第四十九話
このあたりのお話は、別で書いています。少し重複する部分があります。
「ねえ。リュート本当に行くつもりのなの?あの、妙な法力を使う国なのよ。あの、聖座とかいう司祭に洗脳されて第一皇子夫妻は、おかしくなったんじゃない!!そんな国にまで出向いてどうするの?絶対に罠よ。」
月涼は、何時にもまして、リュートに向かってまくし立てるように言う。リュートは、そんな月涼を意に介せず愛おしい目で見つめながら、どんなに止められてもいくのだというのだった。
『リーベンデール国、それは、双頭龍王族の国・・・すなわち青華国王族の祖国でもある。300年ほど前の内乱で、権力争いに負けた王族とその一族郎党が、船で出国してたどり着いたのが青華国を建国した地タブールであった。奇しくも・・・月涼とリュートの契りの儀式が終わった日に、その国から、突然・・・星まつり参列への連絡が来た。そして、聖座と呼ばれるリーベンデール国の大司祭が青華国にやってきて、大事件が起こったのである。
リーベンデールの聖座の目的は、青華国の血を受け継ぐ子を盗むことだった。第一皇子夫妻は、この星座に洗脳されて、子供を預ければ、王座を継げるように手伝うと言われて、渡してしまったのだ。
青華国は、嫡出順序ではなく、開祖から竜と番となり、華山の瘴気を抑え込んで生き続けている太后に、認められる伴侶を連れてきた皇子が、国を継ぐものとなると決まっている。だが、第一皇子の伴侶のドルテアは、認めてもらえなかったのだ。
太后曰く、ドルテアは、皇子の運を吸い尽くしてしまう星を持っているという事だった。それに反発した夫妻は、いとも簡単に洗脳されたのだ。そして、連れ去った子を返してほしければ、リーベンデール国の式典に来いと招待状が届いたのであった。』
リュートは、洗脳の解けた第一皇子セデスと共にリーベンデールに向かう事を決意して、月涼に告げるのだった。
「大丈夫。君は、そうだな…。のんびり里帰りでもしてればいい。座学も終えたと聞いているし。それに母上はまだまだ健在だ。私が王位を継ぐとしてもずっと先の話だから、それまでにすべてを習得すればいいのだから。」
「そんな話をしているんじゃないわ!!罠を張って待ち構えているようなところに行くなんて!セデス殿下に任せればいいじゃない。自分たちが洗脳されて盗まれたのよ。」
「そんな風に言って…。君は、あの時子供を一番心配してたじゃないか?洗脳が解けなければ、自分の子にするとまで言った君の本心じゃないだろう?兄上だけじゃ、また、洗脳される可能性がある。だから、一緒に行かないと。」
「じゃあ!私もいくわ。」
「駄目だ!!」
「どうして!!」
「あの時、聖座は、君も盗みに来ると言ったんだぞ。竜の力を継承できる君が欲しいと…。そんなところに連れていけるわけないだろう?必ず盗まれた子を連れて帰ってくる。洗脳されないための法具や薬も用意した。大丈夫だ!!私を信じて待っててくれ。そして、安全のために里帰りしてくれ。母上には、私がいない間一人は、可哀そうだから里帰りさせると伝えている。お願いだ!!いつもの月涼に戻って過ごしていてくれ。それと対外的には、城に引きこもっていることにしてほしいとも言っている。」
リュートの説得に負けた月涼は、そんな形で、西蘭国に帰って月涼として過ごしていたのだった。だが、リュートの出国が長引き、月涼の姿があまりにもないと噂が出始めたタイミングでソニアが月涼を連れ戻そうと動いたのが北光国の内乱の時期と重なったのであった。




