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第五話

 仲達の一行は、早馬で西蘭国の首都から出発し二日後には、藩按についていた。

 藩按は、北光国との国境にある大き目の商業都市であり流通の要になっている。北側には大きな川がゆったりと流れていて、その川で西蘭国と北光国の国境としているのだ。川の名は、黄川。その川は、雨季に氾濫するおかげで、土地が肥沃になり、そのため農作物もよく育った。周辺国の商人は、不足した農作物を買いに訪れる場所でもある。流行り病は、この藩按から西に行った北光国側で、広がっているようだった。そして、この地域のさらに北に北光国の首都、ドウガンがあった。今回の流行り病は、まだ北光国で納まっているが川を隔てた境で起こっているため、西蘭国で一番先に被害が出そうなのは、交流のあるこの藩按だった。

 

 「疲れましたね…。仲達さん、宿は、どうしますか?いつものとこで?」

 「いや、今日は、宮の支所で泊る予定だ。隠密でもないし公の調査団として動いているからな。」

 「うーん。では、荷物だけ入れてしまって、そのまま調査に行きますか?それともいったん休憩しますか?」

 「ああ。休憩したいところだが今日は、天気もいいしな聞き取りもしやすいだろう。軽く調査してから茶店に行って腹ごしらえをしよう。」

 「そうですね。では、川の船頭たちから調査と行きましょうか?」


 調査は、簡単にできるかと思われて始めたが、まったく情報がなかった。川辺の船頭や茶店、警備隊の者たちに聞いても流行り病の件は、聞いていないという。それどころかそんな病が流行っているなら、藩按の店がもっと早く対応しているはずだというのだ。


 『いったいどうなってんだ?いくら川を挟んでいるとはいえ、こちら側にもそろそろ病の者が出たり、情報が入っているはずなのに…。』仲達がぽつりとつぶやいた。すると足元にすり寄ってくる黄黄がいた。黄黄は、ついて来いと言わんがごとく尻尾を振り、『にゃ~』と振り向きながら誘導した。


 「なんだ?黄黄、いつから着いてきていたんだ?」

 「にゃ~。にゃ~。」


 あまりにすり寄ってくるので、仕方なくついていくとそこは検問所のような場所だった。そこでは、体温の上昇、嘔吐、下痢などの聞き取り調査をしており、症状が見えたらそこから町へは足を踏み入れないように、足止めさせる場所となっていた。

 藩按では、数年前に熱病が流行して壊滅状態になったことがあり、その経験から防疫検問所を国の指示なく儲けていたのだった。


 「ここは?誰がどのように運営しているのだ?」

 「あ、お役人様ですか?数年前の熱病の後、商会で作ったギルドがありましてね。そこが運営してるんですよ。もう、あんなことは、ごめんですからね。国は、国庫の蔵を開けてくれました、がそれ以上までしてくれませんでしたしね。なんせ、首都で流行れば、大変だと首都に入れないよう閉鎖もしたではないですか?」


 この言葉に情けないやらなにやらで、ぐうの音も出ない仲達だ。手厚くできなかった理由は、内乱もあったためだが、ここに住む人たちにとっては関係ない話だ。


 「そうだったな。この件は、国に上訴して予算が組めるように手配しよう。それはそうと、北光国側で流行っている流行り病について、調べているのだが情報はあるか?あちら側から薬師と薬の提供依頼が来ているのだ。」

 「あー。あれは、流行り病というより汚染によるものだと聞いていますよ。こっちは、その辺、徹底していますからね。消毒と汚染処理場もありますし。ですので、薬よりそっちの調査をしないと本当の状況は測りかねるかと。」

 「なるほど…。助かった。では、また、寄らせてもらう。」


 防疫検問所を後にして、そこでの話をまとめると北光国側での対応の悪さが原因の様だった。『仁軌は、このことを分かって使者としてきたのだろうか?』そう思う仲達だった。

 

 「仲達さん、仁軌さんと話してから再調査する方が良いんじゃないですか?あちら側に渡る手形も必要ですし。」

 「うむ。私もそれを考えていた。」


 結局、調査は、空振りに近い形でトンボ返りすることになる仲達と藍だった。

 

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