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のんびり国境警備隊 ~異世界で辺境にとばされたけど、左遷先はハーレム小隊の隊長でした。日本へも帰れるようになった!  作者: 長野文三郎
第一部

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検証開始


 砦に戻った俺たちは、広間でアイテムの確認作業を行った。


「それじゃあ、みんなが買ってきたものを順番に検証していこう。まずはメーリアからだ」


 メーリアが買ってきたのはカーペットだった。

 伝統的なペルシャ絨毯のレプリカで、亜麻色とエンジと紺色を使った花柄模様だ。

 サイズは200×240センチでそれなりの大きさである。


「作成中の娯楽室に敷くのにちょうどよいと考えて買ってきました」

「そうだね、これがあれば暖かくていいよ」


 だが問題は異世界転移による特殊効果だ。


「では、ここに広げてみよう」


 絨毯を床に敷いてみたが特に変化はなかった。

 だが、これだけでは検証とは言えない。


「俺が代表して乗ってみる。危険かもしれないから、みんなは少し離れていてくれ」


 その場で靴を脱いで広げられた絨毯の上にそっと乗ってみた。


「…………」

「……なにも起こりませんね」


 試しに魔力を送ってみたが、反応はなかった。


 残念ながらこれはハズレだったようだ。

 ひょっとしたら魔法の絨毯のように空を飛ぶかもしれない、と淡い期待があったんだけど、そこまで都合よくことは運ばないか。

 自分が買った品物に特殊効果がなかったせいでメーリアがしょげている。


「申し訳ございません。隊長に余計な出費をさせてしまいました」

「なあに、これは娯楽室で使うんだから問題ない。あちらから持ち込む商品のすべてに特殊効果があるわけじゃないのも理解しているさ。よし、次の検証に移ろう」


 ずいっと前に出てきたのはアインだった。


「次は私の番ですね。正妻本命の登場ですわ」

「アインはなにを買ってきたのかな?」

「うふふ、すごくいいものですわ。隊長もお喜びになること請け合いです」

「へぇ、自信満々だね」


 アインは袋から縦長の箱を取り出してきた。


「それは!」

「はい、隊長のお好きなウイスキーですの」

「しかも、箱崎15年じゃないか!」


 俺が異世界へ転移した二年の間に世界的なウイスキーブームが到来したらしい。

 そのせいでウイスキーの価格はびっくりするほど高騰していた。

 特にジャパニーズ・ウイスキーは海外でも高く評価されて、プレミア値がついている商品がたくさんあるようだ。

 店頭ではなかなか見かけなくなってしまったウイスキーもたくさんある。

 アインが買ってきた箱崎15年もそんなウイスキーの一つだった。


「まさか箱崎15年を買ってくるとはな」

「お店の人に聞いたら、たまたま入荷したそうです。並べておけば一日で完売するとか」

「そうだろうなあ……」

「隊長がウイスキーというお酒を愛しているのは知っていましたので買ってきましたの」


 あざとさが鼻につくこともあるアインだけど、こういう気づかいはうれしいんだよなあ。

 きっと、相手をよく見て行動ができるからだろう。

 俺の腕に触れながらアインがきいてくる。


「隊長、お喜びいただけたでしょうか?」

「ああ、これは個人的にもすごくうれしいよ」

「よかったぁ♡ さあ、さっそく召し上がれ」


 いやいや、いくらなんでもそれはまずい。

 酒に対するレンブロ王国の軍規は非常に緩く、 昼間から飲んでいる将兵もたくさんいるのだが、俺までそれに倣うことは避けたい。


「酒を先に試すのは危険だな。これの検証は夜にしよう」


 ということで、次はリンリが買ってきたものを検証することになった。


「リンリはなにを買ってきた?」

「こちらです。よっこらしょっと」


 ずいぶんと重たそうな箱をリンリはテーブルの上に置き、中身を取り出した。


「それは……ダンベルか?」

「重さを変えられるものを二個買いました。それから、こちらのセットもあります」


 リンリはトレーニング用のアイテムを複数購入したようだ。

 重さを調節できる可変式のダンベル。

 腹を鍛える腹筋ローラー。

 そして、腕立て伏せのときに使用するプッシュアップバーである。


「なるほど、格闘家らしいチョイスだな」

「これを使えばお腹が鍛えられるんですよ」


 リンリは嬉しそうに腹筋ローラーを振り回している。


「まあそうなんだけど、リンリはすでに相当鍛えているだろう?」


 先日、見てしまったので知っているが、彼女のお腹はすでに六つに割れているのだ。

 これ以上鍛える意味があるのか?


「いえいえ、こんなもんじゃ足りませんよ。私はさらなる高みを目指します!」

「向上心があるのはいいことだな」


 そこは隊長として認めてやりたい。


「隊長……」

「どうした?」

「これで腹筋がばっちり仕上がったら、また私に魔動波をぶち込んでくださいますか?」

「そ、それは……」


 いろんな意味で、あまりに危険じゃないだろうか?

 てか、向上心じゃなくて純粋な欲求!?


「お願いします……、今度は二回……、いえ、三回耐えてみせます!」


 そんな切なそうな目で見られてもなあ……。


「ご褒美があると思えば頑張れるんですっ!!」


 ご褒美って言っちゃってるし……。


 だが、隊長として、部下の成長の手助けはしてやりたい。

 それにリンリは異世界転移でかなりの防御力を手に入れている。

 手加減すれば三回くらいは本当に耐えられるかもしれない。

 というか、耐えられずにイっちゃうんだけど、トレーニングによって彼女自身の身体能力が上がるのは喜ばしいことだ。

 わざわざモチベーションを下げることもないだろう。


「わかった。だが、状況を見て回数は決めるからな」

「はい! ありがとうございますっ!!」


 リンリは爽やかに笑った。

 目的は連続イキだから、ぜんぜん爽やかじゃないんだけどな。


「それじゃあ、このトレーニンググッズを検証していこうか」


 まずはダンベルをセットした。

 これは2.5~24キログラムまで重さを変えられるダンベルである。

 重さを調節しながら試してみたが、これといった特殊効果はなかった。


「ハズレですね……」


 しょんぼりするリンリを慰めた。


「特殊効果はなくてもトレーニングはできるじゃないか。俺も使ってみることにするよ。それよりも腹筋ローラーを試してみようぜ」


 俺たちは全員で腹筋ローラーとプッシュアップバーも試してみたが、こちらも特殊な効果はなかった。


「こっちもダメか。でも、普通にトレーニングには使えるな。武器庫にでも置いておくとしよう」


 そう提案したそのときだった。

 ウェートを最小にしてダンベルをいじっていたディカッサが小さな叫び声をあげた。

 ディカッサはダンベルを取り落として呆然としている。



「どうした、ディカッサ。どこか傷めたのか?」

「そうではありません。ですが、魔力を通しながらこれを使ったらへんな感覚がしまして……」


 ついに特殊効果を見つけたのか?

 俺たちはダンベルの周囲に集まった。


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