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第四話

 仕方なく重慶を受け入れる準備をすることになった屋敷は、大慌てである。他国の貴賓を普通の部屋に案内するわけもいかず、ばあやが発狂しているのが目に浮かんだ。


 「はあ~。お嬢様は、この年寄りをなんだと思っているのかしら…。こんな方が訪ねてきてさらに少しの間過ごされるなんて!!」

 「婆や。準備できそう?」

 「できましたとも。ええ。ええ。できましたよ。かなり大変でございましたが!離れにご準備させていただきました。ですがお嬢様、もう少し、私目の齢を気にしてくださいませ。」

 「ふふふ。そうは言うけど、本当に若いじゃないか。ありがとう。婆や。この屋敷は、婆やがいれば千人力だよ。あとで、木の実飴を買ってくるから許しておくれ。」

 「むむむ。飴で釣るなんて…。よう、ございます!それでは、桔梗屋の物でお願いします。」


 婆やは、木の実飴が大好物だが、なかなか高価なものだからいつもは我慢している。中でも私がお土産に持ち帰る桔梗屋の飴をいつも心待ちにしていた。この広い屋敷を完全に網羅して、切り盛りしている本当にすごい人物なのだが、飴で顔が緩んでいるのを見ると本当にかわいい婆やである。

 その我が家には、離れが4つある。東西南北に一か所ずつだ。複数の客人が泊ったとしても顔を合わせないようにできている。不都合をなくすためでもある。この屋敷は、私が一時的に育った海南国からこの国に戻るときに西蘭国での養父に下賜された屋敷で、もともと皇族の私邸だったためかなり広いのだ。


 「北の離れを準備したの?」

 「はい。あそこは、お嬢様の客人がよくご利用なさいますので比較的いつも綺麗にしておりましたのでそちらにいたしました。何か?不都合でも?お嬢様。」

 「あー。いや、大丈夫だよ。急だったのに本当に助かったよ。『本当は、奏の専用の部屋と言ってもいいぐらいの部屋が北の離れだったが、まあ、仕方ない。ま、奏には我慢してもらおう。』」


 その後、婆やは、かなり満足そうに部屋を出て、明月を呼び立てていた。

 一方その頃、藍は、奏から北光国に潜入するはずだったが、仁軌の流行り病が深刻という点からまず病について調べるよう命令が下されていた。

 

 「え~。潜入の方が得意なのに~。調べ物は、月の方がとくいじゃないですか~。」

 「あのな。藍。潜入中に自身が流行り病にかかったらどうするんだ?どんな病か分かっていないと対処できないだろう。」

 「それは、そうなんですよね~。へへ。」

 「へへ、じゃないわ。もし、お前になんかあったら、月涼に恨まれるのは、私なんだからな!!」

 「そうそう。つき。僕の事大好きですから。てへ。」

 

 ごチンと奏の拳が藍の頭に落ちたこの時、月涼の背中がぞわぞわしていたのは言うまでもない。そして、拳骨された頭をさすりブツブツと怒りながらも藍は、仲達のいる司書に向かった。

 その頃仲達は、司書で地図を開いて流行り病の広がってる一を確認している所だった。『なるほど、川の支流付近が多いようだな。まずは、川の水質確認が良さげだ。』


 「仲達さーん。」

 「おっ藍。来たか。準備し得てほしいものがある。」

 「これっしょ?」

 「おーーー。なんで分かった?」

 「このお藍ちゃんの頭の回転の速さよ。ふふふ。頭なでて~。」

 「ヨシヨシ。って何をさせるんだ。馬鹿者。」

 「えー乗っておいてそれは、ないでしょ。」


 準備の整った仲達と藍は、まず、北光国の境にある藩按を目指すこととなった。その一行の中に何故か黄黄も混ざっているのだった。



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