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第三十三話

 第一皇子の言葉に右大臣、左大臣は、驚愕したが所詮、政治を知らぬ者が皆を驚かそうと発した言葉にすぎぬと心では嘲笑していた。だが第一皇子は、ここで更に行動に出ていた。仁軌を矢面に立たせて西蘭国の攻撃の盾に使ったのだ。一報が来てすぐに仁軌は国境の城壁で、貼り付けにされていたのである。さすがに仲達まで張り付ければ、一気に開戦となると思いまず、仁軌から見せしめたのである。


 「今、なんと?おっしゃられましたか?」

 「老人になると耳が遠くなるのか?仁軌は、間者として城壁に張り付けたと言ったのだが?」

 

 両大臣は、『生意気な!!』と口をつきそうになるのを堪えて、国王の葬儀もまだ終わらぬうちに開戦させてしまっては、国勢が安定しないどころか、反乱分子が湧くと唇を嚙みしめながら第一皇子に意見した。


 「おやおや、反乱分子とは?誰の事か?もしや大臣にその気持ちでも?我が人形の様に動くのを望んでいた左大臣殿か?それとも陰でいろいろと画策している右大臣殿か?はて…。皇位に一番近い我のしたことが間違っているのか?」


 両大臣は、第一皇子の行動が早すぎて、自分たちの手回しができていない事で狼狽えたが、他の大臣たちを巻き込んで、皇位が決まっているわけではないのに早急なことをすべきではないと反論しようとした。ところがここでもすでに両大臣は、先手を打たれていたのである。


 「第二皇子、第三皇子からは、皇位を望まないと書面が届いている。他の皇子もそれぞれ、その母から辞退が来ている。第八皇子は、幼すぎる…残るは、第七皇子の重慶だが、行方がしれぬ故、今のところ世継ぎは、我だ。大臣たち、どう思う?左大臣、右大臣は、どうやら反乱でも起こしたように思えるのだが?」


 第一皇子の気迫に、その場にいた大臣たちが凍り付く。これぞ、皇位を継ぐものと言う気迫が示され、今までの朝廷とは、雰囲気がガラリと変わるそんな状況に陥ったのである。この状況にのまれた大臣たちは、ここぞとばかりに第一皇子の側に付き、意見を言い始めた。それを横目で見ていた皇后がほくそ笑む。『ここまで、上手くいくとは!!!』だが、右大臣も左大臣も負けじと虚勢を張って前に出た。


 「反乱などもってのほか。常に国を思って動いております。!!今一度お伺いしたい。国葬はどうする所存か?まさか父君の国葬もせず、開戦するおつもりでございますか?」


 朝廷を掌握されているような状況を覆すためにも、国葬の重要さを打って出るしかないと左大臣が叫ぶ。それに追随して、右大臣も同意見だと被せ、他の大臣たちを煽ってこちらに風向きを戻そうとした。


 「それ程言うなら、なぜ?国葬の準備が遅れているのだ?さっさとすればよいではないか?この状況をもたらしたのは、他でもなくお前たちだと言事が!!まだ分からぬのか?」


 第一皇子の怒号におののいた大臣たちは、『国葬の準備を始めねば』と口々に言い合い、朝議場を後にしようとした。何も決まらないまま解散になりかけたので、右大臣も左大臣も自分たちの派閥を立て直すチャンスだとばかりに同じく席を立とうとした。


 『これがこの国の朝廷なのか?』と情けなくなる第一皇子。ここで、皇后が口を出した。


 「まず、世継ぎが決まるまでは、第一皇子を国王の代理と任命する。妾は、皇太后として摂政をすれば文句はあるまい?国璽は、妾の手にある。殷令。最初の勅令を皆に出せ。」


 「まずは、国葬の準備と西蘭国への布石を打て、国王の死に疑いの余地ありとしてな。仁軌は、その見せしめであるとせよ。」


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