第四十七話
第二章の開始です。舞台は、北光国から青華国とおもいきや・・・
北光国より西蘭国に帰ってきていた月涼は、藍と共に東宮殿にいて、談笑していた。
「あれから、何か報告は来たのか重慶から?」
「いいや。もともと、上に立つタイプでもないからな…青華国の決定に従うしかないんじゃないかな?」
奏の質問に答えながら、庭に目をやる月涼は、枝垂れ桜の木を見つめていた。『そう言えば、リュートからの連絡が遅いな…。いつもは、もうそろそろ義母上経由でやってくるはずなんだが…。』
月涼がぼんやり考えこんでいると奏が大声を出して呼ぶ声が聞こえた。
「おい。おい。急に静かに考え込むなよ。何かあるのか?」
「いや…。連絡がな…。」
その時だった。突然、江将軍が兵士を数人引きつれてやってきた。これには、奏の眉が上がり、表情がこわばって言葉を放つ。
「先触れもなく、東宮殿に入ってくるとは!!何事だ。」
「陛下の命です。お許しを公女様もとい…月涼。おとなしくついてくるように。」
「は?いったい何で?捕らえるつもり?」
「はい。縄をかけて連れて行くのは、私には、出来ません。申し訳ございませんが従ってください。」
陛下の命令なら聞かねばならないが、何故?捕縛?頭の中が久しぶりに困惑状態である。そして、隣にいた藍は、しっかりお縄であった。『可哀そうに…って言ってる場合じゃないか?』藍は、『なんでだ~と叫びながらもおとなしく縄で縛られてた。縄ほど外すなんてたわいもないくらいの藍だが、ここで抵抗しても意味がない事は承知しているのであろう。
「あのさ、罪状ぐらいないの?」
「あ…。陛下曰く他国を巻き込んで戦争を仕組んだ…。愚か者と…。それから、東宮殿下は、謹慎の上東宮殿で軟禁とのことです。」
「はあ!!今すぐ陛下の所に行く。そこをどけ!!」
「退きません!!兵士は東宮殿をすでに閉鎖しています。」
ここまでやるんだ。いまさら体裁?と考え込んでいたところある言葉をふっと思い出す月涼だった。
『はっ!!あれか!!』ごくりと唾を飲み込んでから、あの時の会話を思い出す。『しまった。だからリュートの連絡も来ないのか…。もうちょっとご機嫌取るんだった!!やられた。』
後ろから聞こえる奏の怒りの声を無視して、おとなしく江将軍についていきながら、横にいた藍に声をかけた。
「藍…。強制送還だ。」
「えっなんて?」
「だから~。強制送還されるの。」
「誰が?」
「あほか?お前と私だ。多分、仁軌さんも先につかまっているし。仲達さんもだろうな。」
藍が『え~!!」と叫び声をあげて、『戻ってきて、2か月なのに』とブツブツ文句を言い始めた。
「大体。重慶と仁軌さんのせいなのに~。せっかくの休暇として、一緒に帰ってきてるのに。そのほとんどが北光国だし…。」
藍は、ソニアの厳しい訓練が、休憩できるとウキウキで月涼と共に西蘭国に、帰っていたから訓練が始まると思うだけで、顔面蒼白になってきていた。月涼自身も同じである堅苦しい礼節。そんな日々の中、皇后としての座学が一通り終わった上にリュートが、リーベンデール国に訪問で出国するのを機に、ソニアにお願いして里帰りをしていたのだ。そんな状況で、思わぬ北光国の内乱に巻き込まれて今に至っている訳だった。
「とりあえず、陛下と話せるの?江将軍。」
「あ…。いえ。それがその…。」
「何?」
「陛下は、一切関知せず。連れていかれたところの者に従えとの事です。」
その言葉に、『やっぱり。強制送還だよ。』と頭を垂れるしかない。月涼だった。




