしに人に渡せない。

 大量に買い込んだので、花火は何百本あるかもわからないぞ。

 ファーミンの苦労を考えれば怒るのも当然である。


「イツキが優しいのは知っているが、私にもその優しさのいくらかは向けてほしいものだな」

「本当にごめん。必ず埋め合わせはするよ」

「本当か?」


 鋭い眼光で射すくめられ、俺は身動き一つとれない。

 さすがは退魔庁が誇るエリート退魔師である。

 本来ならこんな辺境に配属される人材ではない。

 いまは長期休養ということで許可されているようだけど……。


 不意にファーミンが視線を逸らした。


「まったく、仕方がないな。数日かかると思うが手の空いたときにやっておくから……」

「無理しなくていいんだ。なんだったら花火は廃棄してしまっても……」


 忌々し気な顔をしながらファーミンは自分の手で俺の口を押えた。


「もう気にするな。これも惚れた弱みだ」


 不貞腐れたように言ってファーミンは視線を花火に落とす。


「三日くらいはかかるかな……」

「ごめん」

「今夜だ……」

「え?」

「今夜はイツキにサービスしてもらうからな」


 そんなことを小声でつぶやきながらファーミンはもう鑑定をはじめている。

 サービスってどんな?

 だが、それを聞くほど俺は野暮じゃない。

 まずは見回りのついでに花を摘んでくるか。

 それを飾って、ファーミンの好きな酒と肴を用意しよう。

 話題もいくつか考えておかないと。

 マッサージもいいかな。

 たぶん、最後はアレを望んでくると思う。

 ファーミンの好みの愛撫はもう知っているので、あとはそれを実践するだけだ。

 以上のことを三秒で考えて俺は返事をした。


「もちろんさ」


 ファーミンはチラッと俺を見てからまた鑑定に戻っていったが、その顔は真っ赤だった。

 きっと俺がファーミンの要求するすべてを見通したのを理解していたのだと思う。



 砦の隊員たちが寝静まったころ、パジャマ姿のファーミンが俺の寝室を訪ねてきた。

 彼女をもてなす準備はすでに整っている。

 部屋の中はランタンのメロウな明かりが灯り、昼間に積んできた花が飾られている。

 雑に活けた千草だったけど、こんな辺境の砦ではそれがかえって野趣にあふれた感じがしてよかった。


「少し飲むだろう?」


 とっておきのウイスキーとつまみもばっちりだ。

 ファーミンは返事もせず俺にキスした。


「昼間はあんな態度をとってすまなかった……。けっきょく私は口実が欲しかっただけなのだ」

「俺こそ悪かった。ファーミンに苦労ばかりかけて」

「気にするな。悔しいが、私はダメな男に弱い」


 ダメな男か……。

 まったくもって、その通りだ。

 俺たちはもう一度長いキスをしてからソファーに並んで腰かけた。


「手に提げている袋はなに?」

「少し説明しようと思って花火の一部を持ってきたのだ。例のごとく、とんでもないのがまじっていたぞ」

「あ、やっぱり?」


 ウイスキーの瓶を脇にどけて、ファーミンは三つの花火を並べた。

 二十二連発の打ち上げ花火、火竜と呼ばれる噴出花火、爆竹の三種類である。

 日本ならどれも普通に買える花火ばかりだ。


「イツキは三尺玉というのを知っているか?」

「もちろんだ。三尺玉は花火大会の華だからな」


 三尺というくらいだから直径は90センチメートルくらいの花火だろう。

 打ち上げれば直径650メートルもの大輪の花が夜空に咲く。

 たしか値段が高騰しており、今では一つ二百万円くらいするらしい。


「三尺玉がどうしたんだ? ここにはそんな大きな花火はないけど」

「これを使うと、その三尺玉規模の花火が打ちあがるそうだ」


 ファーミンが手に取ったのは細い二十二連発の花火である。


「それが……か……?」

「うむ。三尺玉規模の花火が二十二発打ちあがるそうだ」


 なんとも豪儀なチートがついたものである。

 これを打ち上げればみんなもきっと喜ぶだろう。

 レビン村の近くにポッシュ湖があり、湖の中に小さな島がある。

 そこで打ち上げればいいだろう。


「次にこれだが……」


 ファーミンが手に取ったのは小さな直方体の箱である。

 火竜は日本でもっともメジャーな噴出花火だ。

 小さくて場所をとらないのが特徴で、手持ち花火よりも火花が高く上がるので人気がある。

 これはどういったチートを得たのだろう?


「体長20メートルの光の竜が現れるそうだ。それがすぐ上空を一分間遊泳するそうだ」


 迫力では三尺玉にはかなわないかもしれないが、それだってなかなかの見ものである。

 残るは爆竹だが、これにはどんな効果がついた?

 爆竹の箱を持ち上げようとして、俺は驚きの声を上げた。


「重っ!」


 紙と火薬でできたはずの爆竹がずいぶんと重たくなっていた。

 よく見ると万年筆くらいの太い金属の筒が付随している。

 こんなものあったっけ?


「これは……?」

「超小型グレネード:バクチク二式というらしい」


 なんだかとても危険そうな名称なんですけど!


「グレネードなるものが私にはよくわからんのだが、爆竹の導火線に点火した後、付属の筒にそれを入れて飛ばすそうだ。飛距離は最大40メートル。殺傷範囲は15メートルに及ぶとあるぞ」


 花火大会で使ったらダメなやつじゃないか。


「とりあえずこれは金庫にしまうよ」


 すぐに隊長室に向かい、隠し金庫にバクチク二式を保管した。


「ファーミンがいてくれて助かったよ。知らずに使っていたら大惨事だったな」

「感謝しているか?」

「当たり前だろう」


 ファーミンはグラスに継がれたウイスキーを一息で飲み干した。


「だったら態度で示してほしいものだ。魔力を大量に消費すると体が火照ってしまうから……」


 今夜のファーミンはやけにガツガツしているけど、そんな日もあるのだろう。

 それに、魔力と性欲の関係というのも嘘ではなさそうだ。

 俺の膝に跨るとファーミンはもどかしそうにパジャマの上を脱いだ。

 下着はつけておらず、大きな胸が俺の眼前であらわになる。

 求められるままファーミンの体についた古傷にそって舌を這わせると、彼女はたまらず喜悦の声を漏らした。


このお話がおもしろかったら、ブックマークや★での応援をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ