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のんびり国境警備隊 ~異世界で辺境にとばされたけど、左遷先はハーレム小隊の隊長でした。日本へも帰れるようになった!  作者: 長野文三郎
第二部

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おれ、トラ

 おれ、ねこ。

 なまえ、トラ。

 にいちゃのともだち。

 にいちゃとこっちきてから、おれ、ことば、わかる。

 にいちゃ、だいすき。

 かあちゃ、とおちゃ、だいすき。

 メェ、いつも、ちーる、ふたつくれる。

 だいすき。

 たいいん、やさしい。

 だいすき。

 ふぁーみん、つよい。

 だいすき。

 おれ、きょう、いせきであそぶ。



 いせき、きた。

 いせき、くらい。

 でも、おれ、ねこ。

 くらいとこでも、よくみえる。


「ギギギギギッ!」


 でっかいバッタいた。

 にいちゃより、でかい。

 おれもでっかくなる。


 …………


 バッタ、つかまえた。

 おれ、つよい。

 バッタより、ずっと。

 ?

 トラ、まえよりつよい?

 むし、つかまえるとつよくなる……。

 もっとやる!


「ブフー、ブフー」


 つよそうな、ぶた、きた。

 でも、おれ、まけない。


 …………


 おれ、また、かった。

 また、つよくなった。

 ここでかりする、おれ、どんどんつよくなる!

 

 ぶたのにく、うまい。

 これ、にいちゃたちにおみやげ。

 メェ、ごほうび、ちーる、にほん、くれるかな?

 ここ、たのしい。

 えもの、いっぱい。


 あれ、なんだ?

 うえのほう、あな、ある。

 いってみる。


 ふかい、よこあな。

 ほこり、つもってる。

 だれも、ここ、とおらない?

 このさき、なんだろ?

 おれ、しりたい。


 いきどまり……。

 なんか、かいてある。

 おれ、おりこうさん。

 じ、よめる。

 よんでみる。


 よくぞこの場所を見つけた。

 人間の視覚的錯覚を利用してわかりづらくしておいたが、諸君の注意力に感服だ。

 今回もすばらしいご褒美を用意してあるぞ。

 楽しんでくれたまえ。

                                  天空王



 ちいさな、はこ、ある。

 ごほうび?

 ちーる、いっぱい、かな?

 わくわく……。

 ちがった。

 これ、とおちゃのかけてるのとおなじ。

 めがねだ。

 はこのふた、なんか、かいてある。


 透視眼鏡

 深度調整可能な透視が可能になります。

 対象のポケットの中身や、対戦相手のカードの手の内、隠された扉だって見つけられます。

 もちろんイケナイことにも使えますよ♡

 でも、裸ばかり見ていたら飽きてしまいますからね。

 ご利用は計画的に。


 イラネ。

 ねこ、めがね、できない。

 いせき、あきた。

 ぶたのにく、もって、かえる。


   ***


 掃除をしていると、巨大化したトラがなにかを引きずって地下からやってきた。


「にいちゃ、ただいま」

「おいおい、レッドボアじゃないか。それをどうしたんだ?」


 レッドボアはイノシシに似た魔物で、突きでた長い牙が特徴だ。

 突進力が高く、ベテランの盾役でも真正面から受け止めるのは難しい。

 だが、こいつは食べられる魔物で、肉は非常に美味く、脂身に甘みがある。


「いせき、つかまえた」

「地下遺跡に行っていたのか。一人で行っちゃダメだって言っただろう? あそこは危ないんだぞ」

「おれ、つよい、かしこい。あぶないとこ、いかない」


 たしかにトラは彼我の戦力差を見極める天才だ。

 野生の勘が働いているのだろう。


「これ、にいちゃにおみやげ」


 トラは俺の足元にすりついて甘えている。

 こんなにかわいいのに、2メートルはあるレッドボアを討伐してしまうんだもんなあ……。

 それでも、俺たちのために獲物を引きずってきてくれたと思うと愛しさがこみあげてきた。


「ありがとな、トラ」

「にいちゃ、あご、なでて。みみのうしろも」

「はいはい」


 トラはひとしきり俺に甘えると、今度はメーリアのところへ行ってしまった。

 メーリアはトラをやたらと甘やかすので、トラにとってもお気に入りなのだ。

 おーおー、胸の間に挟まって気持ちよさそうにしているねえ……。


 さて、レッドボアの下処理をしなくてはならないな。

 力仕事になるからリンリに手伝ってもらうか。


 リンリを探しに行こうとした俺を、メーリアに抱かれたトラが呼び止めた。

 

「にいちゃ、めがね、いる?」


 急にどうしたのだろう?


「必要ないなあ。俺、目はいいんだよ」

「やっぱりな。おれ、しってた」

「なんでそんなこと聞くんだ?」


 だけど、気まぐれなトラは返事もせず、メーリアの胸から離れて走り出した。

 ああ、蝶々を見つけて追いかけているのか。

 ああなると俺の言葉なんて聞こえていないだろう。

 楽しそうにしているから、好きにさせてやるか。


「よし、今夜はレッドボアの肉を使ってトンカツを作ろう。せっかくだからビールも飲んでしまおうかな」


 俺はリンリを探しに中庭の方へ向かった。


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