第三十六話
ソニアは、大義名分ができたとばかりにルンルン気分で甲板で、闊歩していた。もう、目標を決めることしか頭にないのである。久々の砲撃準備…どこに打つかを地図と睨めっこ状態である。こうなるとだれにも止められない。横から副官のクワドランが呆れながら、その状態を見て、ソニアの代わりに指揮をとって、他の準備にあたった。
「クワドラン!!決めたぞ!!ここら辺が良いな。威嚇射撃だ。領民に被害があってはならないからな…。この林あたりなら良かろう!!」
「はっ!!。では、砲撃の体制を整えます。合図は、殿下にお願いいたします。」
「当たり前じゃ!!合図をせねば、撃った気にならんではないか~。腕がなるのぅ。ザンビスがなかなか許してくれぬからの~。」
クワドランは、心の中で『当たり前だ…。国王陛下が制御せねば、湯水のごとく大砲を打ちまくりそうだ。』と思うのだった。だが、その顔をソニアが見逃すわけもなく『其方は、もう少し、気持ちを顔に出さないようにせねばな。』と軽く突っ込まれたのは、言うまでもなかった。
後は、月涼から指定の時刻連絡待ちだ。その間がとても退屈に思うソニアだった。一方、月涼は、仁軌以外全員に、事を大きくしすぎではないか?それに、青華国海軍が、しかもソニアを乗せた艦隊がどうして、北光国沖まで来ているのか?と突っ込まれていた。ぞの答えに月涼より先に、仁軌が答えるのだった。
「この時期、ソニア様は、軍事訓練を行う時期で砲撃の準備もしている。青華は、基本的に国の領土を拡大する気持ちは無いが、いざという時のために軍事訓練は毎年行われている。北光国は、北の海を制するほどの海軍をもっていないため、海で何をしているかさえ分かっていない。だから、訓練に打ってこいの海域ってことだ。そんな状況を利用されているってわけだが…北光国は、海軍を持つほどの資金力がない。それは、西蘭国にも言えるがな。」
仁軌の説明になるほど…。と思いながらも艦隊を見せつけるだけでも、威嚇になるんじゃないのか?と奏が仁軌に問いかけた。
「海でしていることもわかっていない奴らが、艦隊が並んだからって、攻めてくるなんて思わない。それでなくとも毎年、自分の国の近しい海域で訓練しているんだ。もう船がいることに慣れっこになっているんだよ。俺は、この国に来て、最初は恐怖したが誰一人そんな話は、出さなかった。海で魚を捕る漁師たちですら、毎年の事だと笑ってみている有様だ。そんな、艦隊から、一発でもこの国に撃ってみろ…。どうなる?」
「パニックだな…。西蘭国との小競り合いのような戦争じゃない…。圧倒的な力が見えると言事か…。」
月涼がにやっと笑って頷く。『たった一発で、良いってことだ。』と。砲撃で慌てれば、宮中は、内乱どころでは無くなる。そのすきを見て、仲達や医師団を逃がす手はずさえ、整えればいいという事だ。まず、正確な仲達の居場所を把握し、どのルートで宮中に乗り込み助出すかである。
「砲撃後、西蘭国として、正面突破はどうだろう?こちらには、大義名分がある。医師の派遣を要請しておいてその人々を返さないんだからな。こちら側の意に反する行動だ!と正々堂々と布告すれば?良いのではないか?」
「そうですね。奏様。そうなると、もう少し兵を増員してもらわねばなりませんね。いくら北光国の兵力が分散すると言っても、こちら側の兵が少なすぎては、被害が出る可能性があります。私が、早馬で、陛下の許可をもらいに行きます。」
「確かに。正面突破で、あっちからもこっちからも攻め入られれば、あちらは、収集つかなくなって墓穴を掘るのは確実といえるけど…もう、ちょっとスピード感が欲しいなって思うんだけどな~。思いません?仁軌さん。なあ藍?」
奏と輪のやり取りに、頷きながらも月涼は悩んだ顔を見せ次の一手には、別の方法があるかのように言うのだった。




