第六話
結局、藩按で休憩する間もなく、とんぼ返りとなった仲達と藍の二人は、月涼の屋敷にいた。
「もう、つきー疲れたよ~。ヨシヨシして~!!」
「はいはい。よしよし。」
「え!めちゃ適当過ぎな~い!!つき。」
ブツブツ言う藍をほっておいて、藩按で聞いてきたことを話し合った。
「黄黄が役に立ったみたいだね。」
「ああ?ということは、お前?もしかして、分かってたのか?」
「ま、いろいろと小さな情報もつかめるようにはしているからね。」
「え?そんな~つき、それなら行く意味なかったじゃん。」
「まあ、そう言うな。一応、国としての表向き対応は必ず必要だからな。表向き情報と裏の情報が一致するのかも調べないといけないからな。だから、藍。無意味なんてものはない。」
「そっか。なるほど…。」
うんうんと頷く藍を後ろから入ってきた仁軌が小突いた。
「月涼がなんも考えずにお前たちを行かせるわけないだろう?」
「それより、仁軌さん、これって、内乱も関係あるんでしょ?」
「ははは。もうバレたか?」
「重慶と自分は、関係ないという体で入国しているようですが?本当は、同じですよね?」
「ああ。そうだ。俺は、重慶の身の安全の確保のために、こっちにわざと表向きの使者として、堂々と入国したってわけだ。情報戦になっているからな。」
「で?流行り病の正体は何ですか?毒物でも流しましたか?井戸などに?」
この言葉には、さすがの仁軌も驚いた。確定はしていないが内乱を隠すために、民が巻き添えに食ったのは、うすうす分かっていたからだ。北光国にいた仁軌ですら最近分かってきた情報を月涼は、どうやって仕入れているのだ?そんな風に思案して黙り込むと更に月涼が突っ込んで聞く。
「国王の危篤、第一皇子の好色騒ぎ、他の皇子の勢力図を考えても内乱を隠して、流行り病を大きくする。そちらに目が向いている間にどさくさに紛れて、次の後継を押し出すんですよね?だが、勢力が分散しすぎてこの状況に至った?ではないですか?」
「うむ。大方、間違ってはいないな。毒かどうかは、さておき、宮中で流行り病が出たのは本当だ。それに国王がり患し、危篤状態だ。高熱が1週間続いて寝たきりで意識もないからな。ただ、季節性の流行り病で、国王がなぜ、そこまで重症化したのかを今探っている所だ。」
「まあ、見てみないと分かりませんが、新しい側室との情事が頻繁だったとか…。その辺はお調べに?」
「いや、それは、後宮に関わることだしな…。そんなことと、重症化することに何の関係が?」
「媚薬です。多分、若い側室と頑張るために…。自ら使っていたのでは?」
「私は、仕事上…。妓楼に出入りしていますのでね。媚薬については、少し詳しいのですよ。それと、その側室は、流行り病にり患していないのでは?」
この月涼の言葉にハッと息をのむ仁軌。頭の中では、勢力図が広がり光明が見えてきていた。仁軌にとしては、誰が次の国王になるかは、あまり興味がなかったが重慶のおかげで、今の役職にもいたため重慶の命だけは、この内乱から守ってやろうと思っていたのだ。
「あのさ~。俺が後宮の女官といて潜り込んでやろうか?仁軌さん。仁軌さんが紹介すれば入れるんじゃないかな?つきより、女官役は得意だしね。」
いつものように突拍子もなく藍が割って入った。