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のんびり国境警備隊 ~異世界で辺境にとばされたけど、左遷先はハーレム小隊の隊長でした。日本へも帰れるようになった!  作者: 長野文三郎
第二部

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サバイバルごっこ


 本日はリンリと日本へやってきた。

 最初はオールインワンの防災バッグを買おうと思ったのだが、そういったセットは異世界では使えないものがたくさん入っている。

 ほら、ラジオなんて買っても仕方がないだろう?

 簡易トイレとかも微妙だよな。

 遺跡は日帰りだし、地上は自然であふれている。

 もよおしたときはオートレイが喜んで穴を掘ってくれるのだ。

 事がすめば土をかぶせるだけでいい。

 防災関連は賞味期限の長い食料関係だけでいいだろう。

 医療やサバイバルのギアは専門店でそろえた方がよさそうだ。

 といったわけで、まずはアウトドアの専門店にやってきたのだが、肉体派のリンリは興味深々で嬉しそうにしている。


「動きやすそうな服がたくさんあります!」

「服も大切だよな。レンブロ王国の軍服は使いにくいからなあ」


 わざわざ軍服を着て遺跡の探索に行く必要はないのだ。

 軍籍は残っているけど、俺は領主なので服装は自由である。

 防具の下は機能性の高い日本の服の方がずっといいだろう。

 それに、部下の服装にだって裁量権がある。

 カトリ領の隊員は季節に合わせた動きやすい服装にしてしまえばいい。


「みんなのサイズをきちんと把握しているわけじゃないから、服は次回にしよう」

「私たちの裸を隊長が測ってくださるんですか?」


 リンリが無邪気に聞いてくる。


「バ、バカを言うな。そういうのは隊員同士でやってくれ」

「え~……、私は隊長に測ってほしいなあ。ついでに当て身を入れてくれたら最高なんだけど……」


 いったいどんな計測をしろというのだ。

 巻き尺で縛ってほしいのか?

 いや、リンリなら本気で喜んでしまいそうだから、この提案はやめておこう。


 俺たちは売り場を回って必要なものをそろえた。

 まずはザック。

 こちらは大きめの70リットルサイズを買った。

 人体工学に基づいて設計されているので非常に背負いやすく、背中も蒸れないように作られている。

 それから、どこでも調理できるようにアウトドア用の調理器具や皿類も買ったぞ。

 きっとアインが喜ぶだろう。

 火力が強く、風が吹いても消えないガスコンロだから活躍が期待される。


 続いて、セパレートタイプの高性能レインウェアー、ヘッドランプ、寝袋、アルミ蒸着の保温シート、アウトドア用グローブ、ザイル(ロープ)、ホイッスル、ポケットティッシュ、ウェットティッシュ、布ガムテープ、給水バッグ、ライター、ナイフ(小)、爪切り、エチケットハサミ、耳かき、毛抜き兼ピンセット、爪ヤスリ、綿棒、ワンタッチ包帯などを人数分購入した。


 それが終わると次は食料品の買い出しだ。

 カンパン・長期保存野菜ジュース、長期保存が可能な防災食などを買っていく。

 肉じゃが、煮込みハンバーグ、筑前煮 、長期保存携帯おにぎりなどを買い物かごに入れた。


「こんなに必要になりますか?」

「そんなことはないだろうが、籠城戦になったときようだな」

「なるほど、魔物の大群が来たら困りますものね」

「といっても、俺たちは異世界転移で日本へ逃げられるんだけどな」


 籠城しても救援はなかなか来ないだろう。

 辺境の砦に援軍を出すほどレンブロ王国軍は人情に厚くない。

 見捨てられるのは目に見えている。

 それに備蓄という意味では、穀物などを大量保存した方が理に適っている。

 まあこれは遊びの一環だ。

 遺跡探索でサバイバルグッズを試したいだけの遊びなのである。

 それに、楽しい特殊効果があればいうことはない。


「よし、これだけ買っておけばいいだろう。そろそろ帰ろう」

「隊長、一つだけお願いがあるのですが……」


 リンリがもじもじしている。


「なにか欲しいものでもあるのか?」

「そうでなくて、帰りのキスなのですが」

「うん?」

「最近、締め技に興味がありまして……」


 リンリは娯楽室の動画で地球の格闘技をいっぱい見ているのだ。


「それがどうした?」

「もちろんいちばん好きなのは腹パンなんですが、締め技をかけてもらいたいなって……。浮気性みたいで恥ずかしいのですが……」

「えっと……、ちょっとなにを言っているのかわからないんだけど?」

「だから、帰りのキスではスリーパーホールドで私の首を絞めつつ、後ろから強引にキスをしていただけると励みになるというか……」


 締め技に興味があるって、技をかけられる方かよ!

 だが、リンリの趣味をとやかく言っても仕方がないか。

 それに、かわいい部下の頼みでもある。

 むげには断れない。


「わかった。その代わり、軽くだぞ」

「ありがとうございます! 本当は失いかけた意識の中でキスをしたいのですが、今日は軽くで我慢します!」


 休日らしく、店舗はお客さんでにぎわっていた。

 よかった、レンブロ語で話していて……。

 もしこれが日本語だったら、俺たちはかなり変な目で見られただろう。


 駐車場の軽トラの中で、俺はリンリの首を絞めながら、後ろから強引に顔を向かせた。


「た、隊長、これしゅごい……。もっと……、もう少しだけ強く……」

「こうか?」

「かはっ! い……い……」


 リンリのアへ顔に俺はじゃっかん引き気味だ。


「それじゃあ、帰ろうか」

「あ……い……♡」


 小さく口をあけて舌をつきだすリンリとキスをした。


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