お祓いグッズの変容
砦に戻ると、俺はすぐにファーミンを広間に呼び寄せた。
「鑑定してもらいたいものがあるんだ。ぜひとも頼む」
「一晩寝て魔力は回復している。なんでもみてやるぞ」
「うん、これなんだが……、あれ?」
段ボール箱から大麻を取り出して驚いた。
なぜなら、日本で確認したときとはまるっきり形状が変わってしまっていたからだ。
たしか、神社の神主さんがお祓いのときに振る紙のついた棒だったはずなのに、箱から出てきたのは緑の葉がたくさんついた木の枝になっていたのである。
もはやただの枝で大麻ではないな……。
それだけじゃない。
真っ白だった清めの塩も金色の塩になっているではないか。
「どうなっているんだ? 異世界転移によって変化してしまったというのか?」
だが、そうであるのならチートに対する期待度はがぜん高まる。
ひょっとしたら、本当に呪いを解く力を持っているのかもしれない。
「これを鑑定するのだな?」
「ああ、頼む」
俺は祈るような気持ちで鑑定を依頼した。
夜ごと苦しむファーミンの姿をこれ以上見たくはなかったのだ。
膨大な魔力を消費してファーミンが鑑定を終えた。
「信じられない……。イツキは私の呪いを解くためにこれを用意してくれたのか?」
「ああ。それがわかるということは、このアイテムには君の呪いを解く効果があるんだな」
「そのようだ……」
俺はその場で飛び上がって喜んでしまった。
「よかった! 本当によかったよ。買ってはみたものの、じっさいに効果があるかはわからなかったんだ」
「うむ……」
「さっそく解呪をはじめよう。使い方は鑑定でわかっているんだろう?」
「それなのだがな……」
緊張をはらんだ表情でファーミンは俺を見つめている。
困っているようにも見えるが、ひょっとして解呪には何らかのリスクが伴うのだろうか?
やがて、ファーミンが静かに提案してきた。
「二人きりで話ができないか? 隊長室へ行こう」
「わかった……」
なにやら重要そうな話だったので、指揮はメーリアに任せて俺たちは隊長室へ移動した。
隊長室に移動したファーミンはソワソワと落ち着かなく、なかなか話を切り出してこなかった。
「どうしたっていうんだ? 解呪ができるのならしてしまおう。それとも、なにか問題があるのか?」
「うむ、少々な……」
「使い方が難しいのか?」
「そんなことはない。『解呪の枝』に魔力を込めながら、私の全身をなでてくればいいだけだ」
肩透かしを食らった気分だった。
その程度のことならわけなくできる。
「それなら問題ないじゃないか。俺がやってもいいし、嫌なら女性の隊員に任せればいい」
「いや、イツキ以外は無理だろう。解呪には多くの魔力が必要になる。おそらく、最後まで魔力がもつのはイツキだけだ」
「だったら俺がやればいいだけじゃないか。ひょっとして術者は危険にさらされるのか?」
たとえそうであっても、ファーミンのためなら俺はかまわない。
「それはないから安心してくれ」
「だったら、ファーミンの方にリスクが伴うとか?」
ファーミンはゆっくりと首を横に振った。
「リスクは伴わない。快感が伴うんだ……」
「はっ?」
いま、なにか変な発言があったような……。
「詳しく説明しよう。まず解呪の儀式は裸で行わなければならない。これは全身を解呪の枝でさする必要があるからだ」
「お、おう……」
つまり、裸になったファーミンの全身を、俺がくまなく撫でなければならないのだな。
「鑑定によれば、それによって呪いは完全に消えるとある。だが、枝で撫でられている間、私はかなりの快感を得てしまうようなのだ……」
「そ、それは困るよな……」
動揺して俺の返事はうわずっていた。
「それだけじゃない」
「まだあるのか?」
「この黄金の塩もだ。儀式の最中に振りかけると呪いを解く効果が格段にアップするのだが、同時に私の感度も上がってしまうとある」
それでファーミンは困っていたのか。
「わかった。大至急ロッカスへ行って適任者の女神官に来てもらおう。ファーミンが紹介状を書いてくれれば話は早いはずだ」
「いや……」
ファーミンは俯きながら俺の手首を握った。
「どうした?」
「イツキが嫌でなければ……、イツキにやってほしい」
「俺が!? しかし……」
「乱れる自分を見られるのは恥ずかしいのだが、他の誰かに見られるよりはよっぽどいい。イツキ、やってくれないか?」
本当に俺でいいのだろうか?
だが、一刻も早く呪いは解いてやりたいという気持ちもある。
もちろん、わずかながらスケベ心もだ。
「わかった。俺がやろう」
俺はファーミンを隊長室に残して隊員たちのところへ行った。
「これからファーミンの解呪を行う。危険な術になるのでしばらく隊長室には近づかないように」
嘘も方便。
これくらいは仕方ないよね。
みんなには畑や見回りの仕事を頼み、俺は隊長室へと引き返した。
「お待た……せ……」
目の前の光景に俺は息を飲んだ。
ファーミンは服を脱いで俺を待っていたのである。
いくつもの傷があるけど、ファーミンは均整の取れたプロポーションをしていた。
思っていた以上に着やせするんだな。
先端を腕で隠しているのだが、そこからこぼれ落ちそうなほど大きな胸である。
「は、はじめようか……」
自分でも間抜けだと思うほど声がかすれてしまう。
ファーミンはかえってそれで緊張がほぐれてしまったようだ。
「よろしく頼む。イツキの手で私を解放してくれ」
「わかった」
俺は気合を入れ直して、解呪の枝を手に取った。
このお話がおもしろかったら、ブックマークや★での応援をよろしくお願いします!




