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第四十四話

 「開戦じゃー!!」


 ソニアの怒号とも言えるような声に士気が一斉に上がる。兵士たちも声鷹高に叫びながら、砲撃と共に打って出るかのような勇み足で大声を上げる。普段の模擬訓練とは違う緊張感と高揚感に、襲われながら次の指示があるのかと?兵士たちの表情は高揚感に満ちていた。


 「砲撃が終わったら、打ってでよ!!西蘭国の支援に回るぞ!!」


 この言葉に側近の将軍がソニアの顔をまじまじと見る。『違うここまですると聞いていない…涼麗様に…ソニア様が暴走していると伝えた方が良いのか?』将軍は、ハラハラしながらソニアの命令のサポートをしていた。対外国に対しての戦略は全て皇后陛下に一任されているとはいえ、国王に連絡もせず開戦?してしまっている既成事実のような状態で、狼狽えるそんな側近の表情を見てソニアは、にやりと笑って言い放った。


 「トラバス!!心してよく聞け!!我は、青華国の皇后であるが大将軍でもある!すべての責任は、私が負うのだ。前を向け!今ある状況だけを考え対処せよ。猫の額のような国じゃー。平和ボケしている兵士たちの訓練にもなろう!!ゆくぞ!!嫁への凱旋土産として!!」


 この状況を通信石で聞いていた月涼は、顔面蒼白となった。『そこまで望んでない!!ない!!義母上~極端すぎるー!!』だが、焚きつけた月涼の責任で、後の祭りでしかない。この場に月涼の夫であるリュートがいたら大目玉だ。とにかく、収拾するのは、後から考えるしかなかった。


 西蘭国は、奏を先頭に城門前で、軍を率いて待機している。後、一刻ほどの時間が過ぎても、返事がなければ一斉攻撃をかける体制だ。そこへ、先ほどの青華国の群馬で加勢に加わり始めた。

 その状況に北光国は、ついに白旗を城門に掲げた。いくら何でも太刀打ちできないと早々に判断したからだ。城門をくぐって出てきたのは、皇后だった…。


 「妾は、北光国皇后!!郭英子である。投降し、西蘭国の使者を返す故、矛を収めてほしい!!」

 

 奏は、今すぐにここに使者のすべての者をそろえて連れてくるように命じる。そのやり取りの最中に皇后に一矢が放たれた。それは、一瞬の出来事だった。皇后は、その場に血を吐いて、倒れこむ。そして、その後に現れたのは、右大臣安氏であった。


 「我が国の内乱に巻き込み大変申し訳なく思っております。西蘭国皇太子殿下!!所業の根源である皇后を今、廃しました。なにとぞ、この国を存続させてくださいませ!!使者たちもここに連れてまいりました!!どうぞご確認ください。」


 右大臣の合図とともに、医師団たち使者たちがゾロゾロと門をくぐって、西蘭国側に引き渡される。謀反の証拠が西蘭国にわたっていると知らない右大臣は、声鷹高に笑い声をあげながら、これですべてが片付くと言わんばかりの態度だ。だが、その出迎えに現れた使者の顔に右大臣が凍り付いた。

 

 「重慶様?」

 「右大臣久しぶりだな。」

 「は、ははは…。なんと!!消息が不明でしたので、本当にご心配しておりました!!あー安堵いたしましたぞ!!北光国も安泰でございます。」


 緊迫するやり取りの中、重慶は、手元にある血判状をチラリと右大臣に見せる。右大臣は、それを凝視しながら『あれは?血判状?いや、まさか…ここにあるはずがない。大丈夫だ。我が屋敷に簡単に入れない血族でもない限り!』頭をフル回転させながら重慶と対峙する右大臣。


 そして、一人の女性の声に右大臣は、すべてを悟った。


 「お父様。」


 延妃が重慶の後ろから静かに表れて、じっとこちらを見ていた。『こんなところで裏切られるとは!!いや!!!他国が我が国の事情の細部まで分からぬはず。これを機にすべてを我が物にすればいいのだ。』そう思いなおした右大臣は、自分の正当性を西蘭国に言うために打って出るのであった。

 

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